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奴隷の国  作者: 猫人鳥
4章

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507/1454

507 呪文

フィール視点です。

「どう? 大体分かった?」

「魔物の邪気を、その鉱石におさめたという事ですよね?」

「そうね。魔物の邪気を抑えている存在が、魔物の主人にあたるから、これでこの鉱石が魔物の契約主となったわ」

「鉱石が……溟海種の皆が、宝石と疑似紅血奴隷印で契約したのと同じような感じですか?」

「えぇ、流石フィーね! 理解が早いわ」


 アキナ様は邪気が吸収されていった鉱石を拾われて、私達に見えやすいように差し出して下さった。

 契約前の鉱石と違い、淡く光っている。


「フィー、このハイヘェンターだけ起こしてくれる?」

「かしこまりました。≪ヒーリング≫」


 ハイヘェンターの≪スリープ≫を解除すると、


ゴゲッ!


と、ハイヘェンターはアキナ様の後ろにまわってきた。


「はい、カイ。これを持って」

「はい」


 カイがアキナ様から契約した鉱石を受け取ると、


ゴゲッ!


と、ハイヘェンターはアキナ様から離れ、今度はカイの後ろへとまわって行った。


「わぁ! 俺に着いて来ます!」

「カイ、飛んでみて」

「はい!」


バサバサバサッ!


 カイが飛ぶと、ハイヘェンターは上空のカイに追い付こうと、羽を広げてバサバサと羽ばたいた。

 でもヘェンターは飛べる魔物ではないので、地面で羽をバタつかせているだけになってしまっている……


「あー、ヘェンターは飛べないんですね」

「えぇ。着いていこうとはするんだけどね。無理なものは無理だから。カイが海の上でも飛んでいたら、ハイヘェンターは必死に着いていって、溺れて死んでしまうのよ。魔物に知性はないからね」

「それは、気をつけてないといけませんね」


 降りてきたカイは楽しそうに辺りを走り回っており、その後ろをハイヘェンターが必死に着いていっている。

 ノーマルのヘェンターと比べると、嘴も鋭く、足も太く丈夫な様子で、卵爆弾を飛ばしてくる事も考えるとかなり恐ろしい魔物ではあるけど、こうして見るとカイを慕って着いて行っているようで可愛く思えてくる。

 でも、ハイヘェンターはただ契約に従っているだけだ。

 魔物に感情なんてないんだから……


「鉱石に着いていっているんですね」

「えぇ。術者は私でも、契約主となっているのはその鉱石だからね。ハイヘェンターは鉱石を持っている人に従って動くのよ」

「凄いですね!」

「今からこれをフィーとカイにもやってもらうからね」

「はいっ!」


 ウィザルド国では、契約魔法は魔物を飼うことを認められた人しか使ってはいけない事になっていた。

 ちゃんと魔物を管理できるかも分からない人が、魔物を飼うというのは、自分もまわりも危険に巻き込む事に繋がるから。

 それほどに、魔物と契約するというのは危ない事なんだと言われていた。


 でも、人類種達は違う。

 魔物屋が普通に魔物を売っているし、誰だって魔物を飼う事が出来る。

 購入者が契約したという訳ではないのに、売られた魔物はちゃんと購入者を主として付き従っていくので、購入時に契約主の変更でもしているのかと思っていたけど、こういう方法があったんだな。


 人類種は奴隷印なんてものも思いつく程に、契約魔法に詳しい種族だ……

 他種族が気づいていないような契約魔法の活用法を知っているんだろう。


「今私はハイヘェンターの邪気を抑えただけなんだけど、契約呪文次第では戦闘に特化するようにとかも出来るからね。魔物使いと呼ばれてる魔術師達は、そうやって狂暴な魔物を操っていたりするわ」

「じゃあ、魔物が本来取らないような行動で襲ってきたりもするんですね」

「そうね。魔物使いと戦う事なんてそうそうないでしょうけど、警戒しておくに越した事はないわ」


 契約次第では、危険な魔物をより狂暴にする事だって出来る。

 だから、自衛として強い魔物を飼っている貴族達もいる。

 奴隷印で従わせている他種族達の中には、反発して主人の言う事を聞かない人も少なくないし、契約すれば確実に言うことを聞く魔物の方が利用しやすいと考える人は多いから。

 まぁ、魔物は言葉が通じないし、主人の思惑通りに動いてくれる訳ではないので、魔物ごとの特性をちゃんと理解していないといけないけど……

 

「フィー? 今からやってもらうけど、大丈夫そう?」

「はい。大丈夫です」

「じゃあ挑戦してみてね。契約呪文は自分で好きなように構築すればいいし、契約媒体も何でもいいから」

「はい!」


 まだ寝ているハイヘェンターへと近づき、カイから受け取った鉱石を1つ近くに置いた。

 魔法陣を形成して、契約呪文を唱えていく……


 ウィザルド国での授業以来だとはいえ、今までもアキナ様が契約呪文を唱えるのは何度も見てきた。

 手本も示してもらったし、構築するのはそんなに難しい事じゃない。


「おぉー、アキナ様の時と同じですね!」

「そうね。カイも自分なりの契約呪文を考えておいてね。あと今回の媒体は適当なものでいいんだけど、本来は誰にも分からないようなものを使用しないとダメだからね」

「分かりました!」


 私の契約呪文でも、ちゃんとハイヘェンターの邪気は鉱石の中に吸収されていっている。

 上手くいっている事は良かったと思えるけど、思った以上に魔力を消費しているな……


「で、出来ました……」

「お疲れ様。魔力を結構使ってしまったみたいね」

「はい……やっぱり私は、まだまだ未熟ですね」

「そんな事はないわよ? 契約魔法にはちょっとしたコツがあるだけよ。慣れれば大丈夫だから」

「そうなんですね……」

「じゃあ、次はカイが挑戦してみましょうか!」

「えっ……フィールさんがそんなに疲れてしまうような事、俺に出来ますか?」

「大丈夫、大丈夫!」


 ちょっとしたコツか……

 アキナ様の様子からすると、そう難しい事ではなさそうだけど、どんなコツなんだろう?


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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