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これが『切り札』だった。個々の性能は落ちるものの、たった一つの『B・M・I』で、最大一個中隊に及ぶ航空戦力を制御することができる。無人で、空中戦にも十分に耐えられる性能を持つ戦闘機を二百機以上、同時に任務に就かせることができるのだ。
グレイグは顔を歪めた。笑ったつもりだった。
「……我々の勝ちだ。《X―1》は失ったが、これで《X―2》を撃墜する。そのままファイナルフェイズを続行だ。この六機で中国沿岸部を強襲する」
これで地獄の蓋が開く。私の勝ちだ、ロバート・ウィーヴァー。やはり私が正しかった。
グレイグはさらに歪みを深めた。これで自分と母の世界は完成に近づく。貴様の語る希望など、貴様の独善でしかないということを思い知れ、ロバート。
「CDCより通信。どうやら《X―2》が進路を変更したようです」
逃げるか。そうだろう。お前にはそれしかできない。大義のためならば人の命を見限る。そういう覚悟のない、甘ったれたお前には。グレイグは部下に視線を送ると、その部下に近づいた。手に持った通信機を受け取り、CDCに答える。
「こちらグレイグ・リー。グラント艦長、『X計画』は最終段階に……」
『《X―2》が突っ込んで来るぞ! ものすごい速度だ!』
歪んだ顔がそのまま凍りつくのを、グレイグは感じた。




