第三十四話 ギルドの審査を受けてみる?
パステルの宿屋に泊まったフレディア達は、翌朝旅立つ前にギルドへ立ち寄りました。
そしてサントスにお別れの挨拶をしようとした時、ギルド入会の事前審査に使う魔力測定の魔道具が目に入りました。
「あっ、これ!わたしがギルドに入る時に使ったやつだ!」
「そうですな、ギルドに入会を希望する者には、適性を調べるためにこの魔道具を使って魔力量を測定するのが決まりですから」
サントスが説明してくれました。
「そういえば、シルヴィーはギルドに登録しているんだっけ?」
「いえ、フレディア様」
「お恥ずかしい話ですが、私はまだ一度も魔物と戦った事はありません」
「えっ、そうなの?」
「でも、わたし達と一緒に戦うって言っていたよね?」
「はい、もちろんです!」
ちょっと驚いたフレディアは、今度はポンポンに同じ質問を投げかけました。
「フレディアよ、わしのおった村にはギルドなんぞなかったのじゃ」
「あっ、そうなんだ!?」
「じゃぁ、二人ともまだ自分の能力値を測った事がないのね?」
「はい!」
「うむ、ないのう・・・」
フレディアは考えました。
これからこのメンバーでチームを組むのだから、個々の能力を把握しておくのは、リーダーとして当たり前の事ではないのかと・・・。
「じゃぁ、測定してみよっか?」
「サントス、この二人をギルドに登録してもらってもいい?」
「勿論でございます!皆さんがそれをお望みなら!」
「オッケー!じゃぁ、やるよ~!」
フレディアのワクワクが止まりません。
そして面白い事が始まったと、ギルドにいた冒険者たちも興味津々で見ています。
中にはわざわざ同じチームの仲間を呼びに行く者も多数いましたので、見る見るうちに観客でギルド内は埋め尽くされてしまいました。
事前審査とは、ギルド員になるだけの技量があるのか、個人の能力を測定する審査です。
審査方法は二種類あり、一つはファイター系の能力を測定する体力テストです。
主に筋力や、俊敏性などの適正検査を行います。
もう一つは魔法の能力検査で、ここでは魔力の絶対量を測定します。
魔法使いや聖職者などが受ける審査で、方法は魔道具を使っての測定になります。
もちろん魔法剣士を目指す者も、対象となります。
測定方法は、複雑な機械の中央にある透明の水晶玉を使って行います。
測定者が魔力を込めると、水晶玉に色の変化が起こり、その色によって魔力の量を測定するという物で、色の段階は全部で七種類あります。
さらに魔道具も新しく開発されて、今回は属性を測る事も出来るようになっていました。
『火』『水』『風』『土』『光』『闇』
紫色・・・失格
藍色・・・Eランク
青色・・・Eランク
緑色・・・Dランク
黄色・・・Cランク
橙色・・・Bランク
赤色・・・Aランク
魔力量によって受ける試験のランクが決まりますが、Bランク以上は本部での試験となります。
また、初めて受ける者は魔力量に関係なく、Eランクからのスタートとなります。
「説明は以上です」
「それでは、そうぞ!」
サントスの説明が終わり、いよいよ適正試験が始まりました。
「じゃあ、最初はわたしがやって、お手本を見せるわね!」
フレディアが魔道具に手をかざそうとしましたが、それをサントスが慌てて止めました。
「ちょ、ちょっとお待ちください!」
「はぇ?」
「いや、フレディア様はダメですよ!!」
「なんで?」
「ギルドマスターのパルコス殿から聞きましたよ!」
「カーナ様が測定したら、魔力量が凄すぎて機械が破裂したそうじゃないですか!?」
「つまり、フレディア様がやっても同じ結果が出るのは、火を見るより明らかです!」
「え~~~~っ・・・」
「ダメなの?」
「絶対にダメです!!」
「この機械、一台いくらすると思っているのですか!?」
「私の給料10年分の値段ですからね!」
フレディアはガッカリして後ろに下がりました。
「「「「「え~~~~っ!」」」」
Sランクの実力を見たかった観客たちも、とても残念な声を上げています。
「じゃぁ、次はわたくしの番ですわね!」
「わたくし、ギルドに登録していませんので、一度もこのような体験をした事がありませんのよ」
「ワクワクしますわ~」
そう言ってフレディアの後ろで順番待ちをしていたルナが、ウキウキしながら魔道具に手をかざそうとしました。
「いや!困りますルナ様!!」
またしてもサントスが止めに入りました。
「まぁ、どうしてですの?」
「ルナ様は、水の精霊の加護をお持ちだと聞きました!」
「しかもSランク冒険者と同等の実力をお持ちだとも!」
「そのような御方が測定なされば、結果はカーナ様と同じに決まっています!」
「え~~~~っ・・・」
「だめですの?」
「絶対にダメです!!」
「もう!」
ルナはつまらなさそうな顔で後ろに下がりました。
「「「「「あ~~~~ぁ・・・」」」」
ルナの実力を見たかった観客たちも、すごく残念な声を上げています。
そして、ルナの後ろに並んでいたシルヴィーの順番が回ってきました。
「どうしょうポンポン!」
「私すごく緊張して来たわ!」
「よかったらポンポンが先にしてくれる?」
緊張したシルヴィーが、ポンポンに順番を譲ろうとしました。
「いや、わしが先にやったら、カーナのように機械を壊してしまうかもしれぬ」
「そうなると、おぬしの測定が出来ぬではないか!」
ポンポンはググっと胸を張って、自信満々で答えました。
ですがシルヴィーの胸を見た瞬間、顔を真っ赤にしてうつむいてしまいました。
「あ、そっか・・・」
「わかったわ、ありがとうポンポン」
シルヴィーはフ~ッと一度大きく深呼吸をしてから、測定器の前に立ちました。
「それでは測定を開始しますぞ!」
サントスの合図で、シルヴィーは機械に手を当てて魔力を込めました。
中央にあった水晶玉がふわりと宙に浮きます。
そして色の変化が始まりました。
紫色の水晶玉が、すぐに藍色へと変わりました。
「あっ、合格ラインに入りましたぞ!」
サントスが嬉しそうな声で教えてくれました。
そして今度は青色に変化します。
さらに緑色に変わりました。
「おっ!Ⅾランクになりましたぞ!」
そして黄色になると、水晶玉の変化はそこで止まってしまいました。
そして属性を示す水晶玉は『風』が強く、『光』が弱く光を放っていました。
「何と、シルヴィー様は風と光属性のCランクでございますな!」
「これはなかなか立派な数値ですぞ!」
サントスが褒めてくれました。
「「「「おぉ~!素晴らし~い!!」」」」
パチ、パチ、パチ・・・・・
場内からも拍手が起こりました。
「あ、ありがとうございます!」
シルヴィーはお礼を述べると、後ろへ下がってポンポンに順番を譲りました。
「キャハハ!」
「風属性でよかったね!」
「だって、チーム名が『ライトブリーズ』なのに、風属性が無いとおかしいもの」
フレディアも大喜びです。
「な、何ですと!あの伝説のチーム名を復活させるのですか?!」
サントスが驚いてフレディアに尋ねました。
「そだよ!」
「「「「おぉ~~~!!!」」」
「すげ~!新たな伝説が生まれるぞ!」
「ビックニュースだぜ!!」
「素晴らしい~」
場内からも驚きと歓声が沸き起こります。
そして思いっきり盛り上がったところで、いよいよポンポンの順番がまわってきました。




