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奴隷の国  作者: 猫人鳥
4章

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498/1456

498 騒動

フィール視点です。

 ドタドタと騒がしい足音が聞こえて、本邸から外へとフェルルが出てきた。

 ずっとフェルルについてくれていたモーネも、フェルルを追うように出てきている。


「な、なんでこんなに人がたくさん……ミララー! ミララ、どこだー!」

「待ってフェルル! そんなにいきなり動いたら体に悪いよ……」

「うるさいっ! 離せっ!」

「わぁっ!」


 フェルルを制止しようと肩に触れたモーネは、フェルルが強く振り払った事でバランスを崩し、その場に倒れてしまった……


「モーネっ! 大丈夫か?」

「う、うん……」


 すぐにユートが駆け寄り、起こしてあげている。

 モーネに怪我はないみたいだ。


「おい、お前! モーネに謝れ! モーネはずっとお前の世話をしてたんだぞ!」


 ユートはモーネを自分の後ろに庇うようにフェルルに対峙して、謝るようにと言った。

 かなり怒っているようだけど、フェルルの事を考えてあげられない程にまわりが見えなくなっている訳ではなさそうだ。

 でも、フェルルは全くまわりが見えていない……


「そ、そんな事俺に関係ないっ! ミララをどこへ連れていったんだ!」

「ミララなら、あそこに……」

「ミララ、ミララー!」

「だからっ! ミララならあそこにいるって言ってるだろっ!」

「ミララっ!」

「あ、待て! まだモーネに謝ってない!」


 フェルルはユートが指を指した先のミララを発見すると、一直線に私達の方へと走ってきた。

 そんなに距離があった訳ではないけど、私達とフェルルのいた場所との間には、オラジールジュースを飲む皆がいたというのに、お構い無しだ。

 皆がフェルルを避けてくれたので、誰にもあたったりはしなかったけど、本当にミララ以外は見えていないみたいだ。


「ミララ! 無事か?」

「あ、うん……」


 ミララもいきなりの事に動揺してしまっているようで、フェルルにどう声をかければいいのかが分からなくなっているみたいだ。

 そこへ、


「フェルルも飲む?」


と、アキナ様がフェルルに尋ねられた……


「は?」

「オラジールジュースよ。フェルルも飲む?」

「まさかミララっ! 飲まされたのかっ!?」

「え?」

「そんなの飲まなくていいっ! 何が混ざってるかなんて分からないんだっ!」

「何も混ざってなんていないわ。搾りたてかどうかは分からないけど、ちゃんとオラジール100%のストレートジュースよ」

「うるさいっ!」

「あ……」


 全く話を聞こうとしないフェルルは、ミララが持っていたオラジールジュースの入ったコップをはじき飛ばした。

 そしてそのコップはアキナ様の方へと飛んでいき、オラジールジュースがアキナ様の服にかかってしまった……


「あらあら、私の服はジュースを飲んだりしないわよ?」

「も、申し訳ございませんっ!」

「なっ! ミララ、謝ることなんかない! 全部こいつが悪いんだ!」


 ミララがすぐにアキナ様に謝罪をしたけど、フェルルは謝らなければいけないとは思っていないみたいだ。

 アキナ様が人類種だから……


「アキナ様、失礼しますね。≪ウインド≫、≪クリーン≫」

「ありがとう、フィー」


 アキナ様の服と共に、ミララのためにと皆が用意したクッションや膝掛けにかかってしまったオラジールジュースも消しておく。

 これで、何事もなかったかのようになった。

 もちろんそれは、アキナ様が今の事を気にされていないからだ。


 これでアキナ様が優しい方だとフェルルにも伝わればいいと思ったのに、


「お前……やっぱりそいつの仲間だったんだな!」


と、フェルルは私を睨んできた。

 私がアキナ様の服を綺麗にした事や、アキナ様が私に笑いかけて下さる様子を見て、私の事も敵だと判断したんだろう……

 もし今のが本当に人類種の貴族の服を汚していたとしたら、どんな罰を与えられていたのかなんて想像もしたくない事だというのに……

 今のでアキナ様を優しいと思わないだなんて……


 敵だと思われてしまった以上は、私が何を言ったとしてもフェルルは聞かないだろう。

 思い込みが激しく、よく勘違いをされるアキナ様にいつも困っているというのにな……


「アキナ様!」

「あっ! お前はさっきの……」

「フェルルさん、落ち着いて下さい。アキナ様は……」

「うるさいっ!」


 カイも来てくれたけど、さっきの事もあってカイはフェルルの中では既に敵だと判断されていたみたいだ。

 これではフェルルの敵ばかりが増えていってしまう……


「フェルル、私は大丈夫だから……」

「ミララ……」

「怪我も、してないし……ご飯とか、ジュースももらった……」

「変なものとか、食べさせられたんじゃないか? 大丈夫か?」

「うん……」


 ミララがフェルルを宥めてくれて、やっと少し落ち着いてきたみたいだ。

 これでとりあえずは一安心かと胸を撫で下ろしていると、アキナ様がとても冷ややかな目でフェルルとミララを見ておられるのに気づいてしまった……

 さっきまではあの冷たい雰囲気もなしにフェルルと話しておられたのに……


 アキナ様には、フェルルとミララがどんな風に見えているのだろうか……?


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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