閑話:新宿連続強姦魔立て籠もり事件2
大量のパトカーが銀行の前に檻のように並んでいる。
定石通りに、銀行からは見えないところには大量の狙撃班が突入のチャンスを狙っていた。
「すげーな。」
「ね?」
勝手についてきた国木田警部補も胸が焦がれるような焦燥感で満たされた空間に驚きを隠せなかったらしい。
とはいえ、いきなり立て籠もった犯人だ。銃を持っているとはいえ、これだけの刑事がいれば解決しないこともないだろう。だが面倒なのは、後ろのいる星の数ほどいるマスコミ陣の存在だ。あれやこれやスクープを狙おうと意味の分からない大合戦が続いている。端っこでわちゃわちゃされるんのは別に良いのだが、警察の邪魔をされてはたまったものじゃない。獲物を狙う獣の眼をしている報道陣を貴重な戦力が両手をかざして、妨害を止めようとしていた。
「邪魔ねえ・・・・。」
「ええ。報道も行き過ぎると酷いものになりますね。」
他の景観に来て現場の状況把握できたが、夏目の捜査には自分も加担していたのは事実だ。
狙撃班がいるとはいえ、少しは動かなくてはな。
――――――――
もーなんなの・・・・。
面倒くさい。
時間の無駄。
今にも殺したい。
このくそジジイが持っている銃を奪って今にもこいつの心臓んもたたきつけて一杯苦しめてから殺せるのに、まあうまくいくわけないだろう。
警視庁刑事部第一課元殺人対策部・太宰暦警部補は自身の精神の奥に眠る異常性を隠しながら、どうこの修羅場を抜け出せたものかと考えていた。
ついさっき銀行でお金を引き出していたら、銃を片手にガタの強いだけの内心はひ弱なのが目に見える男が汚い声を荒げて典型的な「静かにしろ!手を挙げろ!」と聞いているだけ知能が低下しそうなお言葉を発していた。
もちろん銀行員やほかに金を引き出しに来た客は耳をつんざくような悲鳴を上げていたが、犯人の一つの発砲のより恐怖はいつの間にか頂点に達し、皆震えて黙り込んでいた。
とはいえ、俺の悪いところはこういうのだ。財布片手に呆然と彼の事を見つめていたらしい。こういう時は情人というのは怖がって悲鳴を上げるのが普通なのだが、それを学習するのをすっかり忘れていたなあ。
なのに、バカがいると言わんばかりにの目で彼の事を凝視していた。
「おい、お前・・・・。座れっつただろ!?」
「それは・・・・・、私に対していっていたのですか?」
「・・・・・・は?」
「ならば、私の事をしっかり見るか、代名詞として全員やお前を付けてください。
そんなことで日本語伝わるほどこの言語はたやすくありませんよ。」
「てめえ、なめた口ききやがって・・・・、殺してやる。」
「別にいいですが・・・・、今私の事を刺せば、殺人罪として死刑又は無期若しくは五年以上の懲役・・・、とはいえ今時点で脅迫罪として二年以下の懲役または三十万円以下の罰金、あと銃刀法違反にもあたります。そのうえ殺人罪ですけど・・・・いいですか?」
自分には全く悪気はなかったが、目の前の犯人は怒り心頭、今にも俺を刺し殺そうな目をしていた。
何か・・・・気に触るようなことをしてしまったのか?
「て、てめえええ!この・・・・。ぶっ殺してやる。」
何を思っているのかポケットから出したナイフを震えた手で突き出そうとしたりしなかったり、数ミリ前に出したと思えば数センチ後ろに下がったり、挙動不審なんだなこの人。
「随分とかませ犬が言いそうな言葉を吐くのですね・・・・、かませ犬コンテスト優勝者ですか?
ああそうか、日本語伝わらないんだった・・・。
Uh.... , are you the winner of the underdog competition?」
流暢なイギリスアクセントの英語でかませ犬・・・・じゃなくて立てこもり犯に喋りかける。
最高に沸点を彼の言葉で直撃されたのか、無謀にも銃をこちらにむきつけてきた。
とはいえ、ここで極限までに楽しみたいのが太宰の精神である。
彼が向けた銃を簡単に掴み、ゆっくりと自分の額にひっそりと向かせる。
銃の冷ややかな感触が興奮して今にも滾りそうな体内温度を下げていく。
銃と犯人に集中しているせいか、人工的な明るすぎる蛍光灯と、一定的に流れる時計の音だけが五感で唯一感じるものだった。
死ぬのは怖くないというのは確実な言葉ではないが、死より怖いのは圧倒的になんのスリルも感じずに根無草のように命を撒き散らすことだ。
ここで犯人が引き金を引いたら堂々とダーウィン賞を受賞できそうな死に方になるが、この50%の不確実な確率が、俺の精神を燃やすように撫でてくる。
「どうぞ?撃ってみてくださいよ。犯人さん?」
銃を持った手が腕が神経が、徐々に青ざまて人間らしくなってないことがよくわかった。
何十万年前から進化を遂げてきた人間という生物がここまで儚い精神をお持ちだということは、何人という同種を殺害してきた俺からすれば百も承知な事実だった。
こき下ろされるのは趣味ではないが、こうやって犯人で遊んであげるのも悪くないというより・・・一種の幻想郷だな。
この醜く短気で軽い衝動でしか動くことができないビチグソは諦めよう。
とはいえ俺にも一応、本当にびっくりするほど薄っぺらい飾り物である刑事の肩書きがある。
今この事態を見事に目撃している何人かのアホどもの口をつぐませて、この状況を典型的な立て籠り事件に仕立て上げないとな。
まあ、こういう時は言葉が一番効く。今ので俺がとんでもない異常者だということが分かったかもしれないし、分からなかった猿はあとで黙らせておけばいい。
「みなさん・・・・・。この話は。」
一気に銀行員やら客が物陰に隠れたり怯む声が聞こえた。
全く・・・・、こういうのがいるから国の状況が悪くなるんだろうな・・・。
「他言無用で。」
ちょっと最近忙しくて投稿遅れ気味でごめんなさいーー。
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