61話
朝だ。僕は、二人で寝るには少し狭い布団から出る。隣にいたマヤが風邪をひかないよう、毛布を丁寧に掛け直す。
昨夜のことを思い出して、ドキドキする。とりあえず服を着て、コップに水道水を注いで飲む。いつものルーティンをこなすと、少し落ち着いた。
マヤは起きないだろう。僕の睡眠時間は短いから、起きる時間も早い。
まだ外は少し暗い。マヤが起きるまでどうしようか。
とりあえず、隣にいることにした。
マヤの寝顔は、天使のようだと思った。ずっと見ていたくなる。時間がゆっくりと流れるような感覚が心地いい。
マヤが起きたらどんな顔をすればいいか、少し考えた。結論はすぐに出た。
いつも通りでいよう。それが一番、二人らしいから。
僕は彼女の家で膝枕をしてもらった時を思い出した。僕が寝ている間、マヤはずっと離れず見守ってくれた。
なら、今日は逆に僕が見守ろう。
僕はその後、マヤが起きるまで、ずっと彼女の顔を見ていた。
…しばらくして、マヤが目を覚ました。
「おはよう。マヤ。」
「おはようございます。醒さん。…とりあえず服を着るので、あっち向いててください。」
もう恥ずかしがることないのに、とは思った。けれど、僕も起きた時は昨夜の出来事を思い出し、冷静になれていなかったのを思い出す。
言われた通り、反対側を向いた。
「着替えたら、帰る前にご飯を食べに行こうよ。まだマヤと一緒にいたい気分なんだ。例の喫茶店でどうかな?」
「はい、わかりました。私も、もうちょっと醒さんと一緒にいたい気分です。」
まだ着替え終わらないのかな。
そう思っていると、急に後ろから抱きつかれた。
「…マヤ?」
「恥ずかしいので、まだ顔は見ないでください。でも、醒さんとくっついた時の感覚を、もう少し味わいたくて。」
それを聞いて、僕は答える。
「これから二人きりの時は、たくさんハグしようよ。僕もマヤとくっつく感覚が、好きになったから。」
「たくさん、ですよ。」
そう言ってマヤは腕を解く。僕はマヤの方を向いて、今度はこちらから抱きついた。
「正面からの方が、僕は好きだな。」
「私もです。どっちもいいですけどね。」
二人とも、だいぶいつもの口調に戻った。




