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勇者とは呼ばれずとも 封じられし精霊と少年の物語  作者: カイメイラ
第3章 王国騒乱編

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第65話 魔王軍再編成

 数日前。


 魔王領――。


 国葬を終えた魔王軍は、すべての軍勢を本拠へと帰還させていた。


 そして。


 全軍に通達が下る。


 ――軍再編成。


 魔王軍に所属するすべての者は、軍事演習場へ集結せよ。


 広大な演習場。


 黒く染まった大地の上に、無数の魔族が整列していた。


 その数、万を超える。


 沈黙。


 だがその内側では、ざわめきが広がっていた。


 「再編成だと……?」

 「いったい何が始まる……」


 緊張と期待。


 そのすべてを切り裂くように――


 ひとつの気配が現れる。


 ノリス。


 ゆっくりと、壇上へと歩み出た。


 その瞬間。


 場が凍りつく。


 ざわめきは、完全に消えた。


「――静粛に」


 低く、冷たい声。


 それだけで、全軍が沈黙する。


「これより、全軍の人事を通達する」


「呼ばれた者は、前へ出よ」


 空気が張り詰める。


「元帥――ディアス」


「はっ」


 前へ出る影。


 銀の長髪。


 赤黒く脈打つ闇の精霊紋。


 ディアス。


 一瞬の静寂。


 そして――


 爆発。


 「おおおおおおお!!」

 「ディアス様だ!!」

 「ついに……!」


 歓声が、地を揺らす。


 ディアスコールが鳴り響く。


「静粛に」


 ノリスの一言で、再び沈黙が訪れた。


「陸軍大将――バルグ」


「応とも」


 巨躯の戦士が前へ出る。


「空軍大将――リレーナ」


「了解」


 冷たい視線の魔術師。


「海軍大将――ガルド」


「がっはっは……まぁ、そうよな」


 その姿が現れた瞬間、ざわめきが走る。


 全長二メートルを超える体躯。


 全身を覆う鱗。


 太古の魔物――リザードマン。


「諜報部長官――ゼイン(引き続き)」


「……はーい」


 仮面の男が、くすりと笑う。


「魔道研究所所長――ザハロス(引き続き)」


「ククク……今更でございますな……」


 細身の男が静かに一礼する。


「独立遊撃軍団長――ヴァネッサ(引き続き)」


「ふふ……遊び甲斐がありそうね」


 妖艶な気配が、場の空気を歪ませる。


「参謀長は、――引き続き、私が務める」


 ノリス。


 その言葉で、布陣は完成した。


「……以上だ」


「配下の人事については、各長に一任する。報告のみ行え」


 一拍。


「では、元帥より就任の挨拶を」


 視線が、ディアスへと集まる。


 ディアスは一歩前へ出た。


「今日、集まってくれたことに感謝する」


 静かな声。


 だが、その奥に潜む力は圧倒的だった。


「元帥に就任したディアスだ」


 一瞬の沈黙。


「私は、敵地フェルメリア王国にて――光の導き手と対峙した」


 ざわめき。


「確かに、覚醒から日が浅い」


「だが――恐れるに値しない」


 その瞬間。


 闇の精霊紋が、強く輝いた。


 瘴気が、溢れ出す。


 空間が歪む。


「こうして無事に帰還している。それが証拠だ」


 沈黙。


 次の瞬間――


 爆発。


 「うおおおおおおおお!!」


 魔族たちの咆哮。


 闇の波動が渦巻く。


 その中心から――


 現れた。


 魔王。


 空気が、凍りつく。


 誰もが、言葉を失う。


「……期待しているぞ、元帥」


「はっ――陛下」


 ディアスが膝をつく。


 その姿を、魔王は静かに見下ろした。


 そして。


 口を開く。


「前より減ってしまったか」


 静かな声音。


「だが――三十年に及ぶ戦で、よく生き残った」


「貴様らは、我が誇りである」


 沈黙。


 誰も、動けない。


 中には――涙を流す者もいた。


「多くの者は、傷つきながら戦い続けてきたであろう」


 一歩、踏み出す。


「これは――我からの補填である」


 闇が、揺らぐ。


「――ダークネス・グレース」


 闇の霧が、全軍を包み込んだ。


 ざわめき。


 そして――


 奇跡。


 傷が、消えていく。


 裂けた肉が閉じる。


 欠損した四肢に、紫の光が宿る。


 新たな腕が、生えた。


 新たな脚が、形を成す。


 一瞬の静寂。


 次の瞬間――


 爆発。


 「魔王陛下万歳!!」

 「万歳!!」

 「万歳!!」


 歓声が、天を突く。


 魔王は、ただ静かにそれを見ていた。


「……当然のことをしたまでだ。また貴様らには十分に働いてもらおう」


 ふっと、小さく笑う。


 やがて、魔王は再び闇をまとい、静かにその場から姿を消した。


「……解散」


 ノリスの声が響く。


 一言。


 それだけで、場は再び静まる。


 次の瞬間、魔王軍は意気揚々とそれぞれの持ち場へと散っていった。


「これより閣僚にて軍議を行う」


 選ばれし者たちだけが、残る。


 そして――


 新たな戦略が、展開されるのであった。

お読みいただきありがとうございます。

魔王軍、再び動き出しました。

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