断片資料|メモ
(角の丸くなった紙のメモ帳、ページの端が破れかけている。几帳面な鉛筆書きだが、字は震えている)
美穂ちゃんと健太くんが、いない。
今日、学校に来なかった。
清音に聞いたら「知らない」って。
あゆみも「さあ」って首をかしげるだけ。
でも、あゆみの目、笑ってなかった。
村のおばあさんに聞いたら、
「そんな子ら、最初っからおらんかったんじゃないん?」
って笑われた。
――違う。いた。
健太くんは本ばっかり読んでた。
美穂ちゃんはお弁当を作ってくれた。
二人とも、ちゃんといた。
先生(吉川先生)のところに行こうとしたけど、診療所の戸に鍵がかかってた。
初めて見た、鍵のかかった診療所。
誰も、いなかったことにしようとしてる。
だから、書く。
忘れないように。
これだけは、忘れない。
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