ep.20 雨の中の姉妹
夜半から降り出した雨は、なかなかやまなかった。
シャーロットが戸締まりをしようと灯りを落としかけた時、外で何かが動く気配がした。
雨音に混じって、押し殺したような声が聞こえる。
戸を開けると、軒先に小さな影が二つ、身を寄せ合っていた。
「……っ」
思わず息を止める。
年上らしい少女が、もっと幼い少女を支えるように抱えていた。二人ともずぶ濡れで、幼い方はぐったりと目を閉じている。頬が異様に赤い。
「大丈夫?」
近づいて顔をのぞき込むと、支えていた少女が、びくりと肩を震わせた。
「ごめんなさい、すぐ行きます」
「待って」
少女の声は震えていた。それでも、その場を動こうとしない。妹らしき子を抱える腕には、それだけの意志がこもっている。
シャーロットは幼い方の額に手を当てた。
焼けるように熱い。呼吸も浅く、荒い。
「今すぐ、中に入って。話はあと」
「でも……」
「その子、しんどいでしょう」
二人を中へ入れ、濡れた上着を脱がせる。
幼い方を寝台へ寝かせ、乾いた布で身体を拭いてから毛布でくるんだ。
年上の少女は何か言いたげにしていたが、妹の様子を見て口をつぐんだ。
「……お名前、聞いてもいい?」
「……カリナ。この子は、イリス」
「カリナちゃんと、イリスちゃんね」
シャーロットは二人の様子を確かめた。
「今夜はここに泊まって。イリスちゃんの熱、まだ下がってないから」
カリナは一瞬迷うように視線を揺らしたが、小さく頷いた。
火を熾し、湯を沸かして白湯を作る。少しでも水分を取らせたかった。
カリナへも温かい布を渡すと、少女は自分より先に妹の肩へそれを掛けた。
「あなたも冷えてるでしょう」
「私はいい」
短い答えだった。譲る気配はない。
シャーロットはそれ以上言わず、別の布を持ってきて、カリナの肩へ黙って掛けた。
道具袋から薬包を取り出す。熱冷ましだった。
封を切ろうとした指先を、カリナの手が掴んだ。
「待ってください」




