125/332
33
発艦許可を出せば、この男の計画通り作戦は進むだろう。
そして何万単位の死者が出る。
いや、その後まで計画通りに進めば、何万などという数字では済まないだろう。
敵味方、非戦闘員含め、『大勢』などという言葉では測り切れない死者の列が冥府へと連なる。
それがわかっているからこそ、まだ戻れる今だからこそ、グラントはこの男の思考を一片でも、理解したいと思った。
西洋名のグレイグではなく、あえて東洋名のリーを使って呼びかけたのには、血脈を意識し、その抵抗を自らのことのように感じるグラントの想いだった。
今ならまだ引き返すことができる。考え直すことができる。
だが、グレイグ・リーの表情は変わらない。
徐に動いた首が視線をグラントに向ける。
各種モニターを反射させる瞳は、瞳というよりもガラス玉のように見えた。あらゆる感情を読み解かせない、いや、読み解く何かもそこにない、ガラス玉の瞳――




