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第五十六話 会議の結果

2時間の小休止が終わり、会議が再開されました。


「では、今後の対策についての話だが・・・」


「まずは不死身のアンデッドへの対策として、これらはスクラップ殿の提案であるが」


「カーナよ、お前やフレディア達と共に戦う仲間たちへ、神の加護を授けようと思う」

「授ける事の出来る属性は、『火』『風』『水』『土』の4属性である」



「ただし、1つの属性につき1名限定なので、しかるべき者を定めるがよいぞ」


「あい!」


「では、それぞれの神には、わしからこの事を通達しておこう」


「それと水の女神セレイヤよ!」

「そなたの持つ悲劇のハープを、人間に貸してはくれぬか?」


「はい、わかりました」

「でも、あれを演奏できる清き心の持ち主が、人間の中にいるのでしょか?」


「悪しき心を持つ者が奏でると、心を闇で支配すると言われているのですよ?」


「あっ!それなら大丈夫です!」

「ルナなら、きっと使いこなす事ができます!」


(ルナ?はて、どこかで聞いたことのある名前だな?)

(いや、人間の世界の事なら、きっと思い違いであろう・・・)


ダレス様は、ちょっと気になるそぶりを見せましたが、すぐにセレイヤ様に向き直りました。


「まぁ、そのような者が、あなたの仲間にいるのですか?」


「はい、ニコヤの遺跡で死霊にされたマリポサの心を、悲劇のハープを奏でて浄化させたことがあります!」


「まぁ、そうでしたか?」

「それほどの奏者がいるのでしたら、是非ともわたくしも聴きたいですわ!」


「あ、そうだ!」

「ルナは水の魔法使いなのですが、是非セレイヤ様の加護を授けていただけませんか?」


「よろしいでしょう」

「では、その者の奏でるハープの元へ参りましょう」


そう言うと、セレイヤ様はカーナに悲劇のハープを渡してくれました。



「それとカーナよ、聖職者が使う回復魔法を反転させた、リバース・ヒールという魔法書があるのだが・・・」


「これは回復魔法だが、対象がアンデットなら回復量分のダメージを与え、広範囲回復を使うと、味方は回復し、敵アンデットは同時に消し飛ぶ魔法なのだ!」


「この魔法書を教会へ手配するので、仲間の聖職者たちに習得するように言って欲しいのだ!」


「あい!」


「で、もう一つだけ頼みがあるのだが・・・」


「それは聖なる泉に宿る、涙と水の女神『セレスフィア』の力を借りる事なのだが・・・」

「そのセレスフィアの住まう神殿の場所が、まだハッキリ分かっておらんのだ」


「地上の天使たちに調べさせたのだが、恐らくフォルカノス火山の近くにある、封印されし古代の遺跡『オルフェオン王墓群』にあるのではないかというのだが・・・」



「あ~~っ!うち、その場所のこと聞いたことがあるで~!」

「幽霊とか、亡霊とかが出てくるめちゃくちゃヤバイところやでぇ~!」


「うちは、ゾンビとか悪霊系はちょっと無理やわ!」


オリビアが大きな声で言いました。


((オリビアのヤツ、先手を打って逃げおったぞ!))


恋を取り持つ神様と技術と創作の神様は、心の中でつぶやきました。


「まぁ、そう言うなオリビア!」

「聖なる泉の水を手に入れれば、アンデッドを浄化する事が出来るのだ」


「なっ!これが最後の頼みだから・・・」


ダレス様はオリビアに、拝むような仕草でお願いしています。


「しゃあないなぁ~」

「ダレス様がそこまで言うんやったら・・・」


「ほなカナちゃん、がんばってな!」


「あ、あい!?」


((オリビアのヤツ、カーナに振って逃げおったぞ!))

((あいつ、ある意味天使の中では無敵じゃのぉ・・・))



「そうか!やってくれるか!」

「では、我らも全力で応援するので、カーナよ!地上の事はよろしく頼んだぞ!」


こうして長かった会議も一段落し、それぞれの役目に戻って行きました。



「さて、神様の加護を誰に授けてもらおうかなぁ~」

「とにかく、フレディアにも相談して、これからの事を決めなくちゃ!」


「オリビア、この事をフレディアに知らせてくれる?」


「よっしゃ!うちにまかしとき!」

「それとセレノス様の加護の件やけど、カナちゃん誰にするか決めてるの?」


「ううん、イレーネファイターズには風使いはいないから・・・」


「だったら、シルヴィーにあげてもええ?あの子風の魔法使いやから」


「えっ?シルヴィーって、あの革命軍のリーダーの妹さん?」

「あの子も一緒に戦っているの?」


「せやで!フレディアのチームで頑張っているねんで!」


「そうなんだ!?じゃあ、いいよ!」

「あっ、それなら炎の神イグナート様の加護は、シラに授けてもらうね」


「ええでぇ~!」



「う~~ん・・・」


「水の女神セレイヤ様の加護は、ルナにお願いしたから、残りは土の女神テラシア様の加護を誰にするかだね?」


「これはフレディアと相談してから決めるね!」



「了解!フレディアに伝えるわ!」

「で、カナちゃんは、これからどないするん?」


「うんとねぇ・・・」

「解放軍の方は、今は地盤固めと物資の流通の確保が中心だから、特に戦力は足りているのよね~」


「だから、あたしはカレンの事が気になるから、捜しに行こうと思っているの」


「わかった!気を付けて行きや!!」


こうしてカーナとオリビアは、再び地上へと戻って行きました。



その頃カレンは、砂漠の町アルサンドラの西にある『灰色の森』で、Bランクの灰色熊の魔物エルドベアの群れと戦っていました。


「ちっ!めんどくさいなぁ~」

「ムチなら一振りで3匹は倒せるのに!」


カレンは使い慣れたムチを使わずに、ダグラスからもらい受けたバスターソードで戦っていました。

しかもインドラの雷撃を多用すると剣が痛んでしまいそうなので、魔法の力も使わずに戦っているので、少々てこずっているようです。


剣の扱いは素人のカレンですが、それでもSランク冒険者の実力で、少し時間はかかりましたが、難なく8匹の凶暴なエルドベアを倒しました。


「ふぅ~!腹減った・・・」

「こいつを焼いて食うか!そのうちイレーネも帰って来るだろう・・・」


7匹は魔法のアイテムボックスに収納し、1匹を昼食用に解体し終わった頃、ちょうどイレーネが偵察から帰ってきました。


「ギャ~ス!」


「おっ、お帰りイレーネ!」


「キュイ、キュイ~ッ!」


「そうか!朽ち果てた古塔が見つかったのか!」

「よくやったぞイレーネ!えらい、えらい!」


カレンはイレーネの頭をなでなでしてあげました。


「さぁ、こいつを食ったら出発しようぜ!」

「あの漆黒の鎧の野郎を、ぶっ飛ばしてやらねえとな!」


そう言うとカレンとイレーネは、ガブッと肉にかぶりつきました。




その頃デプロス王国では、国王のオッサムがカンカンになって、周りの者を怒鳴り散らしておりました。


「ザキュエルは何をしておるのだ!」

「城へ戻れと通達したのに、一向に帰って来ぬではないか!」


オッサムの怒鳴り声に怯えながら、側近の従者は小声で答えます。


「そ、それが、何度も伝えましたが、「分かった!」というだけで、一向に動こうとはしないのです・・・」


「どうも魔城の復活計画が、もう少しで完了すると言うのが、あの者の動かぬ理由でありまして・・・」


「馬鹿者!貴様はそれで、すごすごと帰って来たのか?」


「申し訳ありません!」

「わ、わたしの力では、あの者を従わせるのは難しいので・・・」


「できれば、国王自らあの者に鉄槌を下していただきたく・・・」


「大馬鹿者!」

「わし自ら出向けと申すのか!」


「この役立たずめが!!」


「誰かこの者を牢屋にぶち込んでおけ!」


「ひ~~~っ!ご勘弁を~!!」


泣き叫ぶ従者は、衛兵に引きずられながら牢獄へと連れ去られました。


「くそが!パステルの町を献上すると言っておきながら、戦で大敗しおって!」

「わが軍の船団は壊滅してしまったではないか!」


「それだけではない!」

「わしを倒すために、クロッサムの町で蜂起した解放軍とやらが、アルサンドラの町までも奪いおったのだぞ!」


「誰か、南方の反乱分子どもを黙らせる者はおらぬのか?!」



シ~~~~ン・・・・



しかしオッサムの希望に答える事が出来る者は、一人もいませんでした。


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