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光を抱く闇になれ〜半魔王子は滅亡回避のために大陸を去る〜  作者: 月杜円香


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第45話 聖女の逃亡

 朝の光が西の大地を淡く照らす中、遠征軍はいつになく慌ただしかった。

 東方の光の神殿から、三賢人の一人ティルグレイを迎え、突然姿を消した聖女を追ってここまで来ていたのだ。


「聖女は、遠征軍に紛れ込んだらしい」


 と、予見者の声が小さく広がる。

 だが、どこを探してもその姿は見えず、最前線でも忽然と消えていた。


 兵士たちはそわそわし、地図を確認する将校や魔法陣の光を確かめる術師が忙しく動く。


 ティルグレイは険しい顔で指揮官たちに声をかける。


「無理に追わず、冷静に進めるのだ。光の加護も、今は届かぬようだ」


 それでも遠征軍は止まらない。


 聖女を見つけなければ、何が起こるか分からない。

 アルテア派遣の冒険者の一人も姿を消しており、不安が胸を締めつける。


 その混乱の中、レオンは短剣を握り直し、目を光らせた。


「……行くしかないな」


 兵士たちの間をすり抜け、城門を目指す。彼の目的は一つ、イーリャーー魔王の末子で半魔だ。

 かつて人間界で「イリア」と名乗った少年であり、聖女の行方と何か関係があると直感していた。


 大広間の奥で、黒髪に金色の瞳を持つ少年ーーイーリャが振り返る。小さな体にまだ子どもらしさを残しながらも、その瞳には鋭い知性と警戒心が宿っていた。レオンは息を整え、静かに声をかける。


「貴様が半魔のイーリャか……君に会いに来た」


 イーリャは少し身を引くが、すぐに警戒の目を緩めることはなかった。いつの間にか魔王城に来ていたティルグレイが背後で腕を組み、慎重に見守る。

 沈黙の中、緊張がほどけないまま、二人の視線だけが交わる。

 光の神殿の命令も、神の声も届かぬこの瞬間、レオンはただ自分の意志だけを頼りに、少年の秘密と真実を確かめようとしていた。

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