第五十四話 カーナの報告
<主な登場人物>
久しぶりに登場した人物を紹介しておきます。
<ダレス> 神々を束ねる大神 銀色の髪に金色の瞳 口には威厳のあるひげを蓄え、年齢は不詳40歳前後に見える 2メートルを超える巨体
<技術と創作の神様> 頭もはげて、立派な白いひげを伸ばしているので、80歳を超えたおじいちゃんに見える
<恋を取り持つ神様> 技術と創作の神様にそっくりな神様
<ルミナテス> 星詠みの女神 髪は紫色のロングボブ 紫色の水晶のようは瞳を持つ美しい女神様
その頃天界では、星詠みの女神ルミナテス様が中心になって、ザキュエルに破壊されたプラネットルームの復旧が、急ピッチで行われていました。
「それではみなさん、準備は良いですか?」
「酸素、窒素、炭素などの配分に間違いはありませんね?」
「「「はい、ルミナテス様!ばっちりです!!」」」
ルミナテス様の問いかけに、おつきの天使たちが元気よく答えました。
「それでは水素を送り込んで、プラズマを発生させますよ!」
「それっ!」
ギュ~~~ン!!
バチ、バチ、バチ、バチ・・・・・
プラネットルームの中心に浮かんでいる球体が、明るく輝き始めました。
バチ、バチ、バチ、バチ・・・・・
「さあ!いよいよ核融合反応が起こりますよ!」
「みなさん、この太陽の復元に成功・・・」
ボッカ~~~~ン!!
「「「ヒエ~~~~!!」」」
「あち、ち、ち~~~っ!」
「みず、みず、みず~~~っ!」
実験中に大爆発が起こり、魔法のバリアも粉々に吹き飛ばされてしまったようで、あちこちに火の粉が飛び散っています。
「ルミナテス様、大丈夫ですか?」
「あわわっ、ルミナテス様のお顔が真っ黒に!!」
「ごほっ!ごほっ!ごほっ!」
「ぷはぁ~!」
「これは一体、どうしたことでしょう?」
「わたくしが、水素を送り込む量を間違えたのかしら?」
おつきの天使が心配してルミナテス様の様子を伺いましたが、本人は失敗の原因を調べる事に必死になっています。
顔を煤だらけにしたルミナテス様が、太陽の核にする物質を調べていると、そこにダレス様のおつきの天使が呼びに来ました。
「ルミナテス様、大至急ダレス様の所へおいで下さい」
「なんと、大至急ですか?」
「お風呂に入ってからでは、ダメなのでしょうか?」
「はぁ、何でも地上から帰ったカーナ殿が、重要な報告があるとかで・・・」
「そうですか、分かりました!すぐに参ります!」
ルミナテス様はタオルで顔を拭きながら、急いでダレス様の神殿へ向かいました。
案内された会議室では、カーナが出されたジュースを、おいしそうに飲んでいました。
その横ではオリビアも、出されたお菓子を口いっぱいに頬張って、パクパクと食べています。
「あらっ、なんだか重要な会議って気がしないですわね?」
カーナとオリビアのまったりした様子を見て、ルミナテス様はすこし拍子抜けしたようです。
「忙しいところ、呼び出して・・・」
「って、大丈夫かルミナテス!?」
顔を煤だらけにした彼女を見たダレス様は、驚いて言葉を失っています。
「えぇ、わたくしは大丈夫なのですが」
「また太陽の復元に失敗してしまいました・・・」
「そ、そうか、だがそなたが無事で何よりだ」
残念そうに言うルミナテス様に、ダレス様はいたわりの言葉を掛けました。
「そなたを呼んだのは、カーナが地上で気になる事があったそうでな」
「そなたにも聞いておいてもらおうと、思ったのだ」
「では初めにオリビアよ、地上での報告を頼むぞ」
「んぐ!?」
「ん、ん、ん、ん~~~~っ!」
「オリビア、ジュース!ジュース!」
喉を詰まらせて真っ赤な顔をしているオリビアに、カーナは慌ててジュースを渡しました。
「ぷはぁ~!」
「やばっ!死ぬかとおもったわ~!」
「大丈夫?そんなに頬張って食べるから・・・」
背中を叩きながらカーナが、心配して言いました。
「いやぁ~!このお菓子がメチャクチャおいしかったので、つい・・・」
「まぁ?そんなに美味しいのですか?」
「では、わたくしにも頂けないかしら?」
「あっ!うちにもお代わりちょうだい!」
(いや、早く報告を・・・)
ダレス様は困った顔をしましたが、ルミナテス様のおそばにいた天使が、二人のために慌ててお茶とお菓子を用意しました。
「ごほん!では、オリビア報告を!」
「は~い!」
「パステルの町での戦いは、うちの連絡でフレディア達が間に合ったので、ぶじに勝利しました」
「攻めて来た船団はほぼ壊滅したんで、当分の間は攻めてこられへんと思います」
オリビアは、パステルの町での戦いの様子を、つぶさに報告しました。
「そうか、ご苦労であった!」
「ではカーナよ、地上での報告を頼むぞ」
「あい!」
カーナはクロッサムの町を包囲していた魔物の軍団を、革命軍と共に殲滅した事と、その後アルサンドラの町を解放した事を、詳細に説明しました。
「それで、結果的には大成功だったのですが・・・」
「実はクロッサムの町で勝利を収めた後、大変な事件がありまして・・・」
「なに、大変な事件だと?」
ダレス様は、身を乗り出して尋ねました。
「あい!」
「ダレス様は、漆黒の鎧を身にまとい、大天使のように背中に立派な翼を持つ騎士をご存じでしょうか?」
「その者の翼はカラスのように、真っ黒でした」
「なんと、漆黒の鎧を身にまとった、黒い翼を持つ騎士とな?」
「あい、その者はホワイトホールの中から、ペガサスに乗って現れました!」
「「「「ええ~~~っ!」」」」
会場にいた者達は一様に驚きの声を上げましたが、一人だけ様子のおかしな神様がいます。
あまりの驚きに、お菓子を口いっぱいに頬張っていたルミナテス様が、喉を詰まらせてしまったのです。
「んぐ!?」
「ん、ん、ん、ん~~~~っ!」
「あわわ!ルミナテス様、お茶!お茶!」
オリビアがお菓子で喉を詰まらせたルミナテス様に、慌ててお茶を差し上げました。
「おい!大丈夫かルミナテス!」
顔を真っ赤にしているルミナテス様に、ダレス様が慌てて声をかけます。
「ぷはぁ~!」
「ぜえ、ぜえ・・・」
「し、死ぬかと思いましたわ!」
(いや、いや、会議中にお菓子を詰まらせて死ぬって、冗談でもやめてくれよ!)
「ふう!とりあえず、会議が終わるまでお茶菓子を出すのは控えるように・・・」
ダレス様は会議のお世話をしている天使たちに命じました。
「ところでカーナさん、本当にホワイトホールだったのですか?」
お茶を飲み終えたルミナテス様が、カーナに尋ねました。
「あい、あたしはマラドガードの戦いで一度見ていますので、間違いはありません!」
「あっ!そうでしたわね!!」
「で、現れたのはザキュエルではなく、漆黒の騎士だったと?」
「あい!ザキュエルも一度見ているので、あの者では無いのは確かです」
「なんと・・・」
ルミナテス様とダレス様が、沈痛な面持ちで考え込んでいます。
会場にいる神々も小声で囁き合って、何やら重苦しい空気が充満しています。
このままでは答えが出ないと思ったカーナ―は、もう一つの大切な話をしました。
「あの、それでですね・・・」
「おぉ、すまぬ!つい考え込んでしまった!」
「話の続きを聞こう」
「あい!」
「それで、あたしの仲間がその漆黒の騎士と戦ったのですが・・・」
「ほう!その者と戦ったのだと?」
「だれが戦ったのだ?」
「Sランク冒険者のカレンです」
「え~~っ!カレンって、あのバズエルとの最終決戦にいた、めっちゃ強い美人の?」
オリビアが驚いて聞きました。
「ほほう、それほどの猛者が?!」
「で、結果はどうだったのだ?」
「惨敗しました!」
「「「え~~~っ?!」」」
「えっ?惨敗なの?」
「うん、カレンの『インドラの魔法』が、全く通用しなかったの」
驚くオリビアに、カーナが説明しました。
「なんと!それほどまでに強いのか、その漆黒の騎士とやらは?!」
(ひょっとして、わしの雷の魔法も効かぬのではあるまいな?)
ダレス様は深刻な表情で、漆黒の騎士の正体を考えています。
「それで、カレンはどうなったん?」
「まさか・・・」
「あっ!それは大丈夫だよ!」
「いまカレンは、その騎士に修行してもらうために、旅に出ているの」
「「「え~~~っ?!」」」
「いや、いや!その騎士、敵とちがうん?」
「オリビアの言う通りですよ!」
「一体何がどうして、その様な事に?」
ルミナテス様も、カーナの言っている意味が分からず慌てています。
「あのね、その漆黒の騎士がカレンに言ったんだって」
「強くならなければ、今のままでは絶対に勝てないって!」
「それは漆黒の騎士にですか?それとも誰か他の者にですか?」
ルミナテス様が尋ねました。
「ザキュエルにです!」
「あっ、それと『モルグデウス』にも勝てないって言われたそうです」
「そうですか・・・」
「えっ!モルグデウス?!」
「ちょっとカーナさん、それって?!」
「はい、もうすぐモルグデウスが復活するそうですよ?」
「「「「ええ~~~っ!!!」」」」




