第百二十六話 ナンガ・ロギの要塞(一)
<主な登場人物>
久しぶりに登場した人物を紹介しておきます。
<クラッシャーズ> テグニスの町 ギルドマスター:パルバット
<オニール>クラッシャーズのリーダー Aランクの剣士 青い髪に紫色の瞳を持つ、背の高い優男 武器はアイスブレード
彼の持つアイスブレードは、攻撃時に凍結の魔法が付与される魔法剣で、ダンジョンで手に入れたレアなアイテムです。
<グーグー>Bランクの魔法使い 黒い髪に赤い瞳 細身の美青年
特技 闇属性のドレイン(体力吸収) 相手を惑わすコンフユーズ(幻覚魔法)
Aランクに近い実力を持っています
<ジェンナ>Bランクのアーチャー 金色の髪に緑の瞳 スラリと背の高い、美しい女性
武器は矢の先端に爆薬を仕込んだ攻撃力の高い弓矢。
女性でありながらチームの名に恥じない破壊力を持った強者です。
<ナタリー>Bランクの聖職者 緑色の髪に同じ色の深い緑の瞳 小柄で可愛い感じの女性 フレディア達と一緒に潜入捜査をした女性で、ガードバリア・マジックバリア・ハイヒール(強回復)・キュアー(解毒)・スロー(敏捷性低下)の魔法を得意としている。
敵の出方を見るため、ハンクは手始めに3000の兵でナンガ・ロギの要塞に攻め込んで行きました。
そして防壁を破壊するために用意された投石機を、要塞の手前500メートルの距離まで進めた時、塔の形をした要塞から一斉に大砲の砲撃を受けたのです。
ドドドド~~~~ン!!!!
30門の大砲が、一斉に火を噴きます。
大砲の命中精度は低いのですが、その破壊力は脅威です。
「おい、おい!マジかよ?!」
砲弾の1発が投石機に命中し、木端微塵に吹き飛んでしまいました。
「これはマズいな!」
ハンクはすぐさま参謀のブレメンに命令しました。
「全軍退却だ!」
「急いで撤退しろ!」
ハンクの素早い判断で、けが人こそ出ましたが、命を落とす者もなく、全員森の中へ退却しました。
「参ったな~!」
「あの火を噴く大砲の射程距離は、500メートル以上あるぞ!」
ハンクが苦々しい顔で言いました。
「そうですな、最長で700メートル地点まで砲弾が届いたようです」
ブレメンは、正確に砲弾の距離を測定していました。
「これでは、こちらから迂闊に手を出せないな~」
「なにか、敵をこちらへおびき出す手はないかな?」
「周囲1キロメートルに、障害物が一つもありませんからなぁ・・・」
「進めば格好の標的になってしまい、こんな状況で敵をおびき出すのは無理でしょう」
「そうだよな~!」
ハンクはブレメンに相談しますが、さすがに難しい問題で、すぐに答えは出ませんでした。
ヘーベル歴252年2月中旬。
そんなハンクの元へ、テグニスの町からクラッシャーズが応援に駆けつけました。
バズエルとの戦いでは、闇の塔で活躍したメンバーたちですが、さすがに敵とまみえなければ、力を発揮する事はできません。
一度ハンクはクラッシャーズのメンバーと共に、新月の夜に闇に紛れて潜入する作戦を行いましたが、敵は夜中の間も投光器で周囲を照らしているため、結局途中で発見され、失敗に終わっています。
ヘーベル歴252年3月5日。
ひと月以上足止めを食らっていたロファ軍に、ようやく転機が訪れました。
本陣に一人の兵士が慌てて駆け込んで来ました。
「ハンク様!大変です!」
「フレディア様と、お仲間の天使様がいらっしゃいました!!」
ガタッ!!
「なに?フレディアが来てくれたって?!」
ハンクは椅子を跳ね除けると、急いでフレディア達を向かえに行きました。
「お~~っ、フレディア!」
「よく来てくれた・・・って・・・」
「あれ、ちょっと見ない間に、なんか感じが変わった?」
「背も高くなったみたいだし、顔もなんだか少し大人びたような・・・」
「キャハハ!まあね!」
「ま、まあいいや!」
「とにかく、来てくれてありがとな!」
ハンクはフレディアの手を取って、大喜びです。
「それで、お仲間の方たちは?」
「あっ、紹介するね!」
「こちらはロファ王国の王子のハンク!」
「ルナの旦那様だよ!」
「えへへっ!実はうちは会うのは二度目やねんけどな!」
「前は天使の姿やったから、実際に顔を合わせるのは今回が初めてやな!」
「フレディアの親友のオリビアです」
「よろしくね、ルナちゃんの旦那様!」
「そしてこの子は、うちの妹のルミちゃん!」
「やあ!オリビア様の話は、よく耳にしていますよ!」
「うちのルナも大変お世話になっているようですし!」
「妹のルミ様も、よろしくお願いします!」
「それでね、ハンク」
「ルナには大切な仕事をお願いしていて、ここへは来れないのよ~」
「それで、わたしたちが代わりに来たって訳なの!」
「そっか、ルナも頑張っているんだな!」
「それに比べて俺は・・・」
「情けない話だけど、もうここでひと月以上も足止めを食らってるんだよ」
ハンクは戦況をフレディア達に話し、手が出せない理由を説明しました。
「わかった!」
「その砲弾はわたしが何とかするから!」
「カレン達が合流するまで、もう少し待ってね」
「えっ、カレン達って?」
「イレーネファイターズも、こっちに向かっているのよ」
「もうすぐ到着すると思うわ」
そんな話をしているさなか、大声で叫びながら飛び込んで来た者がいます。
「お~~い!大変だぞ!!」
「とんでもない魔物が現れたぞ!!」
やって来たのは、クラッシャーズのリーダーのオニールです。
「すげえ巨大なドラゴンが、こちらに・・・・」
「えっ!!なに?」
「ひょっとして、フレディアさんなの?」
「キャハハ!オニール久しぶり~!」
「え~~っ!本当にフレディアさんだ!!」
「お久しぶりですフレディアさん!!」
オニールの大きな声で、他のクラッシャーズのメンバーも急いで集まって来ました。
「あっ!フレディアさんだ!!」
「お久しぶりです、フレディアさん!」
グーグーとナタリーがやって来て、嬉しそうにフレディアと握手をしました。
そして最後に飛び込んで来たのはジェンナで、フレディアの姿を見るなり勢いよく抱き付きました。
「うわ~~ん!フレディア様~!!」
「久しぶりジェンナ!元気にしてた?」
「はい~っ!会えて嬉しいです~!」
ジェンナは初めてフレディアと会った時、とても無礼な態度をとったため、カレンにこっぴどく叱られた経験があります。
ですがフレディアの強さを目の当たりにしてからは、彼女にすっかり陶酔してしまい、今では憧れの存在となっていたのでした。
「あっ!喜んでいる場合じゃなかった!!」
「巨大なドラゴンが、こちらに向かって来ているんだよ!」
オニールが思い出したように言いますが、もちろんそれはイレーネの事です。
「あっ、カレンが来たみたい!」
「「「「えっ?」」」」
「そのドラゴンは、カレンの娘のイレーネだよ!」
「「「「ええ~~~っ!!?」」」」
「いえ、カレンさんはティマーなのは知っていますが・・・」
「まさか、ドラゴンを使役されたのですか?!」
カレンがヘルハウンドの、ブルートを使役していた事を知っているジェンナが、フレディアに尋ねました。
「うん!そだよ!」
「マジかよ!?」
「やっぱ、すげえなあの人は!」
オニールとグーグーは、驚いて顔を見合わせています。
「わ、わたし、ドラゴンに食べられたりしないよね?」
前にブルートに牙をむかれた事を思い出したジェンナは、カレンの使役する魔獣の怖さをよく知っているので、ガタガタと震えています。
「大丈夫よジェンナ、そんなに怖がらなくても!」
「もう、あんな事はないから!」
そんなジェンナを、ナタリーが必死に慰めていました。
(あっ、そう言えばこの子、カレンにすごく怒られた事があったんだっけ・・・)
原因が自分であった事を思い出したフレディアは、申し訳なさそうな顔でジェンナを見ています。




