4話
一緒に働き始めると、すぐ彼女の優秀さに驚いた。レジ打ち、接客は店長から教わっていた為全く問題なし。むしろ丁寧なくらいだった。
入荷した商品を棚に並べるのも早いし、ちゃんとルール通りに陳列出来ている。
この調子なら店を任せても問題ないだろうと判断し、客が少ないタイミングで休憩を取らせてもらうことにした。何かあったらレジ備え付けのブザーで呼ぶように言ったが、結局呼ばれることはなく休憩は終わった。
僕が休憩中も素早く働き続けていたようで、ショーケースはピカピカになっていた。
「休憩に入ります。」
彼女はそう言うと、店の外に歩いていこうとしたので引き止めた。
「この辺治安良くないし、バックヤードでエアコン好きに使っていいから、店の中で休憩したらどうですか?」
そう言うと彼女は、
「星が見たいので。」
とだけ言って店の外へ出ていった。優秀だけど変わった子だな、と思いながら僕はフライヤーの清掃を始めた。
思っていたより仕事の進みが早い。2人だとこんなに楽なのか。そんなことを考えながら働いていると、彼女は休憩時間終了とほぼ同時に店に戻ってきた。
掃除は終わって、商品の棚は綺麗に陳列されている。仕事はもう残っていない。まだ時間は3時半、始発に乗る客もまだ来ないだろう。
レジには2人、特にすることもなくただ立っている。気まずい沈黙だ。でも、何を話せばいい?気になることはあるが、何を聞いていいのか分からない。
すると彼女が話しかけてきた。
「サエキさんは、どこに住んでいますか?」
ありがたい。僕だって話題を振ってもらえればある程度話せる。上手く話す自信はないが。
「ここからそこそこ近くのアパートに住んでいます。」
「生まれてからずっとそこに住んでいますか?」
「いや、実家は埼玉で、上京して一人暮らしをしています。」
上京って伝わるかな、とか後から後悔したが、彼女はすぐ答えた。
「埼玉ってどんな所ですか?」
これは少し困る質問だが…。
「地味だけど住みやすい、良い所ですよ。」
これくらいが無難か。
すると少し考え込む彼女。また沈黙が訪れる。
気まずいが、この流れなら聞ける。僕は勇気を出して聞いてみた。
「…マヤさんは、どこの国の出身ですか?」
これに対する彼女の返答は、僕の度肝を抜くような答えだった。
「私は宇宙人です。」
…う、宇宙人?冗談としか思えなかったが、彼女の目は嘘をついているようには見えなかった。
彼女は再び口を開く。
「本当に効かないんですね。」
効かない?何が?頭の中に疑問符が溢れ、僕は何も言えなかった。
「私の正体、二人だけの秘密にしてくださいね。」
僕は頷くことしか出来なかった。




