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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
三章 ちょっと寄り道して未知の孤島へ
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26 ベルフェゴール戦2


「覇ぁぁぁぁぁあああ!!!」


「消え去れ!!」


雷の拳と破壊の光線が衝突する。


二人のいたグラウンドゼロから拡散した衝撃波とエネルギーが島全体を駆け抜けて絶壁の一部が崩れ去り、島の山の一部が崩壊し、島全体の形が変わった。


爆心地にいたらミステリアでも命はなかったほどの破壊劇だった。


それを上空で見ていたミステリアは、次元の違う強さのぶつかり合いに恐れおののいた。


『なんじゃ、この強さは………。 私はこんなやつ(アヤカ)に喧嘩を売ったのか………』


今更ながら、自分のやらかしたことに戦慄していた。


『後で家壊したこともう一回謝っとこ………』


気弱なところもあるドラゴンだった。


地上に出来た巨大クレーターではベルフェゴールとアヤカの肉弾戦が続いていた。


「ラッシュラッシュラッシュ!!!ラーーーッッッシュ!!」


独特なかけ声で全力のラッシュを打ち続ける。


「猪口才な!!」


ベルフェゴールも負けじと殴り返してくるが、雷速の速さで避けて構わず殴り続ける。


少しずつダメージを受けている様子だ。


しかし、筋肉の塊といえる巨人を相手に正面から挑むのは、いくらアヤカでも無謀だったらしく、速度では有利だったが、次第に体格(リーチ)と耐久力、腕力で圧され始めていた。


人は全力で動けば体力はせいぜい二、三分しか持たない。


スポーツよりも体力を消耗するだろう全力戦闘ではもっと短いだろう。


それは超人であるアヤカでも例外ではなかった。


「はぁ、はぁ、体力無くなってきた………。 動けないや………」


十年もの間、戦いでは無敗だったアヤカが初めて敵の前で膝をついた。


仙術〝捨食〟で体力と気力を回復させながら戦い続けているアヤカでも、いや、アヤカだからこそ運動量が回復量を上回り、膝をつくほどのスタミナを使ったのだった。


要するに、本気を出したことがないゆえの反動で自滅しただけだった。


「ふん、自滅とは情けないやつだ」


「どうしよう、返す言葉がない」


いつもだったら軽口を返す場面だったが、力を使い切って気弱になっているのか、アヤカは相手の言葉を大人しく認めた。


「でも、わたしはまだ諦めてないわよ。 見てなさい! 今立ち上がって……痛っっ!」


それでも立ち上がろうとして、激痛と思ってたよりも力が出ずに尻餅をつく。


「ふっ、全力を出した反動で身体が悲鳴を挙げているようだな」


「そんなの訳な………いたっ! 全身痛い!」


身体中の筋肉、神経、内臓、骨格がダメージを受けてガタガタになっているのがよく分かった。


「終わらせてやる。 お前を食い殺す」


「言ってろ! 食えるもんなら食ってみろ!」


敗色濃厚な空気になってきたが、それでもアヤカは諦めることを知らない。


戦士としての誇りがそれを許さない。


「雷鳴活性!」


痛む細胞を再び活性化させる。


身体が軋む多大な悲痛の叫びは無視した。


「オラァァァァア!! 行くぞこのヤロー!」


地面をクモの巣状に踏み砕いて正面から突っ込む。


ベルフェゴールの反撃の蹴りを避けて、分厚い腹筋に包まれた腹に渾身の左ブロー! その勢いを殺さず反射的に屈んで無防備になった顎に向けて鉄拳のアッパー。


生身と鉄が激しくぶつかる音。


拳には水の入った袋を殴ったときのような感触がした。


今のベルフェゴールはまさしく水袋だ。


血という水をたっぷり含んだ毛皮の袋。


そのウォーターサンドバックを壊すためにアヤカは全力の手刀を見舞う。


山羊の悪魔の首筋が切り裂かれ、噴水のように鮮血が溢れでる。


咄嗟に首を抑えて出血を止めようとする隙を着いて角を掴んで腕に〝気〟を集中して限界以上の腕力を発揮し、立派な二本の角を強引にへし折る。


折った黒い角を投げ捨ずに、そのままベルフェゴールの両肩に本気で突き刺す。


「グオオオオオオオオオ!!!」


ベルフェゴールの悲鳴が今になって耳に入ってきたが、アヤカは興味もない。


戦いに集中したアヤカは戦闘以外何物にも興味を持たないのだから。


相手の悲鳴や命乞いなど聞こえてすらいない。


当然、攻撃中の悪魔の悲鳴だって聞こえなかった。


「これで終わりだ」


だらりと下げた両手に雷気を集める。


雷鳴拳の奥義の一つ、雷鳴砲の予備動作だ。


雷鳴砲は高密度の稲妻光線。


その威力はあらゆるものをプラズマ化させて蒸発させるほどだ。


穂坂のほうのアヤカだったら小惑星を一撃で消すほどの威力を出せた。


今のアヤカではそこまでの威力は出せないが、この魔の巨人に止めを刺すくらいの力はある。


両手を敵に向けて伸ばす。


手の平を向けて照準を合わせれば準備は万全。


溜めた力を、雷鳴砲を発射する。


「お前が消えてなくなれ!!」


高威力の雷気のビームがベルフェゴール唯一人に向けて道行く大気すら蒸発させて怒涛の勢いで押し寄せる。


「クッソオオオオオ!!!」


巨人の全身が稲妻に飲み込まれていき、細胞の欠片すら残さず焼かれ、塵となって消滅した。


その光線は島を貫き、遥か遠くの大陸に届かないギリギリのラインで消滅した。


もう少し強かったら無関係なものたちにまで被害が出ているところだった。

それはアヤカとしても望まないことだったので、幸いだった。


それはそれとして、強い相手から勝ち取った勝利の味は格別だった。


「わ、わたしの完勝ね! わたしの勝ち! お酒飲みたい!」


いつもだったら勝利の美酒に酔うところだが、今はなにも持ってない。


「てか痛い! めっちゃ身体痛い! ミステリア速く来て!!」


ついでに無理した反動で身体が痛い。


雷鳴拳の技でも痛みを消す方法はないので、身体が引き裂かれるような痛みを味わうしかない。


「あー、あれだ。 しばらく寝るか」


クレーターの中央で大の字に転がり、目を閉じるアヤカ。


ここ最近は寝ていないので、かなり深く眠れるだろう。


心地よい気怠さに包まれていると、いい夢が見られそうだった。




















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