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舞鶴生まれの殺人鬼

いつの間にか眠ってしまっていた。

薄暗い部屋の隅にあるベッドで久しぶりに自分の本質を見つめなおしてしまったな。

ああそうだ、舞鶴いかなくちゃ・・・・、姉さんの家で殺るか、ここで殺ってしまうか、どっちにしようか迷うな。まあいいや、ココに持ってきてやってしまおう。

四時か・・・・、あと一時間たったらいこう。

それよりコーヒーでも飲んで、心理学の論文の続きを読むとしよう。

本当に、ストックホルム症候群という病気は奥深い。使わなければ損ということは言うまでもない。


まあ、せいぜい余命を楽しめよ?お姉ちゃん。フフッ。


――――――――――


「お疲れさん。さすが、全科目満点だ!よくやったな、あぐり。」


「三時間ぶっ通しとかいじわりぃ。」


目の前に広げられた手書きのテスト用紙には赤い丸が大量についており観ているだけで心地いい。

アキラ自身、自分に教師の才能も宿っていたのではないかと感じていた。

午後の授業は俺が長引かせてしまったが、まあ、うまくいったということにしておこう。

太宰も手錠だけは外してくれたし、まあまあ便利になってきた。


「一日中教育に費やすなんて、どんな鋼のメンタルをしているのよ。」

「自分が面白いと思うことについてはやめられない性根でな。」

「このお、だから無理に首突っ込んでこんなことになってるのよ。」

「だがそうしなくちゃお前の首は今どこに突っ込まれている?地獄か?」

「うう・・・・弱み握りやがって。」


疲れて机に顔を突っ伏し、ちょっとしてから紅茶をすする。

ローズマリーの香りが部屋中に漂う。


「アキラさ、昨日一緒に寝てくれたじゃん・・・。かっこよかったよ。フフッ。」

「バーカ。おちょくってんのかお前。」


とは言っても、ここまで頑張ったんだ。頭を撫でてやることぐらいしてやろう。


「あぐり、偉かったな!」

優しく頭を撫でてあげ、疲れた顔をしていたあぐりの顔はほんのりと紅潮する。

昨日の夜は本当におかしくて、楽しかった。

本当にいつぶりかに人と一緒に寝たなあ。樋口警視総監がせがんで来た時も無理矢理離したのに、まさか自分から言ってしまうとは。


「ありがとっ。アキラ。やっぱ大好き。」

「あたりめーだ。よし!休んどけ。」

「アキラもっ!」

服の袖を掴まれ、ソファに倒れる。

柔らかいソファに二人が寝る


「アキラ、今日の夜さ、縫い物の仕方教えてよ!」

「残念だが俺は小中高と家庭科を捨ててきた!無理な要望だな!諦めろ。」

「やだあ」

「っーー仕方ねえな。知ってるもんだけだからな。かがりぬいぐらいしか知らねえよ。ああ、頼むんだったら、自分で頼めよ。あのお、ほうさいセットだっけーー」

「裁縫セットのこと言ってるの?」

「ああ、それ」


語彙に問題があるのは横に置いておいて、あぐりにとってアキラの存在が唯一のすがれる場所だということは間違いなかった。

『最期』の時までは自分の隣にいて欲しかった。


――――――――

京都・舞鶴市

何の変哲もない普通の住宅地で、一つの黒い車が止まる様子は何の問題もなかった。

但しその車から降りてくる人物を除いて。


「久しぶりだなあ、地元。舞鶴も悪くないね。」


月がうっすらと雲にぼやけて移り隠れしている。

スーツの中に忍ばせたスタンガンと刃渡り40cmのナイフに恐れるかのように。



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