Episode30 森の少女
◆今回初めて登場する人物◆
リリー(17)
数ヶ月前、両親を影の騎士にさらわれ、1人になってしまった少女。暗黙の森に住んでいる。
●今回初めて登場するアイテム●
鉄の長剣
鉄で出来た何の変哲もない長剣。鍛冶屋を営んでいたリリーの父の自称・最高傑作の剣。
水晶の戦斧
水晶で出来た戦斧。硬度が高めのうえ、少し軽めと言う扱いかいやすい斧。切れ味も抜群。
漆黒の長弓
黒柏で出来た長弓。シャドウナイトの弓兵が愛用する。威力、射程距離ともに高い。
王都を出発してから、何日かがたち僕たちは暗黙の森へとたどり着いたら(もちろん、パートナーの背中に乗ってきた)。
森への入口、そこには『暗黙の森』と記された立て札と、アーチのように生い茂る木々があった。僕たちはそのアーチをくぐり、暗黙の森の中へと入り込んだ。
ヒューン!ヒューン! ヒューン!
と、いきなり矢の連弾が飛んできた。僕はそれを「プロテクション」で防ぐ。ふぅ...一安心。と、思ったのもつかのま、今度は近くの木から、背中には弓、左腰には剣、右腰には矢筒の少女が斧を降り下ろしてきた。すぐさま、僕は剣を抜き、硬化魔法をかけてそれを防ぐ。
ガキィィイン!
金属同士(正確には、僕の剣は金属製じゃないが...)が触れ合い、物凄い音が鳴る。そのとき、一度、後退していた少女が今度は剣で襲ってきた。僕はすがさず
「汝よ、失神せよ!スタンニング!」
と、麻痺魔法を発動する。と、彼女は気を失った。
「あれ、私、生きてる?」
目を覚ました少女が、自分が無傷なことに驚いている。どういうことだろうか?襲われると思ったのだろうか?と、僕が聞く前に、テーラが彼女に
「どうしたの?」
と、優しく質問していた。
「もしかして、あなたたち悪い人たちじゃない...?」
と、彼女は寝言のようなことを言う。
「当たり前だよ。影の騎士の仲間とでも思い込んじゃったの?」
今度は、僕が質問する。すると、彼女はこくんこくんとうなずく。
やがて、安心して落ち着きを取り戻した少女は、自分と両親などのことについて話してくれた。
彼女の名前はリリー、17歳。ジョブは得意武器の豊富なハンター(彼女の場合、特に弓矢が得意らしい)。以前は両親とこの森で暮らしていたらしい。が、数ヶ月前、彼女が薬草採取をしているスキに2人とも陰の騎士にさらわれてしまったらしく、今日に至るまで森の中で1人暮らしをしていたらしい。そして、僕たちを襲いかかってきたのは、最近、この近くを影の騎士がうろついていたから、仲間かと思ったからだと言う。まぁ、それなら仕方ないか(とは言っても、偏見に過ぎないことには変わりはないが...)。
「影の騎士の仲間じゃないなら喜んで歓迎するわ。良かったら、私の家に来ない?ちょっとした本棚もあるし、面白いペットとかもいるよ?」
リリーが僕たちに言ってきた。僕は戸惑う。今も、影の騎士による人さらいが進んでいると言うのに、こんなところで寄り道しても良いのだろうか?と。そう思って、テーラの方を見る。すると、彼女に
「別に良いんじゃない?島を救うことを考えるだけの旅なんてつまらないじゃない?」
と言われる。たしかにそうか...。彼女の言葉に納得した僕は
「じゃあ、お言葉に甘えて...。」
と、リリーに告げる。すると、彼女は笑顔で案内を始めた。
リリーの家、それはツリーハウスとコテージが併合したような構造だった。それに、訓練場のような場所もある。その夢のような空間を見つめながら、僕は
「こんな、家に住みたかったなぁ...。」
と呟いた。実家のような館よりも、こっちの方がよっぽど趣があると僕は直感したのだ。




