第百二十四話 合流した仲間たち
2月も終わりに近づいた頃、灰色の空の切れ間から淡い日差しが差し込み、森の木々に積もった雪をゆっくりと溶かし始めました。
枝から雪がばさりと落ちる音が、時おり静かな町に響いてきます。
ヘーベル歴252年2月下旬。
カラス王コルヴァスが、慌ててカレンの元へ飛んできました。
「カァ~~~ッ!!」
「アネゴ~!来ましたよ~!」
「はぁ?来たって・・・」
「コル助、いったい何が来たんだよ?」
「アネゴの仲間の、イレーネファイターズでやんすよ~」
「いま子分から連絡があって、後2日でここへ到着するって言っているでやんす」
「えっ!本当か?!」
「へい!アッシは子分のカラスたちに命じて、アネゴの仲間の動向を知らせるように言っていたでやんす!」
「やるじゃないかコル助!偉いぞ!!」
「カァ~~~ッ!」
「ご褒美に、アッシにギュ~ッて・・・」
「しないけど?」
「ガ~~~ン!」
「よし!この事をみんなに知らせに行ってこようっと!」
カレンはフレディアの元へ駆けて行きました。
それから2日後、コルヴァスの言った通り、イレーネファイターズの面々がアルガの町へ到着しました。
「「「「カレン様~!!」」」」
「みんな、元気そうでなによりだよ!」
「カレン様こそ!」
「バルモスの監獄での活躍、聞きましたよ!」
「さすがは、カレン様!!」
「詳しく話を聞かせて下さい!」
アリス・ポニー・ティア・メアリーのキャノンガールズが、カレンを取り囲んで再会を喜んでいます。
フレディアの元には、マウロ・マルティー・コローニ・マイオスが集まって、久しぶりの再会を喜び合っていましたが、シラとスージーのいない事に気付いたマウロが、その理由をフレディアに尋ねました。
「ごめんね、シラとスージーはここには居ないのよ~」
「二人はいま、ルナたちと一緒に、セレスフィア様を捜す旅に出ているの」
「そうなんですか!」
「大事な任務なら、仕方がないですね~」
マウロが残念そうにしていると、モルティナが声をかけて来ました。
「剣士さん、魔法は使えるようになったかえ?」
「あっ!大魔女さん!」
「ええ、おかげで2つの魔法を使えるようになりました!」
「ありがとうございます!」
「サンダースラッシュと、ライトニングウオールが使えるようになったんだね?」
「そりゃあ結構な事さね!」
マウロと話しているモルティナの所へ、今度はアリスも加わって来ました。
「大魔女さん、前に頂いた薬、とっても役に立っています!」
「ほとんどの敵が同士討ちをしてくれるので、戦闘がめっちゃ楽です!」
「そうかね、『狂愛の雫』が役に立っているのなら、それは良かったさね!」
イレーネファイターズの仲間とモルティナが仲良く話すのを見て、カレンも嬉しく思っていますが、気になるのは自分に従っているヴァリオン族の事でした。
「ところでマウロ、アルノルト達ヴァリオン族と、革命軍はどうしているの?」
「うまくやっているのかな?」
「ええ、ライズもアルノルトも力を合わせて、良くやっていますよ」
「そのおかげで、俺達は革命軍から離れてここへ来ることが出来たんです」
「俺達がグリーンホロウの町を出る時に、革命軍もベルナックの町に向かって出発していますよ」
「だからもう、とっくに町に着いているはずです」
「そうか!なら、いいんだ!」
「ベルナックの町には、ギリガン達ロックルーラーが行って防衛強化をしているからね」
「そこに革命軍が加われば、オレ達がいなくても安心だよ!」
カレンがホッとした顔で答えました。
ところがマウロは、少し困った顔をしてカレンに言いました。
「ええ、そっちは心配ないのですが、どうもハンク様の方が、あまり良い状況ではないようです」
「えっ!どういう事?」
「ロファ軍は前線を撃破して、敵の要であるナンガ・ロギの要塞まで進軍したのですが、そこで足止めされているようなのですよ」
「あのハンクが苦戦しているのか?」
「そのようです!」
「ギルドからクラッシャーズが応援に行っているのですが、どうも攻めあぐねていると聞きました」
「あっ!その話やったら、うちもミントの町で聞いたで~」
「なんか、苦戦してるって言ってたわ!」
オリビアも、モモちゃんの店でギルドの冒険者たちが話していた事を、カレンとフレディアに伝えました。
「それは困ったわ!」
「ルナが留守の間に、ハンクにもしもの事があったら、申し訳が立たないもの!」
フレディアが心配そうに言いました。
「ほんまや!ルナちゃんは、うちらのために頑張ってくれているのに!」
「これは、なんとかせなアカンでフレディア!」
「うん!わたし助けに行ってくる!」
「マウロ、ナンガ・ロギの要塞って、どこにあるの?」
「えっと、ナンガ・ロギの要塞は・・・」
「ん?どこにあるんだ?」
「アリスは知っている?」
「いえ、私はデプロス王国の事は、まったく分からないわ」
「だよな!」
二人とも顔を横に振っていると、後ろから元気な声が聞こえてきました。
「ナンガ・ロギの要塞なら、この町から北に200㎞先の、ロットフェン湿原の近くよ!」
シルヴィーがドヤっと答えました。
そのシルヴィーに、今度はルミナテス様が質問しました。
「その近くに、町や村はあるかしら?」
「はい、アッシュフォードの村があります」
「じゃあ、わたくしがその村まで連れて行ってあげますわ!」
「ただし、連れて行けるのは天使だけですけど」
「えっ!じゃあオレは?」
行く気満々のカレンが、ルミナテス様に尋ねました。
「あなたはダメ!天使しか連れて行けないから!」
「え~~っ!ケチ!」
「オレの胸当てを貸してあげたのにぃ!!」
「いや、カレンさん、こればっかりは仕方がないねん!」
「うちらも、天使の姿に顕現しないと移動がでけへん、やっかいな制約があるんやわ!」
オリビアが申し訳なさそうに、カレンに謝りました。
「え~~っ、そうなの?」
ルミナテス様も、カレンには無理なお願いをしたので、申し訳なさそうな顔をしています。
「ええ、今回は残念ですが・・・」
「その代わり、あなたの大好きなフレディアちゃんに、わたくしが素晴らしいプレゼントをして差し上げますわ!」
「えっ、オレの代わりにフレディアに?」
「それってなによ?」
「うふふふっ・・・」
「それはまだ、ひ・み・つ!」
「なんだ、そりゃ?」
「まぁ、いいや!フレディが喜ぶ事なら!」
「じゃあ、オレと魔女ママ、それと道案内のシルヴィーはイレーネで行くわ!」
「マウロ達はどうする?」
「わかりました!じゃあ俺達は、馬で後を追いかけます!」
「よし!じゃあ、今度はナンガ・ロギの要塞をぶっ壊すぜ!!」
こうして合流した仲間たちは、次の戦場に赴く事になりました。




