表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「数を数えるだけの無能」と追放された【計量士】、実は世界のすべてを測れました  作者: 青雨あき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/33

第三話 龍の体重を知る男

 銀山の再掘は慎重に進み、一月後、メルガの街は活気を取り戻し始めていた。


 俺は鉱山の計測顧問をしつつ、測り屋も続けていた。


 その日、店に来たのは冒険者ギルドのギルドマスター、隻眼の老婆グレンダだった。


「測り屋。折り入って頼みがある。北の山に飛竜が棲みついた。討伐隊を出すが、ここのは田舎冒険者ばかりでな。勝てるかどうか、測ってくれんか」


「勝敗は測れませんよ。……ですが、材料なら測れます」


 俺は討伐隊に同行した。山道を登りながら、隊員一人ひとりの装備重量、体力残量、武器の耐久値を測る。そして稜線の向こう、岩山に丸まる飛竜を視た瞬間、数字が滝のように流れた。


「全長十四・二メートル。体重八・六トン。体表の鱗の硬度は鋼の三倍――ただし」


「ただし?」


「左の後脚、古傷があります。骨密度が周囲の六割。それと、あの竜は三日間何も食べていません。飛翔に必要な魔力残量を割っています。……あれは、飛べない」


 隊長が息を呑んだ。俺は続ける。


「岩山の斜面、傾斜三十一度。竜の体重なら、左後脚に負荷が乗った瞬間に滑落します。東から矢で挑発して、左を向かせてください。滑落地点はあの谷。落下の衝撃は――計算上、鱗の耐久を上回ります」


 作戦は、その通りに進んだ。田舎冒険者の寄せ集めが、一人の死者も出さずに飛竜を討った。谷底で息絶えた竜に矢を放ったのは、たった十二本。


 その夜、ギルドの酒場は祭りになった。グレンダは俺に杯を押し付けて笑った。


「あんた、王都で何やってたんだい」


「荷物持ちです。数を数えるだけの、無能の」


「……王都の連中の目は、節穴だね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ