第03話:【ある俯瞰した視点から ~Sol lucet omnibus~】(前編)
「大変だ、続編のネタが増え過ぎて、
何をしたいのかもこんがらがって、まとまらない!」
毎月続編を投稿しています。 Fhu-氏と申します。
チートでなくニートみたいになった無職のプー、
今まで続けていた仕事を勝手に引退した彼が、
果たして、これから一体何になって何をし何成し何する人になるのか、
そんな話をしばらくする予定でしたが……。
「あ……、もう少し考えさせて。」
プッツンとキた結果がコレです。
せっかくだから、今後の展開を盛り上げるため、
期待値のハードルを高くするためわざとに、
俯瞰的に、ダイジェスト的に語ることにしました。
でも、いつもより短めです。
お楽しみ頂けますと幸いです。
2026/07/01
今でも可能性を信じ続ける澄んだ瞳の道化こと、Fhu-氏
【新神代世界のFhu-氏】シリーズ
第03話:
【ある俯瞰した視点から ~Sol lucet omnibus~】
【目次】
第01幕:
【ガリガリビービーギィギィガァガァ】
第02幕:
【1つの石に、安らかな眠りを】
第03幕:
【Sol lucet omnibus】
第04幕:
【オレンジ色の占い師】
第05幕:
【この世界のどこかで】
第06幕:
【『クエスト社会』災害と過去の事例】
******************************
第01幕:
【ガリガリビービーギィギィガァガァ】
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
耳障りな雑音交じりで聞こえて欲しい。
せめて、この声が伝わるのならば。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
体の感覚など、いつ失ったのかすら定かではない。
ただ、この絶望的な闇を救ってくれる何かを待っていた。
どん詰まりの失望の深淵から、引きずり出してくれる手の暖かさと
力強さを待ち焦がれていた。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
宇宙の果ての暗黒に囚われた者は、ただ無慈悲で非情な条理を前に
全てを諦めて手放すしかなかった。
だから、肉体の感覚を全て失うに至ったのかもしれない。
(いつか、救いの手が……、奇跡が……。)
***
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
……こんな音に気付いたのは、ある夏の日だったかと思う。
別にやることも成すことも無かった平凡な少年でしかなかった彼に、
別に何てこともない“妄想癖”みたいなものが搭載された。
ああ、搭載されたと表現したのには、ワケがある。
そう、彼は、“超合金ロボット”になりたい夢があったからだ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
「……ガガガ、ガギ、……ガガ、ま、まさか、聞こえるのですか?」
夜闇の微睡みの中、ある日、少年は声を聴いた。
ガリガリビービーギィギィガァガァと煩いだけの雑音の中、
溜息を吐いた音、そして、失望と絶望に染まった諦めの呟きを。
その意味こそ、少年には全く理解に上がらぬものだったが、
ただ、“声である”という事実を認めたからこそ、その見知らぬ声の主に、
何か、呼び掛けたのだ。
但し、今では、この記念すべき最初に何を語り掛けたのかは、
もう覚えていないと、彼は後に語った。
***
「か、彼は、一体……!?」
初めて彼に出会った時、全く、驚きましたよ。
いやね、私の若かりし時のことです。
……って、もう十数年前のことですんで、そんなに若くないんですけどね(笑)
「『選ばれし者』? 誰にです? 何にです?
ただの人間じゃありませんか!?」
ええ、自衛官の皆さんの方が、もっと逞しくて頼りがいがある。
そんな感想でしたよ、実際。
でも、違うんですよね……、本当に“コト”が起きた際には。
「……この恩は、絶対に忘れません。
誰がアナタの敵に回ろうと、私はいつ如何なる時もアナタの味方です。」
それは、『クエスト社会』などという、ふざけた複合的超常災害が
生じるもっと前の話。
今でこそ、こんなにも大バーゲンの大安売りみたいに、
超常の意味が薄れるほどに、いつでもどこでも何でも起きていますが、
決してそうでなかった頃の話。
……同時に、そうならないために、一部の、『力ある者』らが、
密かにソレを防ぎ続けていた、英雄譚が隠され続けていた時代の話。
「彼以上の『英雄』の存在を知りません。」
今の、私的な個人的意見です。
短絡的に言うなら、彼の得た栄誉こそ、今や誰も手が届かないでしょうから。
『初代・トリマン』。
『クエスト社会』災害に悩まされている現在。
雨後の竹の子の様に、『時代の救世主』が増える中、
そのどれもが活躍していながら、増え続ける超常的災害の数々は、
彼らを嘲笑うかの様に種類を増し、手を変え品を変え、
さらにさらに増えて行って、どうしても全て解消して
解決するなんてできていないのが現状。
とはいえ、いいえ、彼らを責めているワケではありません。
重要なのは、少なくとも人類の希望となっている彼ら『英雄』達の、
先駆けで、世界初で、『トリマン』になった男がいたって話です。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
「本当に、不思議な男でした。 数奇な運命の男でした。
そして、それがとても魅力的な男でした。」
彼の英雄譚は、忘れてはいけない、忘れてなるものか。
最後の戦いに飛び立った時、心配する人々の目に気付けば、
笑顔で手を振った、あの男のことは、忘れてなるものか。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
彼の英雄譚のエンディングは、決して、悲しいものであってはならない。
だから……、だから……、忘れてはならない。
脳を劈く鋭い痛みに苛まれようとも……。
その男の名は……。
初代『トリマン』にして伝説の『トリマン』、『暁を告げる英雄』。
“東天紅”。
***
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
「静粛に! 静粛にっ!!」
カァン、カァン!
鳴り止まぬ政治の華、議場の花、議会の花とも呼ばれれば、さぞ美しかろう。
だが、その実は、誰が誰の上に立ち、誰がその山の頂上に立つか、
あるいは立てずに落ちるか、蹴落とせるかどうか……、
そのハラの探り合いに過ぎない。
目の前の議論の重大さや、ソレが決めるであろう未来のヴィジョン、
今後の展望や戦略などには、誰も興味が無い、専門外だからだ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
そうして生じた様々な重要な議論や価値のある意見は、
寄せては返す音波の波となって放たれて。
壁にぶつかって天井から降り付けてまた床から立ち上れば、
何が何だかよく分からない雑音とも成り果てる。
あるいは、この様な意味も無いノイズに聞こえるからこそ、
神秘性や平等性、それから、正当性や正義、そして、
平和が保たれ信じられているのかどうか……。
「皆さん、静粛に! 時間ですから! それでは、決を取ります。」
「意義あり!」
「現状、本国会においても、議論されている議題ですが……。」
「それは、今回の採決に関係がありません。」
「しかし、首相は逃げるのですか?」
「逃げていません。」
「それなら、聞いてください。」
「何度も申し上げておりますが、本会議においては関係が御座いません。」
「しかし、総理……。」
「どちらの政党のどのどなたがどう仰ろうとも……。
かの“大臣”の席なら抹消しませんし、予定もありません!」
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
ガリガリビービーギィギィガァガァ。
彼らは、無能な総理大臣に激しく捲くし立てた。
税金の無駄だ、国民のことを考えろ、世界から孤立している、
子どものことを考えているのか、老人に優しい社会にすべき……。
独裁者と揶揄された総理は、溜息を吐きながら席に着いた。
結局、議論が“可決”とされるまでに、真夜中を越えて
朝方(東天紅)を迎えてしまった。
「これで、……良かったんですよね。」
この国には、今や空席の、永久欠番の大臣の席がある。
今でも、税金のムダ遣いだと揶揄されるほどにふざけた名前の、
一見、何の役に立つのか分からないソレだ。
いつから在って、誰が作って、何のためにあるのか、
それは随分と前に秘匿とされて久しい。
ただ、代が変わり人が変わり時代が変わっても尚……、
その心を継いだ人が見上げるなら、見れば見るほど不思議な安心感さえある。
『ガリガリビービーギィギィガァガァ大臣』。
今も尚、その座だけは、人々の記憶にある。
第02幕:
【1つの石に、安らかな眠りを】
――これは、人類が、とある『遺物』を発見した記録である。
20XX年。
ある場所(詳細は不明)で、“ソレ”が発見された時、
最初は、どこにでもあるそれであるとは、誰も想像すらしなかった。
『何だコレ、生きているのか?』
『いや、生きてはいない。』
『それにしても、見てくれ、何という……。』
あまりに現実からかけ離れた想像が、彼らの頭を過る。
とにかく! 様々な視点から、『ソレ』を判別することにした。
『見たところ、歴史的遺物ですが……。』
考古学者:
『かなり古いモノですねぇ。 模型か何かか?
しかし、あまりに形が整い過ぎていて、
新しいと言っても違和感の無い……。
いつの時代のモノなのか、興味深い。』
C14年代測定分析者:
『あまりにデタラメ。
古い時代のサンプルとしては、面白味もなく、あり得ない!
結果か? 時代は、現在のモノでないの?
我々を試しているのか? そもそも、コレは何だ?』
化学者:
『炭素、水素、酸素、窒素……。
こんなにも硬く、鉱石など石のそれにも見えるのに、
金属光沢すらあるコレの組成がこうというのは、興味深い。
まるで、◯◯◯の様だ。』
各種化学分析結果:
『有機物、特に、脂質。』
物理学者:
『全く独特で不思議な形をしている。
……で、一体、何の遺物かね?
コチラは、専門外だ(忙しいらしく、突っぱねられたらしい)。
医学か、解剖学の学者さんの方に、鑑定して貰っては?』
鉱物学者:
『何の鉱物か? 水晶の様な光沢は確かにあるが、結晶が不均一だ。
それより、ターコイズ様の光沢にも近く手触りもそうだ。
色で言うなら、オパール、にしては色が薄いしどうだろ。
金属光沢が気になる。 しかし、モース硬度で言うなら……。
何だコレ、ちょっ、破壊検査させてくれ!』
解剖学権威(名は伏せる):
『発掘した遺物?
何故、私にそんなものを……?
<以下、削除済み>』
X線構造解析結果:
『不明。』
電子顕微鏡解析結果:
『これは、凄い……。
何重もの紋様か……、フラクタル図形を見る様だ。
本当に、コレ、◯なのか? いや、遺物?
いやー、凄いモノを見せて貰った。』
数学者:
『21次元的フラクタル構造か!? 宇宙のソレだよ、知らないのか?
細胞と細胞とのネットワークも、それに似ているという仮説があってだな。
それで、一体、コレは何だ?』
――その後、この数学者は消息を絶った。
それを受けてか……。
やがて、この件に関わった研究者、学者、分析者らは、
悉く、多額の口止め料が与えられたという、真しやかな噂が立った。
詳細が語られる前に、そっと、この件は忘れ去られて行った。
***
ザ……、ザザ……。
雑音混じりの録音テープ。
今は使われていない研究室跡の、とある部屋の中で隠されていた
ソレは、面白半分の暇な学生らに発見され、ある時再生された。
『……いや、驚いたの何のって。』
ザ……。
『……の脳を持つ男という、奇想小説があるだろう?
諸君も、ザ……、知っての通り。』
ザザ……。
『アレは、人類の可能性だ!
(興奮気味に)まさか、とは思ったが、その、まさかだった!!
宇宙からの……、ザザザ……、か、それとも……、ザザ……。』
そして、20世紀最高の貴重なサンプルは、必要でなくなるだろう。
所詮、少年ワンパクの延長でしかない彼らなどは、
“1番”が好きなだけで、それより下には興醒めなのだから。
だから、どうか……、お墓に返してあげてください。
そして、人類よ、新しい脅威にお立ち向かいくださいます様……。
***
ザザ……。
遠い記憶が流れて来る。 それは、勝利の記憶だ。
しかし、同時に、絶望の始まりだった。
「化け物め……。」
何千何万もの船団は、敵の大きさを見誤っていた。
大きいなんてものじゃなかった、天を衝く巨人と評しても尚、
有り余るほどの巨大な邪悪であった。
「ここで食い止めなければ……。」
やっとのこと勝利した記憶は新しい。
皆で掴んだ決死の末の大勝利は格別なハズであった。
しかし、その直後に、逆転の悪夢を味合わされるとは。
「しかし、敵は1体ではなかった。」
「1体ですら、我らの半数以上どころか1割以下にまで……。
友軍を撃破した“アイツ”が、まだいる。」
「いや、もっと……、ゾロゾロと……。」
「決断する。 散開せよ! そして……、各自、生き残れ。
再会は、できたらその時喜び合おう。 さらばだ。」
「「「了解!」」」
「ええいっ、一矢報いず死せるものか!」
バァーン!
「南無三……。」
ドカァン!!
本当は音なんて無い。
でも、音が伝わると云う空気なら、戦闘機の中にだってある。
向こうで通信していた勇敢な者どもの最後の息遣いまで分かるんだ、
爆発なら聞こえるさ。
例え、虚無の宇宙、果ての海でも。
「馬鹿どもめ……、散開だと言っただろうが……。」
もう気付いている。 “逃がすため”だ。
たった1機を、この地獄から逃がすためにわざと……。
「再会は……、期待できそうにない。」
憎まれ口を呟いた、そして目を手で覆った。
滴り落ちた涙は、水資源を無駄に浪費するだけだというのに。
だからこそ、思い出した。
故郷に……、残して来てしまった、“あの子”を。
「ただ1つの希望だ。 あの子には、別の未来があらんことを。」
そう願った命は。 また宇宙の片隅で物語を紡いだ。
まさか、遠回りに遠回りを重ねて遠回りして、
同じ場所に行き着くとは、彼女自身も思わなかったであろう。
***
「そうさな、結局、人類とは限らず。
『生命』は、『意思あるモノ』は、戦争を選ぶんだ。」
だから、また続くさ。 命ある限り、戦争も、物語も。
かつて、そう呟いた声の主もまた、小さな古い像として拾われ、
拾い主の何かになった。
第03幕:
【Sol lucet omnibus】
「何故、貴様が呼ばれたのか、分かるな?」
「ははっ、この心に誓って!」
ビシっと決めた、気合の入った黒いスーツで決めた、
まるでクスリでもキメたかのヤバい顔つきの精悍な男です。
サングラスは必須です。 名を、Fhu-氏といいます。
ゴゴゴゴゴゴゴ……。
黒い、ただ闇雲に底無しの闇にポツリ1人。
広大な、星の光も無い宇宙の果てに呼び出され、立たされている。
なのに、その眼前の御方の、野心ギラギラで見たモノ全て焼き焦がす
1つの目が、遥か上空、いや、天空の彼方から、威圧的にギンギラ燃えて輝いて、
凄まじいエネルギーのまま貫き射殺す勢いでただ1人を見下ろされ、
それでも怯えて失禁することも気絶して絶命することも許されない。
「Fhu-、貴様、我が軍勢が気に入らぬのか? なあ……?
我が軍門に下れよ?」
ゴゴゴゴゴゴゴ……。
今回は、さすがにヤバい。 名指しで、予告無くここに連れて来られた。
1つの返事の遺憾で、瞬間も待たずに地獄に送られる。
即ち、文字通りの“超煉獄大業火爆熱炎獄無限地獄”である。
「畏れながら申し上げます、『黒太陽』の神。
繰り返す不要を奉じることはできませぬ、御容赦を、何卒。」
「チっ……。 お前、下れよ。」
「畏れながら、畏れながら。」
「……。」
「ただ、こうしてここに呼んで頂いたことに感謝申し上げます。」
「何故だ?」
「1つ、語ろうかと。」
「ほう。」
見上げてはならない。 ただ、そこで跪いて語っていれば良い。
でないと、地上で見るオレンジ色の太陽、黄色い太陽、赤い太陽、
人類の知る太陽とは著しく異なる彼に、身も心も魂までも焼かれてしまう。
それは恐ろしく途轍も無く強大な凄まじい『神』だ。
「まさか、1対1で語らせて頂けるなんて、光栄です。
このチャンス、巡り合わせに感謝しております。」
「前置きは不要だ。 語れ。 何を語る?」
「この愚か者が知っている『神話』の欠片。
全てでは御座いませんが、幸い、大神様が許可してくださったみたいなので、
可能な限り話しましょう。
こんなことするのは、“あの御方”以外では、『黒太陽』様が初めてですよ?」
「良かろう、語れ。」
***
『黒太陽』の神様は、残酷で冷酷で絶対にして完全無欠で唯一、
“力こそ正義”という気質で有名な御方だった。
その故に、力を求め、力を持ち、自身の力で道を切り開き、
自身の生きる世界を作り上げるという気質の人々に信仰された。
そういう、自助努力で自分を鍛え上げて強く逞しく成長する人を、
厳しいながらも確実で強固な加護を与え続けたからである。
結果、ソレを知らない者らに、酷く警戒され恐れられたし、
山賊・海賊みたいな力ばかりの侵略者連中の信仰の対象として
人気ですらあったので、広い宇宙のどこへ行っても、
『黒太陽』の名どころか、『黒』なる名や表現を見て
震えない者は少なくないなんて、物騒なことにはなったけど。
「残酷ではないですよ。 優しい方。」
この宇宙の片隅の、地球とかいう田舎みたいな場所の人類が。
例え、あの“ガイア”のお気に入りの惑星の人類だとしても、
ナメたことを言うものだ。
「下らん。 ここで貴様と会うべきではなかった。
貴様、それが言いたかったなどと言ってみろ。
ペテン師め、ここで焼き○す。」
「いいえ。 この愚かな男は、マネをしただけ。
誰のマネかは、お分かりでしょう。」
「……『キ』か。 アヤツ、余計なマネを。
だから、貴様は○んだというのに……。」
「確かに、あの御方は、お亡くなりになった。
しかし、心は、ここにある。」
ドン!
胸を叩いて応援しよう。
「まさか……。 いや、まさか。 アヤツに、お前……、会ったのか?
おかしいだろう、どれだけ……。」
「ええ、だからこその、“人類”です。
偉大なる始祖、『起』から連なる我々だからこそ……。
“彼女”がもたらした可能性に、乗ってみませんか?」
「……。」
***
「……まさか、お前、ソレは、『白』にも言ってないだろうな?」
「まさか。
先に提案しようとしたら、『黒君』に先に提案しろって、
厳しく突き返されました。
『キ』のお話については、『黒太陽』様にだけです。」
「小賢しいヤツめ。」
例えるなら、せっかちだが熱心で熱狂的なファンでいてくださる人。
物を書くに当たって、やれこれと横から手でも足でも出して、
早く次を見せろ次はどうなるんだと、文章に1文字書き足そうとする度に
凝視してきては、またどうなるんだとしつこくうるさい上客みたいな。
椀子そばのそばが茹で上がる前に食わせろと言う客みたいな人。
なのに、どうしてか、……愛しい。
「だから、『王妃』様視点からの物語と世界観。
誰より先んじて、それらも語りますので、ご存じの伝承や証言、
そして記録と合わせて頂ければ、幸いで御座います。」
「……未完成な『神話』なのだろう? 大丈夫なのか?」
「今の段階では。
ただ、現状提供可能なソレは、そこまでで御座います。
今後、変化が生じるかと。 それでも、今はこれで精一杯かと。」
「続けろ。」
そうして、『黒太陽』様の仰せのまま、彼は語った。
存在という概念、神という概念、世界という概念の誕生と、
破壊と崩壊と滅亡の誕生、そして悲しみと絶望と死の誕生。
さらにそれらを越えたモノ達が繋ぎ、新しく生じさせた
希望と再生と復興と、そして数え切れない何かが生まれたこと。
どれほどの時間を費やしただろう、壮大な世界観と、
その歴史を歌う様に彼は語ったと云う。
「偉大なる『黒太陽』、先んじたネタバレを、
貴方様にだけ、しました。 とりあえず、以上で御座います。
また、申し遅れましたが……。
先の騒動では、誰人知れず、そっとさりげなく、
騒ぎを収めて頂いたこと、御礼申し上げます。」
「馬鹿か貴様は。 正義の裁定者にでもなったつもりか。」
ゴゴゴゴゴゴゴ……。
燃え上がる黒い炎の温度が何度であるのか、知りたくもない。
地獄の炎も、あれほどじゃないだろう。
まだ熱くないのはアレだ、魔法とか神秘とかいうアレ。
いつだったか、体験したから知ってるけど、ホントは危険なアレ。
「『キ』のみならず。
『シ』、『ホ』、『ナヌ』、『ニ゛ョ』にも会ったのか。
……なるほど、きゃつらなら、何か知ってそうだった、な。
しかし、よく生きて戻れたな。」
「名のある神々の4方にも、お世話になりました。
『死』には、名前だけにビビってましたが、
思ったより気さくな方でしたよ、始終無表情の無感情でしたが。
ただ、やっぱり……、『炎』は、
相対した時、焼き殺されそうになりましたが、
本人は至って優しい愛らしい方でしたが……。
やはり、彼らが、あの……。 『輝きの世代』。
偉大なる古代神の方々。 貴方様と同じ。」
「我が軍勢に下らなかった、下らぬ連中よ。
賢明なる『シ』と、絶大なる『ホ』は、別として、な。
なるほど、道理で、物知り道化を気取ることよ。
ましてや、お前の上にある4柱の女神ども、か。
『天』と、『食』がいるのか。 道理で。」
「いつもお世話になっております。
そして、まだ誰にも申し上げておりませんが……。
『カ』にも、もしかしたら、お会いできたのかと。」
!?
「馬鹿な!? 在り得ん! 決して在り得ん!
おかしい! 絶対に、いや、断じて絶対にっ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ……。
「まさか、あの『カ』が? あの、『カガ』がか??
在り得ん! 決して在り得ん!」
「あああああああ……www」
グルグルグルグル渦巻いて……。
宇宙だか何だか知らんけど、ずっと蹲って宇宙の闇を見ていたから、
どんな光が現れても、ソフトクリームと間違えてカブり付く自信さえある。
任せろ! ドンっ!
***
「Fhu-さんは、何でシーツにカブり付いているの?」
「モガ? ホガガ……?」
素敵な朝の挨拶です。
派手な寝相でアクロバティックなポーズを決めた成人男性が起きた。
青く澄み渡った空、東に輝く太陽は今日も元気。
「でっかいソフトクリームにカブり付く夢を見ていた。」
「いいなあ、ソレ。 メルヘン、私も見たいものだ。
でも、シーツは食べたくない。
例え、ネジネジされた白いシーツでもだ。」
「じゃあ、ソフトクリーム食べに行こうか。
皆も誘っておいで。」
「あやにく、姉妹は皆、用事で外出だよ、Fhu-さん。
今日家にいるのは、受験勉強予定のヒカゲさんだけさね。」
「じゃあ、しばらく勉強でもしてな。
終わったら、気分転換にデートだな、ガハハwww」
「何がデートじゃい。 めっちゃ奢らせてやる。
大食い娘の胃袋ナメるな。」
「望むところだ。」
<後編に続く>
続き(後編)は、明日07/02に投稿予定。




