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28話

僕たちは、こなもんショップ東京に行ってきた。また地球に戻ってきたらマヤさんと一緒に行くと約束していたからだ。マヤさんは袋に入った特大こなもんぬいぐるみを抱えて嬉しそうにしている。

「この後どうしようか。ご飯はコラボショップで食べたし、まだ時間はあるよね?」

「じゃあ、行きたいところがあるんです。あそこにあるドラッグストアに行きましょう!」

「ドラッグストア?何か薬でも買うの?」

日本の薬って宇宙人にも使えるのかな。そんなことを考えていた。

「いえ、化粧品が欲しいんです。私、冴木さんにもっと好きになってもらうために、可愛く、美人になりたいんです!」

なるほど。そういう事か。僕はドラッグストアで化粧品を買ったこともないからその発想がなかった。

「でも、マヤさんは今でも可愛いし美人だと思うよ。」

多分僕以外でもマヤさんを見たら美人だと思うだろう。色白の肌に綺麗な髪、大きくてぱっちりした目。これ以上何をすれば綺麗になるのか、メイクの知識のない僕には分からなかった。

「まだ足りません。もっと上を目指します!」

その熱意に押されて、僕とマヤさんは近くにあったドラッグストアの化粧品コーナーに足を踏み入れた。

「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」

店員が話しかけてきた。マヤさんが答える。

「私、可愛くて美人になりたいんです。そのために必要なものをください!」

なんかざっくりしている。でも店員さんは困る様子もなく答え始めた。

「お客様、肌キレイですね!お客さんが使えるファンデーションはうちにはないかもしれませんが…。アイライナーやマスカラなどは紹介できますよ!」

何一つ分からない。専門用語だらけだ。

マヤさんと店員さんが仲良さそうに話している。僕は置いてけぼりだ。僕はマヤさんの大きな荷物を預かっているので一緒に狭い通路を動き回ることもできない。近くの商品を見て、化粧品って結構値段するんだな、とか考えていた。

しばらくして、マヤさんが戻ってきた。

「冴木さん、どうですか?」

おお、確かに雰囲気が変わった気がする。どこがどう変わったのかは、はっきりとはわからないが大人っぽくなった気がする。

「うん、可愛いよ。」

「やりました!じゃあ、これとこれとこれ、買っていきます!」

マヤさんはお会計を済ませて戻ってきた。満足そうだ。

「お待たせしました。では、行きましょうか。」

2人で駅まで歩いていく。僕は疑問に思っていたことをマヤさんに聞いた。

「そういえばマヤさんって、変身能力を持っているんだよね。」

「はい。何にでもなれるわけではありませんが。私は猫と人になれます。」

「その変身能力を応用すれば、メイク道具を使わなくてもメイクできるんじゃない?人の姿のまま猫耳を生やしてたこともあったし。」

「あ…。確かに思い返してみると、宇宙人の知り合いで化粧品を買っている人を見たことがありません。」

マヤさんは、はっとした様子だった。

「…ごめん、会計終わった後に気がついたんだ。もっと早く言えばよかったよね。」

「…まあ、これは思い出としてとっておきます。」

今からでもレシートを持っていけば、たぶん返品できることも伝えた。だがマヤさんは笑顔で持って帰ると言った。いつもより少し大人っぽい笑顔で。


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