41話
あっという間に納品の対応は終わっていた。もう大丈夫だろうが、念の為確認しながらレジに入る。
「もう大丈夫?女子トーク、終わってる?」
「終わってるよ。大丈夫。マヤちゃんと話したいこと話せたから。そうだ、連絡先交換しようよ!」
「いいですね。冴木さん。今度はレジをお願いします。私たちは休憩を使ってバックヤードで連絡先交換します。」
「わかった、行っておいで。」
レジ内は僕一人になる。さっきまで4人勤務だったせいか、すごく静かに感じる。
「あれ、納品こんなに早く来たの?来るってわかってたら、タバコ休憩ずらしたのに。」
店長が帰ってきた。
「僕一人で全く問題なかったですよ。今、二人は連絡先を交換してます。すぐ戻ってくると思いますよ。」
「そっか。二人、仲良くやれてたか?」
「ええ、なんかすごくイチャイチャしてました。」
「イチャイチャ?」
店長は首を傾げている。
想像した通り、二人はすぐ戻ってきた。僕、店長、マヤさん、水瀬さんの4人でレジに入る。
「狭いです。それにやること少なくて退屈です。」
「しょうがないだろ、マヤさん。4人もいるんだし、そのうちの一人は店長の俺だ。仕事なんてあっという間になくなっちゃうさ。」
「僕、掃除しに行きましょうか?」
「あ、私がさっきやったので綺麗だと思いますよ。そうだマヤちゃん。欲しい物ある?私マヤちゃんの誕生日知ったのさっきだから、プレゼント用意できてないの。二人で選ぼうよ!」
「結愛ちゃん、いいですね!じゃあ店長、冴木さん。二人でレジをお願いします。」
僕たち二人はレジに残された。
「…イチャイチャしてるな。」
「そうでしょう?仲がいいのはいいですけどね。」
「羨ましいか?」
僕は頭に、はてなマークが浮かんだ。
羨ましい、か。どういう意味だ?僕にはわからなかった。
そのうち二人は少し高めのチョコレートをレジに持ってきた。水瀬さんはもう一度休憩を取って財布を取ってきて、お会計を済ませた。マヤさんは会計済みを証明するテープを貼ったチョコレートを大事そうに持っている。嬉しそうだ。
水瀬さんが戻ってきて、
「マヤちゃんちょっと貸して。こうやってテープを貼ってリボンみたいにすれば…。」
水瀬さんは器用にハサミを使って備品のテープをカットし、チョコレートに貼り付けていく。
「わあ、開けるのがもったいないくらい可愛いです!ありがとうございます!」
「プレゼントにしては安いけど、こういうのは値段じゃないよね!」
水瀬さんもマヤさんも楽しそうだ。
「俺たちも負けてられないな。ちょっと取ってくる。」
そう言って店長はバックヤードに入り、すぐ戻ってきた。手にはクッキーが入った透明な袋を持っている。可愛くラッピングまでされていた。
「ほれマヤさん。まだ誕生日にはなってないが、誤差みたいなもんだろ。」
「わあ、可愛いですね。これ、店長がラッピングしたんですか?」
…店長は黙っている。
黙っているということは、奥さんがラッピングしたんだろう。
「…クッキーを買ってきたのは俺だ。」
それは、ラッピングをしたのは自分ではないことを白状しているようなものだった。僕もお店のラッピングサービスを利用したので、人のことは言えないが。
そんなことをしていると、もうすぐ24時だ。誕生日が目前に迫っている。
「おっと、レジの時計は秒数まではわからないからな。裏の時計持ってくる。」
店長がバックヤードに入ってすぐ戻ってきた。
「誕生日まであと1分!」
僕までドキドキしてきた。
空気を読んだかのようにお客さんは誰一人いなかった。店長がカウントを始める。
「5、4、3、2、1…」
「20歳の…」
「マヤちゃん…」
「マヤさん…」
「「「誕生日、おめでとう〜!」」」
店長、水瀬さん、そして僕の声が重なる。
「はい!みなさん、ありがとうございます!」
マヤさんは笑顔でそう言った。




