さようならと言う言葉は似合わないと言うけどこれぐらいシンプルでなきゃ思い出してしまうから結局これにする
食器を洗い終わって、机に向かう。
時間割を作るつもりだったのだが、教師なんてしたことないし、どう時間を分けるか頭を悩ましていた。
とりあえず午前は全て漢字に割こうと思うが、何時間やって何分休みがいいのだろうか。
でも今日やったらすごい集中力だったからな、一時間半やって三十分休みでいいのか。
悩みに悩んだ結果、九時から授業開始、午前は二時間の授業を一コマ、四十分休んで漢字のテスト、その後に昼食づくりを行ってそのうちに俺が採点をする。
一時半から授業再開、一時間半算数の授業をして、三十分休んでそれから一時間半の漢字を一コマ、また三十分休んでテストをして夕飯づくり!
夕飯以降はまだ若いから早く寝かせなくちゃな。
九時半になるべく寝ると記す。
これでいいだろう。
今考えたことを全て描き終わり、ノートを閉じる。
その時すでに、あぐりは浴室から戻っていた。
相変わらず髪を乾かすことを要求してきたので、後に嫌々言われるのも面倒だから、ドライヤーとタオルを取り出して渋々今までやったこともない長い髪を乾かしていく。
思っていたが、本当に綺麗な髪質だな。輝く墨色が彼女の滑らかな髪をさらに映えさせている。
このあと櫛とかで梳かなくちゃいけないのかと考えていた時だった。
「そう言えばさ、アキラって有名な大学に行ってたんでしょ。なんで刑事なったの?」
手がぴたりと止まる。
本当にこの子は核心をついた質問をしてくる。少々遠慮がないところが難だが、別に答えるのが嫌というわけでもない。なのに、少し言葉がつっかえた。
「ーーーーーー、誰にも言うなよ。特に太宰には。」
「言わないよ。ーーーーー、信用できない?」
「別に、そういうわけじゃねんだけどな。
俺だって、一歩間違えれば太宰と同じようになっていたかもしれないという話だ。」
「太宰に・・・・?」
「復讐しようとしたんだよ。
母さんを殺した奴らを。」
ーーーーーーー
誘拐事件から二日がたった。
全員必死に情報を取ろうとしたが、何ひとつとして進展がない。
太宰の家を捜査したが、家具も痕跡も全て消え去っており、親族とも話ができていない。
というより、できない状態なのだ。
両親は認知症でボケてるし、唯一の姉も行方がわからないという。
捜査本部を担当している、与謝野警視正。
『拷問刑事』として呼ばれる江戸川彰のことはしっかり理解している上、彼が何故刑事なったかということ、何故拷問を許可されたことについて熟知している数少ない人物の一人である。
警視総監室にて二人は相変わらず頭を悩ましていた。
「乙羽・・・・、まだなんの手がかりも取れていないの?」
「あまりにも痕跡がない上、監視カメラにも巧妙に映らないようにされてあります・・・・・、彼自身なんの要求もしてこないし、やはり江戸川君は殺されたという線が強いです・・・・。私もこんなこと思いたくないですが、あの8号室の血痕を見る限りあまりにも重傷ですから。」
「分かっているわよ、でも諦めて欲しくないの。
こうしないと、彼の覚悟が報われない。」
「ええ、彼だって警視総監の恩を返すために今まで過酷な仕事内容をこなしてきた上、それと同時に復讐を遂げようとした。だけど、彼のお母様を殺した犯人はまだ逮捕できていない。そのまんま死なせることなんできないですもの。」
「そうね。太宰のクソ野郎・・・・、必ずしょっぴいてブタ箱送りにしてやる。」
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