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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
三章 ちょっと寄り道して未知の孤島へ
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25 ベルフェゴール戦



悪魔の全身の骨格、筋肉、神経組織が破壊され、より強く作り替えられる音がアヤカの耳にも聞こえた。


生物の体が生きながらに破壊され、作り替わるおぞましい音楽を聞きながら、アヤカは気持ち良さそうに目を細める。


―――滾る。


ベルフェゴールから感じられる〝気〟は一秒ごとにどんどん大きくなり、桁外れの闘争本能を刺激される。


その力は、大きさだけなら既にミステリアを超えている。


それでも止まらずに力は高まり続けている。


この島の人間を食いつくしたという話も嘘ではないだろう。


これだけの力があるなら、世界中の人間だって食いに行けただろうに、なぜこの島のこんな遺跡の奥深くに引きこもっていたのか、なんていう疑問など知らぬ、存ぜぬ。


ドラゴンを倒すための旅で、ドラゴン以上の力を持ったこの強者との出会いをアヤカは神に感謝した。


ベルフェゴールを名乗る悪魔の変身は終わり、彼は二足歩行の山羊から、伝説のキメラのように蛇の尾を生やし、翼があり、さっきまでの三倍近い体躯の巨人へと姿を変えた。


頭だけは山羊のままなのがむしろ、返って不気味だ。


「俺のこの姿を見たのは、かつて俺を封印した桃色の髪をした魔女だけだ。 喜ぶがいい。 お前は俺の真の姿を見た二人目の者だ」


「ふんっ。 二番目の女って嫌ね」


「減らず口を叩きたければ今のうちだ。 どうせ、お前はここで死ぬのだからな」


「わたしにそれ言ってくる奴は今まで大勢いたけど、わたしを殺すのに成功した奴は一人も………いないわよっっ!!」


ドンッッ!!と地が割れるほどの力で踏み込み、滑空するようにベルフェゴールの足元へ滑りこむアヤカ。


巨人体となって俊敏さが上がった脚部でベルフェゴールはアヤカを踏み潰そうと踏みつける。


今のベルフェゴールは細胞が活性化して強化されたアヤカにも勝る筋力だ。


常人ならば、いや、並みの超人でも鉄臭い赤い肉の華を咲かせていただろうスタンプ攻撃。


並みの超人ではないエルフは強化された神速の反射神経と瞬発力を持ってスタンプの起こりを見て着弾地点を未来予測し、回避する。


床石が砕け散って砂となり、遺跡の一部が崩落して通路が埋まる。


これで退路は完全に無くなったが、構うものか。


どうせアヤカの辞書に撤退も降伏も、ましてや敵と和解するなどという言葉はないのだから。


黒い石の床が真っ赤になって溶けるほどの熱量のオーラで武装して身を守る。


通常の生物なら近づくだけで肉を焼き、血が蒸発するほどの熱さだが、ベルフェゴールの肉体には通じない。


肉体強度だけならアヤカと同等だが、アヤカは怯まない。


むしろ、喜び勇んでいる。


「まだ本気は出してないけど、楽しめそうね」


「簡単には食えそうにないな」


アヤカへの評価がさらに上方修正された。


ベルフェゴールへの評価が〝強そう〟から〝すごく強い〟に上方修正された。


互いの戦闘力を認めあったところで、今度はアヤカが先制攻撃を仕掛ける番だ。


「はぁぁぁぁあ!!!」


空気が爆裂する音が遅れて聞こえる速さで突撃。


とてつもなく熱い〝気〟をこめた拳でベルフェゴールの正中線を正確に乱れ打ち。


十メートルを超える超重量の筋肉の要塞が殴られるたびに震える。


とてつもないパワーのラッシュ。


防ぐので体一杯のベルフェゴールと、殴ることだけに集中しているアヤカ。


速さと力の攻防は続き、遺跡の壁を突き破って飛び出した二人は山岳地帯の森林を薙ぎ倒しながらラッシュの応酬に突入する。


「だぁぁぁぁああああ!! 死ねぇぇぇぇ!!!」


この場に親友の商人エルフがいれば、「女の子が死ね!とか言うな!! 嫁の貰い手がいなくなるわよ!」とか小言の一つでも言っていただろうが、ここにいるのは戦闘でハイになったエルフと悪魔だけだ。


「俺の魔力を喰らえ!!!」


ベルフェゴールの角と角の間に紫色のエネルギーの塊が生まれる。


本能で危険を感じ取った獣やモンスターが戦場から我先にと逃げていく。


それを見た瞬間、アヤカの全身の皮膚が総毛立つ。


「これ、破壊的なエネルギーね。 食らったらヤバイかも」


「俺の魔力はあらゆる物を消し飛ばす魔界最強の破壊の力だ。 これを受けて生きていた者は今までいない。 貴様も消えてなくなれ!!」


ベルフェゴールが頭を振り、絶大なパワーがビームとなって解放される。


島の森林を容赦無用で破壊しながら迫る光線に、鈍感女王アヤカでも危険を感じた。


「やばッ!!」


慌てて回避しようとする。


だが急に、戦士として、そして武道家として本能がこのタイミングで過去最高に騒ぎだしてしまった。


迫るビームを見て、この技を正面から打ち破りたくなってきた。


考えてみれば、命を捨てる覚悟などとうにできてる。


ならやることは一つだ。


「ここで逃げたら、わたしはわたしじゃなくなる!」


体内で丁寧に練り上げた雷気を纏い、拳を構える。


目を閉じて「すぅ」と静かに息を吸う。


静かに目を開けて迫る光線から離さない。


そして、今のアヤカの全力最高の一撃を叩きつけた!!










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