Episode20 影の騎士襲来
「輝く宝玉よ、放たれよ!シャイニングボール!」
僕はそう唱え、杖に魔力を流す。するた、先から光る球体が放たれた。
ドーン!
轟音の後、辺りの地面に亀裂が走る。どうも、僕は魔略制御が下手くそならしい。だから、マリアに教えてもらっている。この状況を見て、彼女は呆れのため息をつき、
「アンタさ...もっと、力を抜いてって何度いったらわかるの!?」
と怒られる。そんなこと言ったって、難しいから仕方がない。魔力量が多いってのは一長一短だな。魔法はたくさん使える、でも、制御か難しい。大きな力ほど翻弄されやすいのは典型的なパターンなのだが、ここまでとは思っていなかった。
「輝く宝玉よ、放たれよ!シャイニングボール!」
何度、この呪文を唱えたことか...。やっと、僕はある程度、魔力を制御できるようになった。今回も、もちろん成功。地面に少し跡が出来ただけだ。マリア曰く、本来はこの威力らしい(僕には本来なんて通じないと思うんだが...)。
と、何やら騒がしくなってきた。場所は...宿屋の方だ。僕たちは気になって行ってみる。すると、そこにはあの黒い騎士・シャドウナイトがいるではないか...!
「遅いわよ!」
テーラが1体のシャドウナイトに応戦しながら、言ってくる。
「ゴメン...練習してたから...」
僕は言い終わる前に後ろにいた影の騎士が襲いかかってきた。僕はソイツを『魔力解放』で倒す。すると、続けざまに騎士は襲ってきた。僕はソイツたちを剣で縦に、斜めに、横に振り回し倒していく。
続いて、バーロンに向かって、騎士が一斉攻撃が仕掛ける。大丈夫か。と思ったが、どうやら杞憂だったようだ。彼は回し斬りソイツたちを一気に蹴散らす。おぉ、久しぶりに見たな。バーロンの回転斬り。
と、騎士のうちの1人が僕に斧を振り下ろしてきた。僕はそれを避け、ソイツの背中に剣を突き刺して倒した。よそ見をしてる場合ではない。おそらく、他の4人は大丈夫だろう。今は、自分のことに集中しよう。いや...一気に蹴散らすか?
「魔力よ、解き放て!」
てなわけで、僕は大規模な『魔力解放』でシャドウナイトを一気に蹴散らした(他の客も巻き込まれたようだが、怪我もなかったし謝れば許してもらえるだろ)。と、思われたのだが、1体だけ生き残りがいた。敵ながらやるではないか。
「輝く宝玉よ、放たれ...」
呪文の途中で杖が弾かれた。くっ...ならば...。
「即興魔法!リーセ...」
またまた、呪文が遮られた。今度ばかりはもう終わりだ。口を閉じられ言葉を発することが出来なくなったのだ。僕はなす術なく崩れ落ちる。そんな僕に騎士は容赦なく剣を振り落としてきた。
グサ!グサ!グサ!
ソイツに数本のナイフが刺さった。そして、倒れた。
「危なかったわね!」
地面に落ちた2本のナイフを手に、テーラが言う。
「うん、ありがとう。」
僕は彼女に礼を言う。数本あった物が2本に変わったのは、おそらく、エリーナさんかマリアが分身魔法「パラレル」を使ったからだろう。
その後、僕たちは『魔力解放』に巻き込まれた客に謝ってから(他の4人は何で私まで、俺までと文句を言っていたが...)、それぞれの部屋に戻った。




