第四十二話 フレディアの属性検査
ヘーベル歴251年7月。
フレディアとポンポンは、半年ぶりにアルガの町へ帰って来ました。
二人の顔を見たとたん、ロックとシルヴィーは大喜びで駆けつけ、そして涙を流して喜んでくれました。
「「わぁ~~~い!」」
「「やっと帰って来てくれた~!!」」
ロックはフレディアの手を握って、大喜びしています。
(これでやっと、ルナさんの特訓ともおさらばできる~!)
シルヴィーは、ポンポンに抱き付いて大喜びしています。
(これでもう、ルナ様の訓練を受けなくても良いのですね?嬉しい~!!)
シルヴィーに抱き付かれたポンポンも、少しウルウルしているようです。
「なんと!やはり12年もの歳月は大きかったのじゃな?!」
「これほどまでに喜んでくれるとは・・・」
「あれっ?」
「しかし、二人ともぜんぜん変わっておらぬの?」
「フレディア、お疲れ様!」
「どぉ?ポンポンはうまくいったの?」
「キャハハ!」
「バッチリだよルナ!」
「ルナの方はどうなの?」
「えぇ、わたくしの方もバッチリよ、フレディア!」
「早く二人の特訓の成果を、お見せしたいですわ!」
「キャハハ!」
「じゃぁ、パステルの町へ行って、ギルドの試験を受けよっか!」
「でないと、自由に行動できないものね!」
魔物と共棲するこの世界では、一人で自由に旅をするという概念はありません。
峠や深い森などの危険な場所では関所が設けられ、ギルドの護衛を付けるなどの安全措置を取るか、ギルドの会員でもDランク以下だと4人以上のパーティでないと、通る事が出来ないと言った制約があるのです。
もしソロで活動したいのなら、Cランク以上の実力者でないとダメという決まりもあるのです。
特にダンジョンや古代の遺跡と言った場所には必ず関所があって、ギルドの会員証の提示を求められるのです。
そんな訳で、あっと言う間に話は決まりましたが、一応ロファ王国のギルドの証明書が、デプロス王国でも通用するのか確認する必要があります。
そのためフレディア達は、アルガの町のギルドへ行きました。
「ガシュエルいる?」
「あっ、これはフレディア殿、お久しぶりです」
「それに、皆さんもお揃いで!」
「実はちょっと教えて欲しいのよ」
フレディアはロファ王国のギルドの証明書が、デプロス王国でも通用するのか調べて欲しいと、ガシュエルに頼みました。
「分かりました!たぶん大丈夫だと思いますが、ちょっと調べてみます」
そう言うと、奥の執務室へ規約書を調べに行きました。
暇になったフレディアが部屋の中を見ていると、ロファのギルドで見た魔道具が、ここにも設置されていました。
「あれっ?こっちの測定器は、パステルのギルドのとは少し違っているわ!」
見ると魔力測定と、属性を測る機械が別々になっています。
魔力測定の機械は、フレディアが使うと壊わしてしまいそうなので、属性を測る機械の方を試してみました。
「こっちなら、壊れたりしないよね?」
「そうね、これなら大丈夫だと思うわよ」
パステルでは測定を拒否された二人が、勝手に判断するのもどうかと思うのですが、ルナも大丈夫と言ってくれたので、フレディアはそっと測定器に手をかざしました。
すると属性を知らせる『火』『水』『風』『土』『光』『闇』の水晶玉の、『光』が強く輝き100の数字が表示されました。そして何故か『闇』の水晶玉も弱い光を放ち、30の数値が表示されています。
「「「えっ?」」」
「いや、おかしいだろ?フレディアって天使なのに、なんで『闇』が光るんだよ?」
ロックが言う通り、フレディア自身もそう思いました。
「これ、壊れておるのではないのか?」
そう言って、今度はポンポンが手をかざしました。
すると測定器は『闇』だけが強く輝き、100の数字が表示されています。
「わしのは合っておるの」
「じゃぁ、今度は私が・・・」
シルヴィーが手をかざしました。
するとパステルのギルドで出た通り、『風』が強く輝き70の数字と、『光』が弱く光を放って10の数字が出ました。
「わたしも同じだわ!」
「まぁ!では、わたくしも・・・」
パステルのギルドではフレディア同様、測定を拒否されたルナが、嬉しそうに手をかざしました。
すると『水』が強く輝き100の数字と、『光』も明るい光を放って50の数字を表示しました。
「わたくしは回復魔法も使えるので、これで正解なのかしら?」
「そう言えば、ロックはまだ計った事がなかったのう?」
「お、おぅ!オレもやってみようかな・・・」
ポンポンに言われて、ロックは恐る恐る機械に手をかざしました。
すると『土』が強く輝き100の数字を表示し、他は全くの無反応でした。
「あっ、やっぱこうなるよね!」
フレディアが不思議そうに自分の手を見て言いました。
「ひょっとしたら、機械の誤作動かもしれないから、もう一度試してごらんなさい」
ルナに言われて、フレディアはもう一度手をかざしてみました。
しかし、結果は同じでした。
「キャハハ!ヘンなの!」
フレディアの測定が終わった時、ガシュエルが執務室から出て来て、結果を教えてくれました。
「おまたせしました!」
「ギルドの規定は、ロファもデプロスも同じでしたよ!」
「後クラス的には、同じクラスでもやはりロファの方がレベルが高いですね」
「ロファのCランクとデプロスのBランクが同等レベルなのではないでしょうか?」
ガシュエルはフレディアに詳しく説明してくれました。
「ありがとうガシュエル!」
「あ!ひょっとして、皆さんこれからギルドの入会試験を受けられるのですか?」
「そだよ~!」
「そうですか!皆さんお強いから、余裕ですね!」
「ところでガシュエルよ!」
「おぬしとこの属性を測る機械は、正確なのかの?」
「ロファの機械とは少し違うようじゃが、大丈夫なのか?」
ポンポンがフレディアの結果が気になって尋ねてくれました。
「あぁ、こっちの機械はずっと前からある古い機械なんですよ」
「でも、魔力も一緒に測定できる新タイプより、個別で測定するこちらの方が、属性に関しては、より正確な数値が出るみたいですよ」
「なんと、そうなのか?!」
「う~~む・・・」
「では、わしと長い間一緒にいたから、フレディアに闇がうつってしまったのかもしれぬのぉ・・・」
「いや、風邪がうつったみたいに言うなよ!」
ロックがあきれて言いました。
「キャハハ!」
「じゃぁ、今からお菓子をいっぱい買ってから、パステルの町へ行くよ!」
そう言ってギルドから表へ出た時でした。
「あ~~~~~っ!!」
「フレディアみっけ!!」
突然誰かが、上空から大きな声で叫びました。
「えっ!?」
フレディアは慌てて空を見上げましたが、他のみんなはフレディアの行動を不思議そうに見ています。
「あれっ、オリビア!」
「どうしたの?」
フレディアの目の前に、天使の姿のオリビアが降り立ちました。
「どうしたも、こうしたもあらへんわ!」
「いま天界はネコの手も借りたいほど忙しいから、うちが伝令係にされてんねん!」
「うちをパシリに使うやなんて、ほんまに頭にくるわ!」
オリビアはプンプン怒ってフレディアに不満をぶつけています。
「天界って、今そんなに忙しいの?」
「せやで!なんでもプラネットルームを復活させるのに必要な材料の調達に、ほとんどの天使がこき使われてるねん!」
「なんか、とにかく急がへんと、とんでもない事が起きるって、星詠みの女神様が焦ってるんよ」
「へえ~っ、また何か新しい事でも分かったのかな?」
フレディアとオリビアがそんな話をしていると、後ろからポンポンが指でつつきました。
「フ、フレディア大丈夫かの?」
「なにか悪い物でも食べたのか?」
「えっ?」
見るとほかのメンバー達も、まるでおかしなモノでも見るように、ドン引きしています。
「あっ、そっか!」
「みんなには、オリビアの姿が見えないんだっけ!」
「そやな!フレディアが変態に思われたら困るから、うちも姿をみせるわ!」
「ヘンシーン!」
キラリン!
「「「え~~~~っ!」」」
急に目の前に美しい女性が現れたので、ロックはその場でズッコケています。
「まぁ、フレディア!このステキな女性を紹介してくださいませ!」
ルナが興味津々でフレディアにせがみました。
目の前に現れた女性は、星を散りばめたようなキラキラと輝く赤く長い髪に、透き通った白い肌。それに少し緑のかかったマリンブルーの瞳を持つとても美しい女性です。
背丈もルナと同じぐらいの、少し大人びた感じがするお姉さんのような天使で、年齢は人間の世界で言うと、18歳から20歳ぐらいに見えます。
人の姿に変身したオリビアは、黒いワンピース姿がとても良く似合っています。
「愛のキューピットのオリビアよ!」
「わたしの先輩なの!」
「あはは、フレディアの親友のオリビアです・・・」
「って、悠長なこと言ってる場合とちゃうでぇ!」
「パステルの町が大ピンチやで!!」
「はよ行かんと、無くなってしまうで~!!」
「「「「え~~~~っ!」」」」




