第四十七話 解放軍の戦い(一)
<前書き>
久しぶりに登場する人物を紹介しておきます。
<ライズ>第二王子の息子 Bランクの剣士 金色の髪にグレーの瞳 身長175cmの優男 武器はアイスソード
<カーナ> 天使 金色がかったピンクの髪と緑の瞳のかわいい女の子 年齢は不詳10歳ぐらいに見られる 特技:風魔法全般 武器:ルーンスピア『光の神と闇の神の戦いの時代に作られた伝説の槍』
<カレン>パステルのギルドマスター兼イレーネファイターズのリーダー Sランクの戦士でAランクのティマー『ダークドラゴン』 銀色の髪に青い瞳 褐色の肌の美女 身長180センチ 武器は自在に伸びるムチ 特技:インドラの雷
*第一七話で髪の色を白色と書きましたが、銀色の間違いでした。
<アリス>キャノンガールズのリーダー Bランク戦士 ピンクの髪に金色の瞳の美女 武器は麻痺毒を持つムチ『ブラックマンバ』
<メアリー>Bランクシーフー 銀色の髪に青い瞳 褐色の肌の小柄な美人 武器は毒のダガー『風斬り丸』 特技:『隠密』『捕縛』『投てき』『暗殺』
<ティア>Bランク武闘家 金色の髪に茶色い瞳の美人 武器はチャクラム 死の舞姫の二つ名を持っている
フレディア達がパステルの町での戦いで勝利した頃、カレンとカーナ達のチーム『イレーネファイターズ』も、クロッサムの町を一望できる丘の上まで来ていました。
チームをここまで案内して来たのは、シルヴィーと一緒にロファまでやって来た、革命軍『暁の解放軍』のメンバー4人です。
セドリックはCランクの剣士で、黒髪に青い瞳の小柄な男性で、武器は鋼のロングソードを使います。
ローランはCランクのガーディアンで、緑の髪に緑の瞳の大柄な男性で、武器は鉄のハンマーと鋼の盾です。
カイルはCランクの魔法使いで、青い髪に茶色い瞳をした小柄な優男です。
魔法はパワーアップとクイックブーストで仲間の攻撃力とスピードをサポートします。
セレスタはCランクの聖職者で、金色の髪に赤い瞳の優しい顔の女性です。
魔法はガードとヒールで、仲間をサポートします。
「良かった!どうやらギリギリ間に合ったみたいだ!」
町が無事なのを見たローランが、安心して気が緩んだのか、その場で膝をついて座り込んでいます。
「とはいえ、町は完全に魔物に包囲されているな~」
ぶ厚い皮で作られたショルダーパットに、まだ小さい漆黒のドラゴンを乗せたカレンが呟きました。
ドラゴンの名は、チーム名と同じイレーネです。
聖獣マラードの能力を受け継いだダークドラゴンは、旅の途中に無事にタマゴから孵り、カレンが母親代わりに愛情を注いで育てています。
「わたし達がシルヴィー様とロファへ向かったのが、昨年の6月ですから・・・」
「既に1年以上も経ちました!町の食料も底をついているのではないでしょうか?」
セレスタが心配そうにカレンに訴えました。
「あぁ、それを今メアリーに調べさせているよ」
「もうすぐ戻って来るから、心配するな」
「えっ?あの包囲網の中、どうやって侵入するのですか?」
「大丈夫ですよ!だってメアリーは隠密の天才なのですから!」
ティアがセレスタの肩を叩いて、自信満々に答えています。
(ま、まぁ、この方たちは、とにかく別格ですから・・・)
ここへ来るまでの間、信じられない行動を嫌というほど見せられてきたので、セレスタも納得するしかありません。
実際メアリーはステルスモードで魔物の包囲網をかいくぐり、町の中に侵入していました。
そして町を守る解放軍のリーダーへ接触を図ります。
「やぁ、すまないが解放軍のリーダーに会わせてくれないか?」
「私はシルヴィー殿の要請で、ここへ来たロファ王国の者だ!」
「え~~~っ!?」
「い、いつの間に~!!」」
「な、なに?シルヴィー様の!!?」
「た、助けが来たのか?!」
町の警護をしていた解放軍の者達は、大喜びでメアリーをリーダーのライズの元へ案内しました。
伝令の者から話を聞いたライズは、椅子を跳ね飛ばして立ち上がりました。
「なんと!ロファ王国から助けが?!」
「では、シルヴィーは、妹のシルヴィーは無事にロファ王国へ!」
(あぁ、良かった!シルヴィーが無事で本当に良かった!)
シルヴィーを送り出してから、すでに1年以上も経っていたので、ライズはもう諦めかけていたのでした。
伝令の者に涙を見られないように、顔を背けながら言いました。
「急いでその方をこちらへ!」
ライズの元へ案内されたメアリーは、まずシルヴィーはロファ王国が、国賓として丁重にもてなしている事。
そしてここへはセドリック、ローラン、カイル、セレスタに案内してもらった事を伝えました。
そして、その上で・・・・。
「わたし達のリーダーのカレン様と、カーナ様が、明日総攻撃を掛けたいとおっしゃっています」
「そちらの準備はよろしいでしょうか?」
町の様子を調べたうえで、これ以上は持ちこたえる事が出来ないだろうと、メアリーの独断による要請でした。勿論これは二人のリーダーの許可を得ています。
「分かりました!」
「御覧のように、もう食料が底をつきかけており、これ以上の先延ばしは無理な状態なのです」
「それで、作戦はどのように?」
「そちらの戦力は・・・」
「うふふ・・・」
「それは心配ご無用ですわ!」
「明日、合図の火の玉が上がれば、そちらも町から打って出て下さい」
「それでは!」
「えっ?」
「ちょ、ちょっと!」
メアリーはそれだけ言うと、一瞬で姿を消してしまいました。
こちらの戦力を聞かれたメアリーは、正直にこちらの人数がセドリック達4人を入れても、たったの16名だと答えると、相手が戦意を失うと考え、あえて言わない事にしたのです。
フッ・・・
「ただいま戻りました!」
「よお!ご苦労さん!」
「で、どうだった?」
「はい、明日総攻撃をかける事を伝えました」
メアリーの報告に、カレンは満足そうに頷いています。
「だそうだ!もうギリギリの所まで来ているみたいだぜ!」
カレンがセレスタに言いました。
(すごい!本当に潜入して戻って来たのだわ・・・)
「はい!ありがとうございます!」
「明日はよろしくお願いいたします!」
「「「よ~し!明日はがんばるぞ!!」」」
他の3人も気合を入れています。
チ、チ、チ、チ・・・・
チュン、チュン・・・・
夜が明けました。
暁に染まる空に向かって、カレンが号令を掛けます。
「もうすぐ夜明けだ!この昇りくる太陽のように、デプロス王国の闇を消し去り!」
「この国に再び自由を!!」
「「「「「おぉ~~~~~!!!」」」」」
人数こそ総勢16名と少ないのですが、ここにはカレンとカーナがいます。
それにキャノンガールズとムーンライト、スージーもいるのです。
まさに数十万に匹敵する戦力と言っても過言ではありません。
とくにリーダー二人の戦力ですが・・・。
カーナは風の神セレノス様の弟子なので、風の魔法に長けています。
・そよ風・・・・・味方全体の体力を回復。
・さわやかな風・・味方全体に毒と睡眠状態の治癒。
・涼やかな風・・・味方全体に混乱状態の治癒。
・おくびょう風・・ダンジョンや古代遺跡の迷宮から、地上へ戻る事が出来る。
・突風・・・・・・敵全体にダメージを与える。
・木枯らし・・・・敵全体にダメージと凍結効果を与える。
・大旋風・・・・・敵全体に大ダメージを与える。
以上の魔法を使います。
そしてカレンですが、実はここへ来るまでの間に、とんでもない必殺技を会得しているのでした。
それは国境を守る虫魔王と名乗る魔物と、国境を挟んだレンベルクリバーの湿地帯で戦った時でした。
カレンは戦闘においては、ずば抜けた力を持っているのですが、たった一つだけ苦手なモノがありました。それは『虫』です。
以前ギルドの執務室に一匹のゴキブリが出た時、パニックになったカレンがゴキブリに『インドラの雷撃』を放ち、執務室を全壊させてしまった事がありました。
「だって、飛んだんだもん!Gが!」
「飛んでこっちに向かってきたんだよ!」
そんなカレンの言い訳もむなしく聞き流され、流石にこの時はブチ切れた副ギルドマスターのサントスに、一日中説教をされたのですが、とにかくゴキブリ一匹でこの有様ですので、虫魔王との戦いは悲惨でした。
大きなゴキブリやゲジゲジ、ムカデなど無数の虫の大群に襲われたカレンは、全身に鳥肌を立てて、半分意識を失いかけたのですが、カレンの虫への拒絶反応が極限に達した時に、カレンの身体の周りに超高圧の電流帯が発生し、全身を覆うエネルギーの球体を作り出したのです。
その球体から激しいプラズマが放出されて、周囲40メートルほどの範囲にいた、すべての虫を焼き尽くしてしまいました。
とにかく一匹の虫も寄せ付けたくない強い思いが、インドラの雷撃魔法を覚醒させたのではないかと、カーナは考えています。
『プラズマバースト』と名付けたこの広範囲魔法を会得したことで、このチームはさらに強くなったのでした。
「よし、カーナ!オレをあの魔物の群れのど真ん中まで頼むよ!」
「分かったけど、あまり無茶をしてはダメだよ」
「まだプラズマバーストは覚えたばかりなんだから!」
カーナはそう言うと、風の魔法でカレンを目的地まで飛ばしました。
「ヒャッホ~~~!」
群れの中心に着地したカレンは、さっそくプラズマバーストを発動しました。
バチ、バチ、バチ・・・・・
プラズマは光の速度で、地を這ってゆきます。
地上にいた魔物どもは、激しい電撃で一瞬で焼け死んで行きました。
空を飛んでいた魔物も、放電されたプラズマに捕らえられ、一瞬で焼け落ちて行きます。
カレンの周囲40メートルの範囲にいた魔物は、全て焼き尽くされてしまいました。
それを確認したカレンはプラズマバーストを解除し、ムチを振るいながら次の魔物の群れをめがけて突き進みます。
そして襲って来た集団に対して、再びプラズマバーストの発動を繰り返しました。
カーナはカレンを敵地へ飛ばした後、すぐさま最大魔法の大旋風を発動しました。
ゴオ~~~~~~ッ!!!
物凄い音とともに、嵐のような猛烈な風が所かまわず吹き荒れます。
丘の上の木々も大きく揺れ、木の葉や枯れ木がカーナの方へ吹き飛ばされてゆきます。
攻撃の開始を待っているイレーネファイターズの仲間たちも、風で飛ばされそうになり、慌てて地面に伏せたり、木につかまったりしています。
「うわっ!一体何が起きているんだ?」
まだカーナの大旋風を見たことの無いセドリック達4人は、驚愕の表情で見守っています。
「うわっ!こ、これはいったい・・・」
「なに、あれ!?」
セレスタが指さす方向を見ると、そこには巨大な竜巻が発生していました。
その竜巻が魔物の群れに突入し、まるで木の葉のように舞い上げていきます。
もちろんこれは、ただの竜巻ではありません。
竜巻の内部にはするどい風の刃が渦巻いており、巻き込まれた物はズタズタに切り刻まれてゆきます。
やがてどんどんと竜巻の色が、真っ赤な魔物の血の色に染まって行きました。
そんな恐ろしい光景を見せつけられ、完全に固まっているセドリック達に、アリスが声をかけました。
「カレン様とカーナ様の攻撃が終われば、シラが合図の火球を放つわ」
「そしたら、いよいよ私たちの出番だからね!」
「は、はい!分かりました!」
「いや、しかし・・・」
「俺たちの出番って、あるの?」
「その時には、もう敵が全滅しているんじゃ・・・」
セレスタ、セドリック、ローラン、カイルたちは、目の前の光景を見て、茫然と答えました。




