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奴隷の国  作者: 猫人鳥
4章

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508 理論

カイ視点です。

 ハイヘェンターと契約するための契約魔法に、俺も挑戦する事になった。

 俺にはまだ契約魔法の知識はないし、あのフィールさんが疲れてしまっているみたいなのでちょっと不安だ……

 でも、アキナ様が大丈夫だと励まして下さったし、出来ると信じて下さっているので、頑張りたいと思う。


「カイはもう、思い描いた光景を自分なりの術式にする事は出来るでしょ?」

「はい」

「契約呪文は、思い描いた光景を自分なりの言葉にして発するものよ」

「式にするか、言葉として発するかの違いって事ですか?」

「そうね!」


 そう言われると、そんなに難しくないように思えてくる。

 魔物の邪気を俺が抑え込めれるような光景を思い描いて、それをそのまま言葉にすればいいんだ。


「さっきフィーが魔力を多く使ってしまったのは、ハイヘェンターの邪気を、魔力で押し出すようにして鉱石へと移していたからよ」

「押し出す?」

「ハイヘェンターに自分の魔力を流していくの。基本的な契約魔法の施し方として、よく使われる方法ね。フィーはウィザルド国でそう習ったのよね?」

「はい。自身の魔力を対象に流し、自分が主であるようにと認識させると共に、邪気を抑えるという……今回は鉱石を主にという事でしたので、少し応用して邪気を抑えながら押し出しましたが……」


 フィールさんだって魔物との契約は初めてだったのに、それをいきなり知っている知識から応用して発動していたなんて!

 やっぱりフィールさんは凄すぎる。


「自分が主となる場合なら、自分の魔力を流しながら邪気を抑えないといけないけど、今回の主は鉱石だからね。邪気を抑えながら押し出す必要はないわ。邪気そのものには何かをする力はないから」

「では私は、抑える必要のない邪気を抑えていた事で、無駄に魔力を消費してしまっていたのですね。ですが、邪気を抑えながらでないと、上手く鉱石の方へと移せませんよね?」

「そこにちょっとしたコツがあるのよ! 邪気を抑えて移すんじゃなくて、邪気が鉱石まで進むような道を作ってあげるの」

「道、ですか?」

「邪気を風で流すような感じね。魔力を流す時に、≪ウインド≫を纏わせるようなイメージかしら?」


 ハイヘェンターに、≪ウインド≫を纏わせた自分の魔力を流して、邪気を鉱石へと移していく。

 理屈では分かるけど、そんなに上手く出来るかな?

 俺はアキナ様やフィールさんほど強くないし、魔力も多くない……

 契約魔法を使った事がないどころか、今契約しようとしているハイヘェンターを倒した事すらない。

 そんな俺が……


 ここが邪気の多く漂う空間で、気分があんまり良くないからというのもあるんだろうけど、自分に出来ないような気がしてきてしまう……

 卑屈になるのはダメだって、分かってるのに……


「邪気を鉱石へ移し終わってから、一気に邪気を抑えればいいわ。抑えるっていっても、もう鉱石に入ってるんだから、出てこないように塞ぐ程度で大丈夫よ」

「なるほど……」

「アキナ様、やっぱり俺……」

「ん? カイ、そんなに不安?」

「あ……」


 アキナ様が俺の頬に手を添えて、優しく笑いかけて下さっている……

 不安な気持ちが、だんだんと安心感に変わっていく……

 この感じ……久しぶりだな。

 アキナ様がこうしていて下さるだけで、絶対に大丈夫だと思えてくる!


「いえ! 大丈夫です!」

「えぇ、その意気よ! カイなら間違いなく出来るわ! そもそも天喰種は風魔法が得意な種族だし、カイは魔力のコントロールが上手いからね」

「はいっ! 頑張ります!」


 アキナ様とフィールさんに見守ってもらいながら、眠るハイヘェンターの近くに鉱石を置く。

 そして魔法陣を形成し、契約呪文を唱えていく……


 ハイヘェンターから邪気が出てくるように……

 出てきた邪気を、俺の魔力が鉱石へと誘導するようにと、魔力に風を纏わせて……


 呪文を唱えていると、赤い靄のようなものが鉱石の方へと流れて行くのが見えた。

 俺が魔力で作った風の道を綺麗に流れていって、鉱石のまわりへと集まっていく。

 でも、鉱石に吸収されていかない……?


「カイ、呪文を唱え始めたら、唱え終わるまでに中断してはいけないわ! 上手くいかないのなら、今の呪文を唱えながら、邪気が鉱石に入っていく光景を呪文に織り混ぜるのよ」


 アキナ様がアドバイスをして下さっている。

 ちゃんと返事をしたいけど、呪文を中断してはいけないとの事なので、そのまま続行する。

 鉱石に邪気が入って行く光景が描けていなかったみたいだし、呪文を唱えながら想像していた光景を少し変えてく……

 邪気を誘導する俺の魔力が、鉱石の前までで止まっていたのがいけないんだなら、鉱石に入っていけばいいだけだ。


 描き直した光景に合わせるように呪文も変えながら唱え直していくと、鉱石の付近で溜まってしまっていた邪気は、ちゃんと鉱石へと吸収されていった。

 ハイヘェンターから赤い靄が出なくなり、最後の靄まで鉱石の中に吸収されていったところで、鉱石を俺の魔力で包むように魔力を流して塞いでみた。

 これでちゃんと鉱石の中に邪気が抑えられたはずだ。


「はぁ……あ、出来ましたー!」

「えぇ! おめでとう」

「凄いわ、カイ!」


 アキナ様もフィールさんも笑顔で手を叩いて褒めてくれている。

 ハイヘェンターを目覚めさせてから契約した鉱石を持つと、


ゴケッ!


と、近づいて来てくれた。

 しっかりと契約出来ているという事だ!


 ちょっと危なかったとはいえ、ちゃんと自分でハイヘェンターと契約出来たんだと喜んでいると、


「おいっ! 俺もやる」


と、ずっと俺達の様子を遠くから眺めていたフェルルさんが、近づいてきた。

 魔物との契約に、フェルルさんも挑戦する気になったみたいだ。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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