主人公コンテスト優勝感あるね、この人。
八年前。
あと一歩で殺人鬼になっていただろう青年を救い上げて、刑事として育て上げたのは人生最大の功績だった。
青年、江戸川彰というのは、彼のお母さまの次に彼の事を知っていると思っている。
彼は誰よりも強い。
だけど・・・・・、
壊れるときは誰よりも脆い。
――――――――
「あぐりっ・・・・、立ち上がれるか?あぐり?」
動くのは危ない状態にいるが、唾液を垂らして気絶しているあぐりを助けないという選択肢はなかった。
腕を何回か揺らしたら、あぐりは目を空けて泣きながらこちらへ抱き着いてきた。
身体中にこびりついたあざと古傷がさっきの暴行でさらに傷んでいる。
「アキラ!・・・・ありがとう・・・・・。」
「良かったよ、あぐり・・・・。」
大粒の涙が白いワンピースに染みる。
暴力の痛みは精神的にもひどく来る、恐怖で体中が痙攣するように震えている。
傷んだ腕のあざに極力触れないように、彼女を抱き上げベッドに乗せた。
昨夜と同じように、その半分にあぐりの強い勧めで乗せてもらった。
「あ~酷い目会った。」
「ね。」
「大丈夫?痛むだろ・・・・。」
「私は大丈夫。アキラこそ、あんな毒盛られて・・・。」
「安心しろ、抗体がもう効いている。さすがに熱は出ているが・・・・、それよりいつ盛られたんだろう・・・・。」
「そんなことどうだっていいわ。アキラ、無理しないで。」
「無理はしないさ、はぁ・・・・それよりも全然眠れない。」
妙な微熱が気になってなかなか脳が眠らせてくれない。
眠いと思っていても、体がそれを拒否している。
発疹も収まりはじめているが、内側から熱せられているようで痒い。
手の傷は上手いこと止血をしてくれているが、普通に痛い。
「アキラ・・・眠れないの?」
「ああ、君はもう寝てていいから。あざには気を付けろよ?明日代わりの包帯貰ってくるから。」
「う、うん・・・・。」
「明日は休もう、流石に1日は安静にしねえとな。」
冷め切った彼女の頬を撫で、寝るように促す。
ここにきてから9割型は地獄だけど・・・・あぐりといる時、この一瞬だけは何故か刑事をやっていた時より心が軽くなる。
今まで何かに縛られてきた精神が、彼女と勉強しているときは、食事をしている時は、寝ている時は。
その瞬間だけ溶けてくれる気がする。
「辛かったよね・・・・、アキラ。」
「え?」
「フフっ。なんでもないわ、おやすみ。アキラも早く寝よ?そうすれば痛みも感じない・・・・。」
アキラの額をさわり、『熱がまだひどい、早く寝て』と一言だけ呟き、彼女は目を瞑った。
全く、隙のない女の子だ。
こんな運命じゃなければ、頭のいいスポーツもできる、優等生として社会に出れていたはずなのにな・・・・。
神様というのはどうも面倒だ。
こんなことにならなければ、こんなことしなければ、神を信じたままだったのに。
ドンマイだな、神様よ。
年の差感じない。
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