表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光を抱く闇になれ〜半魔王子は滅亡回避のために大陸を去る〜  作者: 月杜円香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/52

第31話 魔族を見極めよ

 夜更けの神殿は静まり返っていた。

 回廊の奥、灯火の揺れる窓辺に、レオンは立っている。

 

 遠く南方

 魔王城方面の観測値が、わずかに揺れていた。

 大きな乱れではない。

 だが、確かに『何か』が生まれた波形だった。

 

 そのとき思い出した。

 ーー魔族を、見極めよ。

 神託は、それだけだった。

 討てとも見逃せとも言わなかった。

 なぜ、そんな曖昧な言葉を残したのか。

 魔族は、滅びかけている。

 もう一つの闇、アルゲイ族は消えて久しい。

 均衡は光へと傾いた。

 討伐は正義とされ、

 冒険者は英雄と称えられる。

 それで良いはずだった。

 なのに。

 観測盤の揺らぎは、消えない。

 まるで世界が、小さく呼吸を取り戻したように。

 レオンは目を細める。

 もしや――

 滅びるはずの魔族が、

 形を変えたのではないか……?

 人に紛れ、光の側へ近づく形で。

 ディン族は適応の種族だ。

 生き延びるためなら、姿を変える。


 ならば、神の言葉はーー


「見極めよ」


 それは、闇を討つ前に、

 その『理由』を見よということではないのか。

 奪うのは本能なのか。

 悪意か?

 それとも、生き延びるためか……

 そして、もう一つ。

 光の側に立つ者もまた、自らを見極めよ、という警告。

 

 光は常に正しいのか……?

 レオンの胸に、静かな違和感が落ちる。

 南方の波形が、かすかに脈打つ。

 それは強大ではない。

 だが消えない。

 消えぬ意思のように。


「……始まったのか」


 誰にともなく呟く。

 まだ名も知らぬ存在。

 だが、神はそれを見よと言った。

 ならば自分はーー

 目を逸らさない。

 討つ前に、確かめる。

 それが神の意志ならばーー

 夜風が灯を揺らした。

 南の空に、わずかな闇が息づいている


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ