第百十四話 プラネットルームの復活
「お~~~い!えらいこっちゃ!!」
「技術と創作の神はおるかの~!?」
天界の技術と創作の神様の家に、恋を取り持つ神様が慌てて飛び込んで来ました。
「おっ?なんじゃ、恋を取り持つ神ではないか?」
「何をそんなに慌てておるのじゃ?」
「おぉ!そこにおったか!」
「とにかく、急いで逃げるのじゃ!」
「いや、待て、待て!」
「一体何から逃げると言うのじゃ!?」
「意味がわからんわ!」
「オリビアじゃよ!」
「今のうちに、さっさと夜逃げをするのじゃ!」
「はぁ~?」
「なんで、お前の弟子のオリビアから逃げねばならんのじゃ?」
「フレディアじゃよ!」
「あやつ、天界に帰って来るなり、わしにフレディアの隠し事を話せと、強引に迫って来たのじゃ!」
「な、なにぃ~!フレディアの秘密を話せと?!」
「そうじゃ!」
「知らんと言っても、一向に引き下がらんのじゃよ~」
「分かるじゃろ?あやつの性格を知っておろうが!?」
「そ、それは、マズいのぉ!」
「あやつ、めちゃくちゃ強引じゃし、わしらの事を神様と思っとらんからのぉ!」
「じゃろ?」
「ぐいぐい押して来るのじゃよ!」
「で、オリビアは、今はどこに?」
「ヘリオスの涙を持って、ルミナテス殿の所へ行っておる」
「逃げ出すのは、今のうちじゃ!」
「よし、わかった!」
「で、どこへ逃げ出すのじゃ?」
「とりあえず、炎の神の所へでも身を隠そうと思っておるのじゃが・・・」
「イグナート殿の所か!」
「よし、では酒樽を手土産に持って行こう」
「酒があれば、機嫌よく匿ってくれるはずじゃ!」
「おぉ!善は急げじゃ!」
二人の神様は酒樽を抱えると、急いで逃げて行きました。
その頃オリビアは、ヘリオスの涙を渡すために、ルミナテス様の所にいました。
オリビアはルミナテス様に、美しい太陽の絵柄が彫刻されたメダルを見せて、ブランシェ村の太陽神を祭る一族の話をしました。
「ルミナテス様、このメダルは太陽神を祭る一族の長が、天の守護神アトラー様から授かった物なんやて!」
「まぁ、アトラー様が人間に?」
「それでな、この地に厄災が起きた時に、救いの天使が現れるから、その天使にアトラーの証であるメダルを見せて、ヘリオスの涙を渡すように言われたそうやねん」
「まぁ!その様な事が?!」
「きっとアトラー様は、未来を予知しておられたのですね!」
「はい!これがそのヘリオスの涙やで~」
オリビアは七色に変化する、美しいクリスタルの中に納められたヘリオスの涙を、ルミナテス様に渡しました。
「まぁ!これがヘリオスの涙!」
「オリビア、よくぞこれを届けてくれました!」
「これで太陽を復活させる事が出来ると思いますわ!」
「本当によくやってくれましたね!大手柄ですわよ!!」
「それ、手に入れるの、ほんまに大変やってんで~!」
「おかげで、フレディアの調子が悪うなってしまうし・・・」
「とにかく、これを使って実験を始めましょう!」
「ささ、オリビアもこちらへ!」
「えっ?うちも実験に立ち会うの?」
「そんな事より、うちは恋を取り持つ神様に・・・」
「何を言っているのです!この実験に成功すれば、アトラー様の予言のすべてが解明されるのですよ!」
そう言うとルミナテス様は、オリビアの手を引っ張って、無理やり天星宮のプラネットルームに連れて行きました。
「うっわ~!はよ帰って恋を取り持つ神様と、技術と創作の神様を問い詰めなあかんのにぃ~!」
ルミナテス様は、そんなオリビアの言葉など全く耳に入りません。
これまで必死にやって来た努力が、ようやく報われるかもしれないのですから、無理もありません。
ザキュエルによって破壊されたプラネットルームは、復旧するのに5年はかかると言われていましたが、天界に住む者達が全力で取り組んだ結果、わずか1年でほとんど以前のままの姿に復元されていました。
ただ以前は、部屋の真ん中に直径5メートルほどの太陽が浮かび、その太陽を中心に7つの惑星が、本物の惑星と同じ軌道を描いて回っていたのですが、今は炎の消えた太陽の周りを、7つの惑星が無秩序に飛び回っているだけでした。
プラネットルームに到着すると、ルミナテス様は炎の消えた太陽の中に、ヘリオスの涙を組み込みました。
そして、これまで何百回と繰り返して来た実験を開始します。
「それではみなさん、準備は良いですか?」
「酸素、窒素、炭素などの配分に間違いはありませんね?」
「「「はい、ルミナテス様!ばっちりです!!」」」
ルミナテス様の問いかけに、おつきの天使たちが元気よく答えました。
「それでは水素を送り込んで、プラズマを発生させますよ!」
「それっ!」
ギュ~~~ン!!
バチ、バチ、バチ、バチ・・・・・
プラネットルームの中心に浮かんでいる太陽が、明るく輝き始めました。
バチ、バチ、バチ、バチ・・・・・
「さあ!いよいよ核融合反応が起こりますよ!」
ピカーーーーーーッ!!
強烈な光が発生し、勢いよく太陽風が吹き荒れました。
すると、それまで無秩序に飛び回っていた惑星が、順序良く動き始めたのです。
太陽から近い順番に・・・。
1・アルガランデュ
2・ベールウッド
3.アース(自分たちが住む惑星)
4.ガンベル
5.デランド
6・イプルシア
7.ゼーロン
「やったわ!」
「大成功ですよ!!」
「「「「バンザ~~~イ!!!」」」」
ルミナテス様の声に、おつきの天使たちは、大喜びで飛び跳ねています。
そして動き出した惑星たちを、注意深く見つめていたルミナテス様は、ある異変に気付きました。
「こ、これは・・・」
「誰か!ダレス様を呼んで来てください!」
「大至急ですよ!!」
「は、は、は、はい~~!!」
ルミナテス様のおつきの天使の1人が、慌てて外へ飛び出して行きました。
「なんや、なんや?」
「ルミナテス様、えろう慌ててるけど、何があったんや?」
オリビアは、ある一点をジッと見つめているルミナテス様を、不思議な顔で見ています。
ドタ、ドタ、ドタ・・・・。
しばらくすると、大神ダレス様が急いでこちらへやって来ました。
「ルミナテスよ!プラネットルームが復活したと言うのは誠か?!」
「はい、ダレス様!これをご覧ください!」
太陽の周りを、秩序正しく自転しながら公転している7つの惑星を見たダレス様は、歓喜の声を上げました。
「おぉ!素晴らしい!」
「では、これでアトラーの予言書の謎が解けるのだな?」
「はい!そうですわ!」
「では、現在の太陽系の姿を再現してみましょう」
そう言うとルミナテス様は、プラネットルームの操作パネルで、現在の太陽系の縮図を再現して見せました。
太陽を中心に軌道を描く惑星たちが、その動きを忠実に再現して行きます。
そして、その姿を見たダレス様は、ある異変に気付きました。




