第七十七話 ノワール・デュエル 空中戦
ジャ~~~ン!!!
ジャ~~~ン!!!
ジャ~~~ン!!!
「それではノワール・デュエル、最終決戦!」
「空中戦を開始いたします!」
「「「「ウオ~~~~~ッ!!!」」」」
これで空の覇者が決まると言う事で、観客のボルテージは、最高潮に達しています。
「それでは、ここまでのポイントを発表します!」
「カレン選手、地上戦2勝で2ポイント!」
「ダハリウス王、地上戦1勝の1ポイント、ウイングウッド・ラリー2着で1ポイント」
「合計2ポイントです!」
「ザハール王、ウイングウッド・ラリー1着で2ポイント!」
「全員2ポイントで並びましたので、この空中戦で勝者が決定いたします!」
「「「「ウオ~~~~~ッ!!!」」」」
「空中戦は総当たり戦となります!」
「で、初戦はダハリウス王とカレン様の対戦となっているのですが・・・」
「えっと・・・」
「あの・・・カレン様?」
「この試合は空中戦と言う事なので、カレン様はその・・・」
「誠に言いにくいのですが、翼を持たないカレン様は空を飛べないので、失格と言う事でよろしいでしょうか?」
「「「「ウオ~~~~~ッ!!!」」」」
「「「「失格、失格~~~!!!」」」」
「「「「退場!退場~~!!」」」」
「「「「退場!退場!退場!・・・・・・」」」」
観客たちは大喜びで、カレンの退場をコールしていますが、その観客席に向かって大声で怒鳴る者がいました。
「黙らんか貴様ら~~~!!!」
「ここは神聖なる戦いの場なのだぞ!!!」
大声で怒鳴ったのは、ダハリウス王でした。
そしてザハール王も、大声で観客たちを諫めます。
「貴様ら!恥ずかしくないのか!!!」
「ヴァリオン族では無くとも、ここまで素晴らしい戦いをしてきた勇者を愚弄するとは何事ぞ!!!」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
二人の王様から大声で怒鳴られた観客は、水を打ったように静まり返ってしまいました。
「カレン殿、本当に申し訳ない!」
「どうか、愚かな民を許してくれ!」
「いや、あなたのような素晴らしい勇者と戦えた事を、誇りに思っておりますぞ!」
ダハリウス王とザハール王は、カレンに国民の無礼を詫びました。
「えっ?いやだなぁ~!」
「別に謝らなくてもいいよ!オレは全然気にしてないから~!」
「それに、まだ試合が残っているじゃん!」
「「はぁ?」」
「いや、これは空中戦なのですぞ?」
「どうやって、空で戦うと・・・」
二人の王様は、キョトンとした顔でカレンを見ています。
「だから、オレに翼が無くても、空中で戦えたらいいんだよね?」
カレンは進行係の女性に尋ねました。
「は、はぁ、そうですね」
「それが可能でしたら・・・」
「オッケー!」
「じゃぁ、試合を続けようか!!」
「「「「????」」」」
カレンの試合を続けると言う言葉に、周りの人々は何を言っているのか意味が分からず、ポカーンとしています。
ピィ~~~~~~ッ!!
「おいで、イレーネ!!」
カレンは指笛を吹いてイレーネを呼びました。
するとどうでしょう!
闘技場を揺るがすような叫び声と共に、巨大な漆黒のドラゴンが会場に姿を現しました。
「グオ~~~~~ッ!!!」
「「「「うわ~~~~っ!!!」」」」
「「「「キャ~~~~ッ!!!」」」」
「「「「ドラゴンだ~~~!!!」」」」
会場内が大パニックに陥る中、カレンはイレーネの背中に飛び乗ると、スラリと剣を抜いて大声で叫びました。
「空の覇者は、オレがいただくぜ!!」
「グオ~~~~~ッ!!!」
「なに~~~っ!?」
「ド、ドラゴンナイトじゃと~~?!!」
ダハリウス王は慌てて空に飛び立ちましたが、カレンとイレーネに圧倒されて、どうしてよいのか分かりません。
「こ、こりゃ、無理じゃろ?!」
「伝説のドラゴンナイトを相手に、空の覇者などとは、おこがましいわい!」
ジャ~~~ン!!!
試合開始のドラが鳴り響くと、パニックになった会場の観客も、逃げ出すのをやめて慌てて席に戻り、試合に注目しました。
ノワール・デュエルでの戦いは、あくまで打撃武器での戦いです。
斬撃を飛ばすライトニング・クレストカットや、もちろんイレーネの放つブレス攻撃も違反となります。
「いくよ!」
イレーネに命じてダハリウス王に近づくと、そこからカレンは速攻で攻撃を仕掛けました。
カキ~~ン!
「どわっ!」
カレンの速攻を辛うじて防いだダハリウス王は、急いでカレンから離れようとしますが、それをイレーネが阻止します。
キーン!
ガシッ!
「うおっ!」
「こ、これはまともに戦っては勝ち目がないぞ!」
「だが自分で飛べないのなら、小回りで振り切り、背後を取れば勝機は我にある!」
ダハリウス王は、何とかカレンの背後に回り込もうとしますが、カレンと一心同体のイレーネによって、全て先手を打たれてしまいます。
「こ、これほどまで巧みにドラゴンを操るとは!」
「もはや、ヴァリオン族の空中での優位性など、無いのに等しいわ!」
「いや、相手がドラゴンでは、その逆じゃわい!」
そう言うとダハリウス王は逃げるのを止め、カレンに正面から戦いを挑みました。
「いざ!勝負じゃカレン殿!」
「うふふ・・・了解!」
「いざ!」
返事と共に、カレンはダハリウス王に向かって攻撃を仕掛けました。
シュッ!!
カレンはダハリウス王の渾身の突きを紙一重でかわしながら、身体をクルリと一回転させて、必殺の一撃を繰り出します。
ザシュッ!!!
「勝負あり!勝者カレン様!」
「「「「うわ~~~~~~っ!」」」」
観客席からは、悲鳴のような声が響きます。
「これを見るのは二度目じゃのぉ・・・」
「いや、人形がリアルなだけに、これは堪えるわい・・・」
見ると地上のダハリウス王の身代わり人形は、見事に胴体が真っ二つに切り離されていました。
ジャ~~~ン!!!
「それでは、次の対戦は・・・」
「いや、もうよい!」
進行係の女性の声を、ザハール王は遮って言いました。
「私はカレン殿を空の覇者と認め、戦いを棄権する!」
「「「「えぇ~~~~~~っ!」」」」
会場からは落胆の声が聞こえましたが、それもすぐに収まりました。
これまでの戦いを見て来た観客も、力の差を認めざるを得なかったからです。
「うむ!総当たり戦だが、わしもザハール王との戦いは止めておくわい!」
「これ以上戦っても、意味がないからのぉ!」
ダハリウス王も、次の戦いをする意思がない事を伝えました。
「で、では!ノワール・デュエルの勝者をカレン様と認め」
「カレン様が、空の覇者に決定いましました!!」
ジャ~~~ン!!!
ジャ~~~ン!!!
ジャ~~~ン!!!
「「「「おぉ~~~~~~っ!」」」」
「「「「空の覇者に祝福を~!!!」」」」
「「「「パチ、パチ、パチ、パチ・・・・・・・」」」」
結果を認めた民衆から、盛大な声援と拍手が沸き起こり、ノワール・デュエルはこれにて閉幕となりました。




