消えた反応
「黒の元素の剣は消滅したのか?」
白無垢の膝丈のワンピースに無垢のパンプス姿の金髪のエルフの少女が物騒な言葉を口にする。
「反応が消えてからもうすぐ半年ですか。これはもう死んでてもおかしくないのでは?」
ゆるいパーマのかかった白髪の男性が質問に答えることもなく、質問を投げ返す。
「おい、シュティニー。私の質問を無視すんな」
ツンと澄まし顔とは対照的な暴力的な言葉だ。
「ある意味答えていると思うんですけどね?彼が死んだのなら、あの日本刀も元素の中に溶けてしまった可能性もあるわけですからね。それよりもサティ、ワンピースで胡坐をかくのは止めなさい。いくらこの場に私しかいないとはいえ、貴女は女性ですよ?下着を大っぴらに見せるのは女を捨てすぎです」
ソファの上で胡坐をかく姿だけを見たら、見る人が見れば歓喜するシチュエーションだろうが、見た目は12歳ほどの少女の下着を見たところで、シュティニーが興奮することなどなかった。50歳を過ぎた彼からすれば、女性の下着など見慣れたもの。欲情することなど有り得なかった。
「シュティニーも擦れたおっさんになっちまったよな。若い女のケツを追いかけてた頃のぎらついた目はどこに置いてきたんだ?」
「今でも持ち合わせてますとも。齢1000を越えるババアに欲情できるほど、熟女を愛せる心を持ち併せていないだけです」
「おい、コラ。誰がババアだ?どう見たってエルフの少女だろう?」
「見た目はエルフの少女、の間違いでしょう。精神年齢と肉体年齢が乖離しすぎなんですよ。女性というものは、恥じらいを持ち合わせてこそです。恥じらいを捨ててしまえば、女を捨てたも同然と私は考えますよ?」
「そういうもんかね?」
胡坐を崩すことなく、ソファの背もたれに寄り掛かる。
「大抵の男は私に賛同していただけるかと」
サティの尖ったエルフの耳がピクっと何かを捉えた。
「半年ぶりか」
その言葉だけでシュティニーはサティが何を言わんとしているのかを察した。
「どの方角です?」
黒の元素の反応に意識を集中していく。
「ここから南南東ってところか。王国領の霊峰と呼ばれる辺りだ」
シュティニーは顎に手を添える。
「反応が消えた場所からかなり離れた位置に現れましたね。ヤツの影響ですかね?」
「かもしれんな。まあいいさ。反応が戻って来たんだ。じっくり観察させてもらうとしようじゃないか」
サティの視線が2階へと動く。
「アヤツはまだ目覚めんか?」
シュティニーもまた2階に視線を向ける。
「脳に強い衝撃を受けてましたからね。身体はもう快復してますが、意識はいつ戻るかわかりかねます」
「利用できるものは利用せんとな。アヤツも対抗し得る天技なるものを持っておる。手駒にするには丁度良い」
あとはヤツが動き出すのを待つだけだ。お前のことだ、すでに裏で糸を引いているのだろう?姿を見せたが最期、竜剣の力でもう一度葬ってくれるわ。




