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第十二話  ロファの街へ急げ

フロイドに乗ったフレディアとロックは、連れて行かれた町の人たちを救うため、北にあるナンガ・ロギの要塞へ向かいました。


アルガの町の南北には、主要な街道が整備されており、道幅も広く馬車が横に三台並んでも余裕があるほどです。

これは経済発展のために流通に力を入れた、先代の王の遺産といえます。


連れ去られた町の人は、護送車で運ばれたと聞いていたので、この街道を進んでいるに違いありません。


フレディア達は街道に沿って猛烈なスピードで追いかけました。


町から北へ向かう街道に沿って飛ぶ事1時間、やっと護送車の集団が見えてきました。


護送車は全部で5台あります。

それぞれを3頭の馬に引かせて進み、1台の護送車に約20匹の魔物の兵士が守っていますが、町の人の姿は見えません。

脱走を防ぐため、全員車の中に閉じ込められているようです。


「うふふ・・・好都合だわ」


フレディアは車の中の人に危害を加えないように、魔法で攻撃する事をやめて、魔法のアイテムボックスから『閃光の弓矢』を取り出しました。


この弓矢は神様が作った魔法の武器で、矢は存在せずに弓を握って魔力を込める事で矢が顕現します。


使用者の魔力の量によって威力も、顕現する矢の数も変わってきます。

しかし非常に多くの魔力が必要となるため、魔力がBランクの冒険者でも、一度の戦いに1~3本の矢を顕現するのがやっとの事だそうです。


フレディアはこの弓矢のほかにも『アルテミスの弓矢』を所有していますが、あまりにも強力な武器のため、普段は天界に保管しています。


「あれっ?魔法でやっつけるんじゃないのか?」


弓矢を持ったフレディアを見て、ロックが尋ねました。


「光の魔法は広範囲の攻撃魔法だからね」

「町の人に被害が出ると困るでしょ?」


そう言うと魔物の兵士に向かって矢を放ちました。


バシュッ!


グワッ!!


先頭を歩いていた兵士が倒れました。


「すげえなフレディア!こんな距離から当てるのかよ?!」


ロックの眼には、護送車の兵士がまだ豆粒ほどにしか見えていません。


「どんどんいくよ!」


バシュッ!バシュッ!バシュッ!・・・・・・


「え~~~っ!その矢どこから出てくるんだよ?」

「しかも無限に出てくるのかよ!反則だろそれ!」


「・・・・・・・」


「あ~~~なるほどねぇ・・・」


「そっか、そっか、何でもありなんだわ!」


ロックはもう訳が分からずゴロンと寝ころぶと、遠い目をして空を見つめました。


(あぁ、もう家に帰りてぇ~・・・)


現実逃避をしているロックとは真逆に、地上の魔物たちは現実に起きている恐怖で大混乱になっています。

見えない敵からの攻撃で、バタバタと倒されて行く兵士たちは、すでにパニック状態に陥っていました。


「ブヒ~~ッ!いったい何事だ!!」


「一体どこから攻撃しているのだ?!」


「グエッ!」


「空だ!ドラゴンがこちらに飛んで来るぞ!!」


「ウギャ!」


ようやくフロイドの存在に気付いた魔物の兵士たちですが、成す術がありません。

慌てて逃げ出す兵士たちに向かって、フロイドがブレスを放ちました。

ブレスを浴びた兵士たちは、たちまち消し炭となって消えて行きます。


「ぎゃ~~~!!」


「ブヒ~~ッ!」


「助けてくれ~~!!」


地上はもはや阿鼻叫喚の状態でした。

逃げ惑う兵士たちに、フレディアとフロイドは容赦なく攻撃をしかけます。


わずか30分ほどの間に、100匹近くいた魔物は全滅してしまいました。


護送車の中にいた町の人たちは、急に車が止まったと思えば、魔物の絶叫する恐ろしい声が辺りから聞こえて来たので、恐怖でガタガタと震えていました。


「おい、静かになったぞ!」


「外で一体何が起こっているのだ?」


「まさか、とんでもない化け物が現れて、兵士たちが喰われたとか?」


「そうだ!きっとそうに違いない!!」

「ひ~~~っ!次は俺たちが喰われる番か?!」


ジャリ、ジャリ、ジャリ・・・


何者かが護送車に近づく音がします。


ドキ、ドキ、ドキ、ドキ・・・・


「ひぃ~~~く、くるぞ!」


「しっ!静かにしろ!気付かれるぞ!」


ジャッ!


足音が止まりました。


「ダメだ、もう終わりだ・・・」


ガチャン!


護送車の扉が開きます。


「「「ひぃ~~~っ、か、神様~~~!!!」」」




「助けにきたよ~」


「「「「えっ?!」」」


扉の向こうから、かわいらしい少女がこちらを見て笑っています。


「「「「ええ~~~~っ!!!」」」」



「ありがとうございます!これで家族の元へ帰れます」


「あなたは命の恩人です」


「ありがとう!俺たちも町で戦います!」


フレディアから事情を聞いた町の人たちは手を取り合って喜び、口々に感謝の言葉を述べました。


「キャハハ!よかったね!」


そしてフレディアも町に戻ろうとした時に、一人の男が自分たちに与えられた役目のことを話してくれました。


「俺たちは戦闘員として連れて行かれたのではないのです」


「工作員としての役割を与えられていました」


「えっ!それはどういう事?!」


「はい、俺たちは一般人に扮してロファの街や村に行き、そこで合図を待つように言われました」


「そして合図があると街のあちこちに火を放ち、大混乱を起こすように言われていたのです」


「デプロスの軍は、その混乱に乗じて攻め込むと言っていました」


「うわっ、なんて卑怯な手を使うんだ!」

「サイテーだな、デプロスの国王軍は!」


ロックも憤慨して文句を言っています。


「きっとアルガの町以外の町や村の人たちにも、同じような事をさせるつもりだわ!」


「この事を早くロファの国王に知らせなきゃ!」


「えっ?ロファの国王?」


ロックがキョトンとした顔でフレディアを見ています。


「俺たちなら大丈夫なので、早く知らせに行ってください!」


倒れた魔物の兵士達から武器を奪った町の人は、フレディアたちに早く行くよう促します。


「じゃぁ、みんな気を付けてね!」


「ロック、ロファの王様に会いに行くわよ!」


「え~~~っ!」


フレディアとロックは再びフロイドに乗り込むと、ロファの街へと飛び立ちました。


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