第百九話 胎動(二)
「それで、それで?!」
「ルナ!フレディアの体調を治す方法ってなに?!」
「簡単ですわ!」
「闇の魔力を使っちゃえばいいのですわ!」
「えっ?」
「使っちゃう・・・って?」
「魔女ママさん、最強の闇魔法って何か、教えていただけません?」
「え~~~っ!ちょっとルナ?!」
「最強の闇魔法って?」
「もちろん、フレディアが使うんですもの!普通じゃダメですわ!」
「いや、それって、フレディアに闇魔法を覚えさせるってこと?」
「勿論ですわ!」
「え~~~っ、出来るの?そんな事?!」
「ええ!フィレディアは、光りの最強魔法が使えるんですもの!」
「闇の最強魔法も、きっと使えちゃいますわ!」
「そうなの?」
「いや、そうだよね!」
「きっとフレディアなら大丈夫だわ!」
「魔女ママ、最強の闇魔法ってなに?」
「そうさね・・・」
「最強となれば、やはり天地創造の杖の力・・・」
「重力操作の魔法『マグナ・グラビティ』さね!」
「それ以外となると、あとはドレイン系の魔法かな?」
「なるほど!オレもザキュエルの魔法でひどい目に合ったからな・・・」
「確かに、あの重力の魔法はヤバイわ!」
「カレン嬢、言っておくが、重力の魔法は押しつぶす力だけではないさね」
「えっ?」
「その逆、反重力の力も兼ね備えているのさ!」
「つまり、物体を浮かす事も出来るさね!」
「まぁ!それなら、ザキュエルの攻撃を相殺する事が出来ますわ!」
「いやいやルナ嬢、それは無理じゃろう!なにせ相手は天地創造の杖じゃからな!」
「しかし相殺は無理でも、軽減する事は出来るかも知れぬな」
「勿論、術者の力によるがね」
「いや、それだけでも助かるよ!」
「マラドガードの戦いが長引いていたら、オレたちは間違いなく敗北していたに違いないからね!」
「なにせ、身体を動かす事が出来なかったからな!」
「きっと押しつぶされて、ペチャンコになっていたよ」
「しかも、それだけじゃないよ!」
「カーナの魔法を奪い取って、それで反撃までしてきたんだぜ、ヤバすぎるだろ!?」
「えっ?カレン、それはどういう事なの?」
「あっ、ルナはあの時いなかったんだよな!」
「何でも、ブラックホールで吸い取った魔法を、ホワイトホールってやつで、別の場所に吐き出したって、カーナが言っていたな・・・」
「なんと!そういう事だったのかい?!」
「天地創造の杖は、光りと闇を自在に操る事ができると聞いていたが・・・」
「そうか、光りの魔法はホワイトホールだったのかい!」
「なんとも、恐ろしい杖じゃな!」
「光と闇を操る力か・・・」
「あれっ?もしフレディアが闇の魔法を使えるようになったら、同じことが出来るんじゃないの?」
「ひっ、ひっ、ひっ・・・」
「カレン嬢、それは極論じゃなぁ~!」
「でも魔女ママさん、理屈はそれで合っているのではないかしら?」
「えっ?そう・・・なのかい?」
「う~~ん・・・。ルナ嬢に言われると、そのような気もするさね・・・」
「とにかく、そのマグナ・グラビティとかいう魔法を手に入れなきゃ意味ないじゃん!」
「魔女ママ、どこにあるのか教えてよ!」
「うわっ、無茶を言わないでおくれよ!」
「あたしも、そこまでは知らないさね!」
「え~~~っ!じゃあ調べてよ!」
「いや、調べるって言われても~」
「あたしの知り合いに、闇魔法に詳しい者は・・・」
「あれっ?」
「カレン嬢!!」
「えっ、なに?」
「あたしは前から、すごく気になっていたのだけど・・・」
「なにが?」
「カレン嬢のその剣さね!」
「この剣がどうかしたの?」
「ノクターナルソードだったかえ?」
「バルモスの魂を奪い取ったその剣!恐ろしい闇の力を秘めた剣のようじゃが・・・」
「そんな恐ろしい剣、どこで手に入れたのさ?」
「それにカレン嬢の身に着けている漆黒の胸当てさね!」
「カレン嬢が魔法を発動した時、魔法を跳ね返しているように見えたんだけど・・・」
「その胸当ての素材は、なんて言うのだい?」
「えっと、たしかセラディウムって言っていたような・・・」
「セラディウム?」
「あたしは錬金術にも精通しているけど、そんな物質はこの世界にはないさね!」
「えっ!そうなの?」
「カレン、その剣と胸当ては、漆黒の騎士からいただいた物なのでしょ?」
「確かその騎士は、ポンポンにもカースイーターシールドっていう、闇魔法を授けてくれたのよね?」
「う、うん!そう・・・」
「だったら!」
「その御方なら、マグナ・グラビティの事も知っているのではないかしら?」
「そ、そうかも知れない!」
「いや、知っているような気がして来た!」
「じゃあ、その御方に聞けばいいじゃない!」
「なんじゃカレン嬢!そんなすごい闇魔法使いを知っておるとは!」
「さすがは、あたしの娘さね!」
「え~~~っ!」
「でもさ、オレ、あの人がどこにいるのか知らないのよ!」
「え~~~っ!どうして?カレンの師匠なのでしょ?」
「う、うん・・・だけど・・・」
「あれっ?そう言えば、どうしても困った時はわたしを呼べって・・・」
「あれっ?!何て言ってたかな?!」
「あれ~~~~っ!?」
「もうカレン!しっかりしてちょうだい!」
「そうじゃぞ、カレン嬢!これはとても重要な事じゃぞ!」
「うわ~~~ん!思い出せないよ~~!」
「助けて、師匠~~~!!」
その頃、とある場所では・・・。
「うふふっ・・・」
「あなたのお弟子さんが、困っているようですわよ」
「えっ、カレンの事ですか?」
「ええ、あなたにお会いしたいようですわ」
「ええ~っ!どうしても困った時の連絡方法を、教えてあったのに・・・」
「本当に、相変わらずだな、アイツは!」
「まぁ、良いではないかザイラ」
「ちょうどお前に頼もうと思っていたのだ」
「これを渡してくれ!」
「ほほう!これをですか?!」
「という事は、ついに目覚めたのですね!」
「お願いね、ザイラ」
「それにあのことも、それとなく伝えて欲しいわ!」
「分かりました!」
「では、行ってまいります!」
「うむ、頼んだ!」
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・
ザイラは、発生した巨大なブラックホールに飲まれて消え去りました。




