第四十九話 漆黒の騎士
<主な登場人物>
久しぶりに登場した人物を紹介しておきます。
<ダグラス>カルカラッサの町のギルドマスター Aランク戦士 金色の髪に青い瞳の屈強な男性 スコーピオンキラーの二つ名を持つ 武器は特注の大きなバスターソード
<リオン>スターバーストのリーダー Aランク剣士 特徴:黒い髪に茶色の瞳 背が高い精悍な顔の青年 武器はミスリルソード
<クラット> Bランク聖職者 青い髪に青い瞳の優男 特技:『ガード』『ヒール』『キュアー』
<ボトル> Bランク魔法使い 赤い髪に赤い瞳の、とんがり帽子が良く似合う神経質そうな感じの男性 特技:アイスウインド アイスウオール
<カチュア> Bランク戦士 茶色い髪に黒い瞳の太っちょ 武器:ハルバード
インドラの雷撃をまともに食らっておきながら、平然としている漆黒の騎士を見たカーナは、カレンに勝ち目がないと悟り、逃げるように言いました。
「カレン、逃げて!」
「この人には雷撃が効かないわ!」
「いや、まだだ!」
「たとえ刺し違えても、逃げる訳には行かない!!」
そう言うとカレンは、最後のキリ札であるプラズマバーストを発動し、漆黒の騎士に向かって渾身の力でムチを打ち付けました。
ピシ~~~~ッ!!
漆黒の騎士はカレンのムチを難なく左手で受け止めると、右手の剣を真っすぐカレンの喉元へ突きつけました。
ヒュン!!
「うぐっ!」
剣の切っ先は、カレンの喉元数ミリの所で止まっています。
そしてカレンの発動したプラズマは、漆黒の騎士にすべて吸収されてしまい、勝負は決まりました。
「ど、どうして・・・」
カレンは負けを認め、ガックリと膝をついて漆黒の騎士の攻撃を待ちました。
「私は闇を支配する一族の者だ」
「私には魔法を吸収する力『マナドレイン』があるのだよ」
「くっ!」
カレンは、敗因は魔法の力に頼り切った自分の未熟さにある事を痛感しました。
「この地で多くの魔物の血が流れ、覇気をまとった強者の気配を感じてやって来たのだが」
「どうやら期待外れだったようだ」
「貴様程度では、ザキュエルはおろか、モルグデウスにも勝てないだろう」
「くっ!わかったから、早くオレを殺せ!」
「では、苦しまぬよう一瞬で済ませてやろう」
漆黒の騎士が剣を構えたその時、激しいブレスが騎士を襲いました。
ゴ~~~~~~ッ!!
イレーネがカレンを救おうと、全力でブレスを放ったのです。
そしてカーナが風の魔法で、カレンをその場から吹き飛ばしました。
「うぬ・・・」
「このブレス・・・」
「そうか、お前がマラードの忘れ形見だな?!」
漆黒の騎士は、ブレスで焼かれた腕を見てそう言うと、剣を鞘に収めました。
そしてカレンに向かって言いました。
「ムチではダメだ!」
「強くなりたければ、ムチを捨てて剣を取れ!」
「もし、お前が強くなりたいのなら、『灰色の森』にある、『朽ちた古塔』へ来るがよい」
「もうすぐモルグデウスが復活するぞ!」
「時間は無いとおもえ!」
それだけ告げると、ペガサスに乗って去って行きました。
「大丈夫ですかカレン様!」
「カレン、怪我はない?」
アリスとカーナが急いでカレンの元へ走りました。
避難していた他の者達も、急いでカレンの元へ駆け寄ります。
「いや、オレは大丈夫だ」
「大丈夫なのだが、奴には全く歯が立たなかった・・・」
その事が、かなりのショックだったようで、カレンはキャノンガールズたちに支えられて、寝室まで運ばれて行きました。
この事件があってから1カ月が過ぎようとしていた頃、クロッサムの町に大量の物資が運び込まれて来ました。
その物資の護衛をしていた人物が、カレンの所へやって来ました。
「よぉ、カレン!」
「久しぶりだな!」
「あっ!おやっさん!」
「なんで、ここにいるんだよ?」
やって来たのは、カルカラッサのギルドマスターのダグラスでした。
「なんでって・・・」
「物資をリヴァーヘイムの町から運んで来たんだよ」
「はぁ?リヴァーヘイムの町から?」
「あぁ、俺はいまリヴァーヘイムのギルドマスターをやっているんだぜ」
「なんで?」
「いや、何でって・・・」
「お前たちが調査隊としてヘルパス地方へ派遣された頃、国から国境沿いのリヴァーヘイムの町が手薄で心配だから、行けって命令が出たんだよ」
「カルカラッサの町は、国境からは最も離れているし、この町には一番近いからな」
「で、カルカラッサのギルドは、お前も知っている元デゼルトファイターズのトナーが、ギルドマスターをやっているぜ」
「なんだ、そっか!」
「オレはまた、おやっさんが無茶をして、左遷されたのかと思ったぜ!」
「バカ!お前と一緒にするな!」
「それで、こいつらも一緒に連れて来たぞ!」
ダグラスの後からやって来たのは、カルカラッサのギルドの冒険者、『スターバースト』のメンバーでした。
「「「うわ~!カレンさんだ!」」」
彼女推しのズッコケ3人組がカレンを見て大喜びしているので、リーダーのリオンが代表して挨拶をしました。
「お久しぶりです、カレンさん!」
「よお!久しぶりだな、お前たち!」
「あれっ?カレンさん、ブルートはいないのですか?」
大騒ぎしていたズッコケ3人組のカチュアが、カレンに尋ねました。
このズッコケ3人組は、カレンからブルートの世話を任されて、いままで散々な目に合っているので気になったようです。
特にカチュアはカレンにプロポーズした時、ブルートにお尻をかぶられた苦い経験があるので、なおさらです。
「あぁ、ブルートはもういないよ」
「森に返したんだ」
「え~っ!そうなんですか?!」
(((やった!これで俺たちは自由だ!)))
「それは、残念です!」
聖職者のクラットも、いかにも残念そうな顔を作って言いました。
(((もうブルートにビビらなくて良くなった!ばんざ~い!)))
「あぁ、ちょっと寂しいなぁ~!」
魔法使いのボトルは、にやける顔を必死でこらえています。
(((超うれしぃ~!!)))
「ありがとう、お前たち!」
「ブルートのことを、すごくかわいがってくれてたんだな!」
「「「もちろんですとも!!」」」
ズッコケ3人組の話を聞いたカレンは、すごく嬉しそうにほほ笑んでいます。
(やった!カレンさんの俺たちに対する好感度が爆上りだぜ!)
「だけど、安心しろお前たち!!」
「ブルートに代わるオレの新しい子供を紹介するよ!」
「「「えっ?!」」」
(いま、何て言った?)
「おいで!イレーネ!」
カレンは空に向かって手を振りました。
「「「はぁ?新しい子供?」」」
ズッコケ3人組は不安そうに空を見上げました。
そしてカレンの合図でこちらへ飛んで来たのは・・・。
「ギャ~~ス!!」
「「「え~~~っ!ドラゴン?!!」」」
ボッ!!
「「「ぎや~!あちち~っ!!」」」
「「「みず!みず~~!!」」」
バタ、バタ、バタ・・・・
「あっ、はっ、はっ、はっ・・・」
「お前たち、今度はこの子の面倒を頼んだよ~!」
(こいつ、またとんでもないのを連れて来たな~)
この様子を見ていたダグラスは、またカレンが面倒を起こすのではないかと、少し不安になりましたが、それ以上に気になる事があったので、カレンに直球で聞きました。
「ところでカレン!」
「お前が戦いで敗れたって聞いたんだけどよぉ!」
「はっ、はっ、はっ・・・」
「これって、冗談だよな?」
カレンの強さを良く知っているダグラスは、とても本当の事とは思えないので、軽く聞いてみたのですが・・・。
「あぁ、本当だよ」
「オレは手も足も出せずに完敗してしまったよ」
「えっ?!」
「お、おい!それって、本当の話なのかよ?!」
カレンの悔しそうな顔を見たダグラスは、嘘ではない事を悟りましたが、やはり信じられないようです。
(ウソだろ?カレンが勝てない相手って、魔王って呼ばれるヤツか何かかよ?)
ちょうどその時、カーナとライズが今後の計画について話をするため、二人の元へやって来ました。
「ギルドマスター、ちょっといい?」
「おぉ、カーナか!」
「これからの事について、会議を開きたいんだけど」
「分かった!俺からも報告があるから、すぐにやろう!」
「カレンも来てね!」
「うん、わかった・・・」
漆黒の騎士との一件以来、カーナは元気のないカレンの事が気になって仕方がありません。
カーナはカレンの身体を支えるように、会議室へと向かいました。




