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ep.23 妹の熱が下がる

 夜が明ける前、シャーロットは何度か様子を見に起きた。


 イリスの呼吸は、深夜よりも落ち着いていた。額に触れると、まだ熱はあるものの、昨夜ほどではない。


 カリナは寝台に突っ伏したまま、妹の手を握って眠っていた。


 起こさず、毛布をもう一度掛け直す。


 朝の光が差し込む頃、先に目を覚ましたのはイリスだった。


「……ここ、どこ」


 小さな声に、シャーロットは急いで枕元へ寄った。


「薬屋だよ。覚えてる? 昨日、お姉ちゃんと来たの」


 イリスはぼんやりと辺りを見回してから、こくりと頷いた。


 額に触れると、昨夜よりはっきり熱が引いているのが分かる。


「水、飲める?」


 差し出したカップを、イリスは自分の手で持ち上げ、少しずつ飲んだ。むせることもない。


 その物音で、カリナが跳ねるように顔を上げた。


「イリス!」


「……お姉ちゃん」


 イリスが小さく笑う。


 カリナは妹の頬に手を当て、何度も確かめるように額まで触れ直した。


「熱、下がった? ねえ、下がった?」


「うん。下がってきてる」


 シャーロットが答えると、カリナは詰めていた息を吐き出すように、寝台の縁へへたり込んだ。


「……よかった」


 シャーロットも短く息をつき、道具を片付けていた手を止めた。


 台所で薄い粥を温め、椀によそって運ぶと、イリスが匂いに気づいて身を起こそうとした。


「お腹すいた」


「食べられるの?」


 カリナが驚いたように聞き返す。


「食べたい」


 匙で少しずつ口へ運ぶと、イリスは思ったよりしっかりと飲み込んでいった。


 半分ほど食べたところで、椀を覗き込むように催促する。


「まだ食べる?」


「うん」


 シャーロットは空になりかけた椀を受け取り、鍋からもう一杯よそった。


「まだ本調子じゃないから、今日はゆっくり寝てて」


「でも、いつまでもここにいるわけには……」


 カリナがぽつりと言った。


「その話も、イリスちゃんが元気になってからにしよう。今日は二人ともここにいて」


 カリナは小さく頷き、妹の椀にもう一度目をやった。

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