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奴隷の国  作者: 猫人鳥
4章

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フィール視点です。

 倉庫から出たところで、


「あ、フェルル君いたーっ!」


と、キースが走ってきた。


「なんだお前……」

「僕はキースだよ。はい、フェルル君の服」

「はぁ?」

「僕の服で申し訳ないけど、サイズは大丈夫だろうから」

「……なんで?」

「え? だって服着替えるでしょ? あ、先にお風呂に入ってからの方がいいよね!」

「ふ、風呂……? そういえばミララ……」

「お風呂へご案内ー!」

「あ、おい……」


 キースはフェルルの手を引いて歩き出した。

 まだ敵という判断もされていない上に、のほほんとしているキースだからこそ、フェルルはどうしたらいいのか分からないみたいだ。

 気が立っているようだけど、全く緊張感のないキースに剣を向けてしまうほどまわりが見えていない訳ではないんだろう。


 フェルルの事はキースに任せて大丈夫そうなので、一旦アキナ様の元へと戻ろうとしていると、カイが歩いてきた。


「フィールさん。フェルルさんは?」

「キースと一緒にお風呂に行ったわ。カイはどうしたの?」

「アキナ様に俺も一緒に魔物狩りに行きたいですって言ったら、小さい鉱石を沢山持ってくるようにと言われまして……」

「小さい鉱石?」

「はい。魔物狩りはファウス国付近のダンジョンへ行く予定みたいで、そこに持って行くそうです」


 この島にあるダンジョンではなく、ファウス国付近のダンジョンか……

 色んな魔物が出現するあそこなら、フェルルの技量を見るのにはピッタリの場所だと思う。

 でも、小さい鉱石なんて何に使われるんだろうか?


「フィールさん……アキナ様は、フェルルさんに何をやってもらう予定なんでしょうか? それは、俺では代われない事なんですかね?」

「今は見守るしかないわ。私達にはフェルルとミララの事情が分からないんだから……」

「そうですね……」

「でもカイ。一緒に魔物狩りに行くのなら、ちゃんとフェルルにも気をつけていてね。さっき私にも斬りかかってきたし……」

「そこまで……もう完全に俺達はフェルルさんの敵なんですね」


 カイは、初めこそフェルルと喧嘩してしまっていたけど、さっきはかなり落ち着いて話そうとしていた。

 それなのにフェルルは一切聞いてくれなくて……

 アキナ様と私とカイが一緒に行くというのは、フェルルにとってはかなり辛い状況だろうな……


「誰か、フェルルにまだ敵だと判断されていない人を1人連れていきましょう。今のメンバーだとフェルルの敵しかいないわ」

「誰にお願いしますか?」


 リーナの明るさは皆を安心させてくれるものだし、勘がいい上に状況判断が早いので、一番の適任はリーナだと思う。

 でも、だからこそリーナにはミララについていてもらいたい。

 ドヴィルも頼りになるけど、今は畑作りに忙しいだろう……

 落ち着いて状況を判断出来て、明るくフェルルを安心させてあげられて、まだフェルルに敵だと思われていない人……


「ジェニに頼みましょうか」

「え、でもジェニさんは加工専門で、オアートルも狩った事がないって……」

「そうなの?」

「地霊種の女性の方は、オアートル狩りに行かないそうですから」


 それは困ったな……

 となるとマディアも無理という事になってしまう。

 流石に魔物狩り経験がないというのは危なすぎるから……


「どうしましょうか。溟海種達は地上のダンジョンは不馴れでしょうし……」

「ユートはさっきので多分、敵だと思われてますよね……」

「そうね……とりあえずアキナ様に相談してみるわ。カイは鉱石の用意をお願いね」

「はい、分かりました」


 本邸から出て外へと戻ってくると、ミララがモーネとユートに謝罪をしているところだった。

 モーネは気にしてないと言っているけど、ミララは深く頭を下げて、震えながら何度も謝っている……

 この様子なら、おそらくさっきまでずっとアキナ様に謝罪していたんだろう……


「フェ、フェルルは多分……謝らないと、思いますから……」

「でも、だからってミララがそんなに謝る必要はないんだよ? それに、怪我もなにもしてないから、ね?」

「そうだぞ、ミララ。お前は気にしなくていいんだ。フェルルがもう少し落ち着いたら、俺からまた話してみるから」

「でも……」

「気にしないで、本当に大丈夫だから」

「ありが、とうございます……」


 ミララには、この島の皆が優しいという事がちゃんと伝わっていっていると思う。


「あなた達、アキナ様がどこへ行かれたのか知らない?」

「あ、フィールさん。アキナ様なら、その……」

「あの、私のせいで、気分を害されて……しまったようで……」

「大丈夫だって。アキナ様は気にしてないから」

「何があったの?」

「ミララがずっと謝ってたので、"もういいわ"と仰って、本邸の方へ行かれました。多分、そんなに謝らなくていいよっていう事ですよね!」

「自分がいたらミララが気にしちゃうと思って、気遣って下さったんだと思います。ただ……」

「ただ?」

「雰囲気とか口調とか、ちょっと冷たい感じでした」


 またか……

 どうしてそんなにも、フェルルとミララに冷たく接されているのだろう?


 アキナ様は、悪夢に魘されるほどに辛い事があったというのに、私達を怖がらせないようにといつも無理をしてまで笑って下さっていた方なのに……

 もう無理をして笑わないでほしいとお願いしたのは私だけど、もう少しフェルルとミララにも笑顔を見せて下さればいいのにな……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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