殴るのは好きだけど殴られるのは勘弁です
連絡を入れた後、直ぐに太宰は地下室へ入ってきた。
見えなかったけど雰囲気でなんとなくわかった、この状況を楽しんでいるような、私たちを字割っているような顔をどうせしているのだろう。
「ほんっとうに良いタイミングだ。あぐり、どけ。」
私の肩をどついて投げ飛ばし、不意の衝撃で壁に頭を打ち付ける。
鈍器で殴られたような痛みが走る。
その光景に太宰が口角を上げて、にたりと笑う。刑事としての顔を被った太宰にはありえない表情である。同時に喉を一押しして、声を替える。
彼女の髪を掴み取り、頬を殴り、腹部の溝に蹴りまくる。もちろん彼女はもとからあったあざや傷などに当たり、そこからの二倍の痛みで、彼女の眼に涙が浮かんだ。
ただの腹いせなのか。それとも、単なる趣味嗜好なのか。
「あぐりっ・‥‥。」
アキラが毒に悶えながら、あぐりの元に近づこうとするが、普通にそれは止められた。
太宰がアキラの腕をつかみ、合気道の技で無理矢理床に倒れさせる。
その反動で、また胃酸が口から噴き出てくる。オレンジ色の酸っぱい液体がどろどろとあふれ出る光景は地獄といっても過言ではなかった。
「うーん。サンドバックとして小さすぎるんですよねえ、あぐりって。
ああ、大丈夫です?アキラさん」
ティッシュで胃酸をふき取り、俺の隣に座ってくる。
あぐりは部屋の隅で蹴られまくって、恐怖で震えるしかなかった。
「てめえ、何盛りやがった。」
「ふふふふっ。さあなんででしょう。」
まるでペットを愛でているかのように、顎をもって口元にこびりついた嘔吐の跡を拭いていく。
こちらとはいえ数日前の監禁生活から精神もろともボロボロ(今に関しては肉体的にも)だというのに、これ以上凌辱されたらたまったものではない。
だが、逃げ出すことすらできない。
「汚いのは嫌いでしょう?」
「このっっっ・・・・。」
最期の力を振り絞って、左の拳に力が入るが、太宰に振り払われる。
はあとため息をつく声が聞こえた。
「アキラさん、さすがに往生際が悪いですよ。さっさと認めたらどうですか。
もうあなたはここを抜け出すことはできない。警察も何もあなたを助け出すことはできない。どうせあなたは私の檻の中で生を終える運命なんです。
まあいいでしょう。もうちょっと嬲ってみるつもりでしたが、やりましょう。
アキラさん、覚悟してくださいね。」
身体中が心臓から脊髄から神経まで、すべてが震えた気がした。
太宰の冷たい目とすべてが凍り付きそうな声が自分の全てを支配された、ただそれだけだった。
スーツの中からナイフだけが出される。
あれで何をされるのか、あれで俺はどう殺されてしまうのか。
俺は・・・なぜ今。同僚に刺殺されようとされているのか。
ナイフが思いっきり突き刺さられる。
鼓膜に通ったのは。
俺の悲鳴だけだった
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