第百十伍話 解明されたアトラーの予言書(一)
「お気づきになりましたか?」
「うむ、何やら惑星が一線上に集まって、並びかけている様に見えるが・・・」
「そうなのです!」
「これは惑星直列と言われるものなのです!」
「惑星直列とな?」
「はい、あと少しで、7つの惑星が一線上に並ぶ珍しい現象なのです」
「うむ、それでその惑星直列が完成すると、どうなるのじゃ?」
「恐ろしいほどの重力が発生いたします!」
「ものすごい重力だと?」
「はい!」
「つまり、天地創造の杖の威力が倍増すると言う事です!」
「な、なにぃ~~!!」
慌てるダレス様に、ルミナテス様は、アトラーの予言書に書かれた謎を説明しました。
「アトラーの予言書の、第一節に書かれた謎ですが・・・」
『七人の子たちが黄昏に染まる西の彼方に集う時、天も地もカオスの闇に飲み込まれ、すべてのモノが最後の時を迎えるであろう』
「この七人の子たちというのが、惑星直列を意味していたのですわ」
「なんと、そうであったのか!」
「そして最も恐ろしいのは・・・」
「次の、天も地もカオスの闇に飲み込まれる・・・という文章です」
「こ、これは、どういう意味なのじゃ?」
「解明出来ておるのか?」
「はい!プラネットルームの完成によって、解明する事が出来ました!」
「実はこの部屋には、7つの惑星以外に39個の星が残されていました」
「これは、惑星たちの周りを回る衛星、つまり月なのです」
「ほう、なるほど・・・」
「ですが、わたくしの知る限りでは、各惑星の月は全部で38個のはずでした」
「なに、1つ多いと言うのか?」
「はい、以下がそれぞれの惑星の月の数なのです」
ルミナテス様は、縮小された太陽系の惑星を元に、一つ一つ丁寧に説明してくれました。
1・アルガランデュ・・・2つの衛星
2・ベールウッド・・・1つの衛星
3.アース(自分たちが住む惑星)・・・1つの衛星
4.ガンベル・・・3つの衛星
5.デランド・・・12個の衛星
6・イプルシア・・・10個の衛星
7.ゼーロン・・・9個の衛星
「それで、余った1つの月は、どこにいったのだ?」
ダレス様の質問に答えるため、ルミナテス様は先ほどから口を開けて説明を聞いていた、オリビアを手招きしました。
「オリビア、あなたはわたくし達が住むこの惑星に、いくつ月があるかご存じですか?」
「ルミナテス様、いくら何でもそれぐらいの事は、うちでも分かるで~!」
「月は1個に決まっているやん!」
「そんなん、子供でも知ってるわ!」
「うふふっ・・・」
「そうですわね!」
「ではオリビア、こちらへ・・・」
ルミナテス様はオリビアを連れて、違った角度から月を見るように言いました。
そして言われたように場所を変えて月を見たオリビアは、驚きの声を上げます。
「ありゃ?月の後ろに、もう一つの月があるで~?!」
「なんだと?もう一つ月があるだと?」
ダレス様も、驚いてオリビアの隣へ移動しました。
「ま、誠に!」
「ルミナテスよ、これはどういう事じゃ?」
「ダレス様、月はわたくしたちが住む惑星の重力で『潮汐ロック』された結果、自転周期と公転周期がほぼ同じになっているため、いつも同じ面だけがこの惑星に向いているのです」
「そのため、月の裏に隠れたもう一つの月を見る事が出来ないのです」
「な、なるほど、そういう事か!」
「いや、なんかよう分からへんけど、ルミナテス様がそう言うなら、そうなんや~」
ルミナテス様の説明を、理解しているかどうかは定かではありませんが、二人とも納得したようです。
そしてその事を確認したルミナテス様は、驚愕の事実を述べました。
「よいですか、皆さん!!」
「この隠れた月こそが、伝説の『アナザームーン』なのです!!」
「「えっ?」」
「・・・・・・・」
「い、いや、「えっ?」って・・・」
「わたくし、ただいま衝撃の事実を述べましたけど?」
「何なのですか、そのリアクションは?!」
あまりの期待外れな反応に、ルミナテス様は少し拗ねているようです。
「アナザームーンだと?!」
「はて?どこかで聞いた名前だな?」
「も~っ!お忘れなのですか、ダレス様?!」
「この世界を創った神の事を!?」
「この世界が出来た時に蔓延していたカオスを、天地創造の杖で、アナザームーンへ飛ばしたと言われている伝説の事を?!」
「「え~~~っ!!」」
伝説でしか聞いたことの無い話が、本当に実在するという事に、ダレス様もオリビアも飛び上がって驚きました。
そのリアクションを見たルミナテス様は、とても嬉しそうにしています。
「で、では、そのアナザームーンが、そんな所に実在していたと言うことなのか?!」
「そうなのです!」
「そしてザキュエルが企んでいる事とは・・・」
「惑星直列で天地創造の杖のパワーが上がった時に、このカオスを再び私たちの住む惑星へ呼び戻すことなのです!」
「「え~~~っ!!」」
「そんな事が出来るのか?」
ダレス様は、血相を変えてルミナテス様に尋ねました。
「出来ます!」
「アナザームーンに巨大なブラックホールを発生させ、そしてこちらの上空に、ホワイトホールを作ればよいのです」
「ザキュエルは、この計画を隠ぺいするために、プラネットルームを破壊したのですわ」
「おのれ、ザキュエルのヤツめ!!」
「何という恐ろしい事を考えておったのだ!!」
「そんな訳でオリビア!」
「わたくしは今から、惑星直列が起こる正確な時間を計算いたします」
「そして分かり次第、連絡いたしますわ!」
「ですのでオリビア、地上の事は頼みましたよ!」
「はい~~~っ!」
オリビアは返事をすると、急いで部屋を出て行きました。
そしてお付きの天使たちも退室させ、二人だけになった事を確認すると、ルミナテス様は残る2つのアトラーの予言書について、話を始めました。




