情状酌量の下しても
目覚めたら閉じ込められていた。
日なんて当たってるわけない、地下室だ。
妙に蒸し暑くて、のどが渇いていることに気づいた。
よーし、ここで慌てるのはプライドが蝕まれる原因になりかねない。
俺、江戸川彰警部は、ついさっき警視庁で同僚刑事であり殺人鬼の太宰暦に非常に屈辱的な嵌められ方をされた上、左目をくり抜かれ、気絶し誘拐され、現在この地下室にて刑事が持つあの手錠と足枷、なぞの鉄製の首輪を付けられた上、薄い生地でできたよくゆう白いワンピース型の囚人服らしきものに着替えさせられていた。
――――――ああああ!充分プライドなんて持ってかれるよ!こんなん!
あー左目本当に無くなった
俺の刑事人生予定に同僚が実は殺人鬼で誘拐されて監禁されるなんて項目はねーんだよ!
はあ、落ち着け。
まずはどうやってこの拘束具を外せるか考えろ。
まあ、太宰のことだから用意周到でどうせ外せる代物ではなさそうだが、ココで希望を失うのも選択として正しくない。
どう逃げた物か。もうすでに、俺と太宰が警視庁から消えたことに関して誰か感づいてくれてると嬉しいのだが・・・・・。
そう、急いで考えている俺を、横からまるで愛らしいペットを眺めているような顔で覗いてくる男がいた。
「ああ、困惑しているアキラさんの顔も見ものですね。」
「死ね。」
太宰暦。俺の同僚であって、共に追っていた少女殺人鬼、アメリア・ロゼエピヌこと夢野あぐりを裏から操っていた輩である。
そのことを知った俺は、言及した結果、落とし込まれ今に至ると。
「相変わらず言葉が辛辣だなあ。囚われの身ってこと分かってます?
まあ、私自身アキラさんには手を出しにくいですしね。」
さっきものすごい勢いで手を出してただろと心の中で思いながら、周りを見渡す。
まあ、ベッドは結構綺麗で柔らかそうだし、ある程度の家具の品々は用意してくれている。
「とりあえず、なんか飲みますか。顔赤いですよ、換気が悪かったでしょうか。」
水の入った普通のペットボトルを差し出してきた、何かろくでもない薬か何かが入ってそうだったが、のどの渇きが酷かった為、しぶしぶ受け取る。
「一つ聞かせてくれ、なんでこんなことしている。
俺がうるさくて、苦しませて殺そうとでも思ったのか?」
あの時気を失った時、一番最初に思ったことだ。
いくら口が悪くても、太宰だけはついてきてくれる存在だと自ら勝手に思っていた。
年上の書類まとめもしてくれて、俺の無茶な頼みも文句ひとつつけずやってくれたのに。
それに、心配してくれる時は心配してくれる。
刑事の中で一番信頼している存在だったんだけどな。
「-------、そんなこと言わないでくださいよ。
私は全くそのようなことは思っていません。
苦しませて殺そうなんて、私はアキラさんを尊敬していますし、そんなことをしようと思っているなんてあるわけないじゃないですか!」
「じゃあなぜ俺の左目を取った上、ナイフで殺傷し、こんなところに監禁してんだよ!」
その言葉に太宰は首を傾げた。
嫌な予感しかしない。
「え?
―――――――、アキラさんをずっと見て尊敬したかったからに決まってるじゃないですか。
左目を取ったのは、外出しようがいつでもアキラさんが近くに入れるのを感じられるからです。
警視庁から家に帰ってアキラさんが近くにいない失望感や喪失感、それが苦しかったんです。
だから、アキラさんをこう誘拐して、監禁しているだけです。
ほら、アキラさんももう仕事の事なんて一切考えなくていいし、ここにいれば、何でも渡しますよ?
衣類から食べ物まで、高いものだったら強盗をしてでも。」
何か恐ろしいものを感じた。
太宰の口から出てくる言葉で、こいつが本物の異常者だということが分かった。
今まで色々な犯人を見てきたが、大体いきっているが、それらしく演じているかだ。
言っていることは大体似ているのに、なんでこんなに恐ろしいのか。
意味の分からない、圧倒的な俺に対する執着心。
地獄の底まで追ってきそうなその笑顔。
今まで隠してきた背筋が凍りそうな声。
人生最大の恐怖を覚えて、後ろに引き下がる。
もうすぐにここを抜け出したい。もう死んでもいいからこいつと離れたい。
そう感じていた。
「ほら、大丈夫ですか?顔がすっかり青ざめていますよ?」
「ほら、喜んでくださいよ?あ、部屋が不満ですか?だったら新しい部屋を用意しましょうか。」
「ほら、嬉しくないんですか?現実社会から、昇進でしか悦楽を得られない世界から抜け出せたことを。」
「ほら、悲しみなんて一生感じません。」
「ほら、私と一生ココにいるだけです。どうです?」
「あなたは幸せ者でしょう?」
その言葉で、精神的にノックアウトされた気がした。
胃酸が津波のように大きく揺れて、体から大量の消化物が吐き出された。
身体が恐怖で痙攣している。
嘔吐物がカーペットに染み付く。
「あーあ、床が汚くなりますよ?アキラさん。」
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