↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/72

第四十五話 セクス、キルクルス Hパート

今回は少し時間をさかのぼり、エミリーが活躍するターンです。

 ◇◆◇ エミリー視点です ◇◆◇


「あれ? アニキたち、山の方に入っていっちゃったっスね」

「うーん……さすがに拙者でも、姿が見えないのでは、援護できませんなぁ」

「アニキたちを、サポートする部隊の人たちは、ギリギリ見えるっスけど」

「カミラの魔法が強力っていうのは、わかったけど……どこから、魔物が襲ってくるか分からないのに、二人だけというのは、さすがに問題あるわね」

 アデールさんは、オーリガさんが勝手な行動をした事に、怒っているみたいっスね。

「うーん……この川、結構深そうっスよね? 流れも早そうだし」

「この下流にあった橋は、大雨で壊れたぐらい、流れが速いのですから、泳がない方がいいと思いまする」

「アドニール大橋が落ちたのは、イベントも関係してたんじゃないかしらね」

「わわっ! なんか、山の方で光ったっスよ? 雷じゃあないっスよねぇ?」

「注意した方が良さそうですなぁ。拙者は弓隊のところに行っておきまする」

 イレーネさんは、何か気配でも感じたんスかね……。ボクには、ちっとも分からないんスけど。

(うーん……ボクも、もっとアニキのお役に立ちたいんスけど……。無理をして、心配させたくないっスから)

 アニキがカミラさんの魔法に感心しているのを見て、正直、胸が痛んだっスけど……そういうの、アニキは嫌がると思うんスよね。

(ずっと、アニキのそばにいたい気持ちはあるんスけど……まだ、そっちの覚悟はできてないんスよね)

 むしろ、ボクが妹だったら……無条件で、かわいがってくれるのかな? とか、思っちゃうぐらいだし。

(そういえば、お風呂場で……見られちゃったんスよねぇ)

 ボクはそんな、とりとめのない事を考えていて、川の警戒を、怠(おこた)ってしまってたんス――。




「なっ! 何よあれ! 川を眷属が泳いで来てるじゃない!」

「えぇっ? こんな昼間に、眷属が侵攻する事ってあるんスか?」

 アデールさんの叫びに、顔を上げると、急流をゆっくりとさかのぼって進んで来る、海の眷属(深きものども)の姿が十体ほど確認できたっス。

「弓隊、放てぇっ!」

 イレーネさんは率先して矢を放ち、戦闘の眷属の胸を貫いたんスけど……まだ生きてるっスよ。

「ここから前に出ると、弓の邪魔になるっスよね? ここで、控えておく事しかできないんスか?」

 ボクは不安になったので、アデールさんに質問してみた。

「そうねぇ。支援隊に攻撃魔法の使い手は、ほとんどいないし、ここにいてくれたら、安心できるんだけど」

 アデールさんは、こんなボクを信頼してくれてるって言うのに。

「いちおう攻撃魔法も使えるようにはなったんスけど、強力なのはまだ使えないんスよ。炎の魔法なら、そこそこなんスけど」

「うーん……。例の魔法拳法で守ってくれる方が、安心かもね」

「わかったっス……」

 攻撃魔法をかけてたりしたら、アデールさんたちが危険な時に、即座に対応できないっスからね。これからは、必死で索敵をするっスよ!



「二回射撃したら、小隊ごとに後退しなさい! 砦の方に引き込みます!」

 イレーネさんはすっかり、前線司令官として、弓隊を率いてるっスよね。

「ミグゥルッ――」

 ついに、川岸の坂を上って来た海の眷属が、体に数本の矢を受けて倒れたっスけど、手足に吸盤がついてたっスよぉ……。

「槍を持ってる個体もいたっスから、川から離れた方がいいっス」

 ボクはあわててアデールさんに報告した。

「わたしたちも、ゆっくり砦に後退するけど、焦らないようにね」

 このままでは、魔物と有効的に戦える場所がないっスからねぇ。海の眷属を水場で相手するのは、怖いんスから――。

「ああっ! アニキの後詰めの人たちの方にも向かってるっスよ。けど、川のそばには行けないし……」

 カミラさんが使っていたような、視界内の場所に瞬間移動できる魔法が使えたら、援護にいけるんスけど……。

「ごめん。エミリー……。ここで食い止めてちょうだい……。このまま入って来られたら、被害者が大勢出そうなの」

 途中まではアデールさんと一緒に後退してたっスけど、道が狭くなっているところで、そうお願いされたっス。

「陸の上なら海の眷属の一匹や二匹……どうって事ないっスから!」

 ボクは両手の、アニキが作ってくれた強化武装をなでながら、アデールさんに見栄を張ったっス。



「へへっ……来たっスね。みんなが体勢を立て直す時間、稼がせてもらうっスよ! ふんっ!」

 ボクは手始めに、腕と足に気を流し、動きを速く正確な物にする、塔院の秘術を練り上げていったっス。

「キケェッッ――」

 奇妙な鳴き声とともに、海の眷属が槍を手に突っ込んで来たっスけど、そんな見え見えの攻撃を食らうワケがないっス!

「せぇいっ! はぁっ!」

「グキィィッ――」

 ボクは、槍先を上半身を反らしてかわし、右手でつかんだあと、体を浮かせて両足で蹴撃をくらわしてやったっス。

「グギギィッ――」

 人間なら、あばら骨を折って死んでもおかしくない攻撃なんスけど、まだ足りないって事っスよね……。

「てぇぃっ! せやぁっ!」

 槍を後ろに投げ捨てたので、素手で向かって来た海の眷属に、ボクは強化武装に気をめぐらせて、正拳突きをしたっス。

「グゲェッ――」

 胸の重要な臓器を、浸透した気が破壊したようで、海の眷属は、奇声を上げてひっくり返って絶命したっス。人間に似てる魔物は、やっぱ気味も、後味も悪いっスね。

(アニキもカミラさんも、頑張ってるんスね。ボクも頑張るっス)

 山の方では、再び稲光のような物が走っており、とどろくごう音に、カミラさんの魔法の出力の高さを思い知るっス。

「イレーネさんが、展開したっスね」

 イレーネさんと、四人ほどの弓隊の人が、あまり広いとはいえない高台の上に陣取って、援護射撃をしてくれているっス。

「ここは通さないつもりっスけど、アニキへの援護のためには、砦の方にいった方がいいっスよ!」

 ボクは、少しためらった後、イレーネさんに大声で伝えた。




「はぁ……はぁ……もう、五体は倒したっスかねぇ――」

 何とか深手を負う事もなく、槍先のかすり傷程度で済んでいるっスけど、飛び道具が出て来たら怖いっスねぇ。



「なっ……アレは、もしかして……海の眷属のボスだったり……。するんスかねぇっ!」

 さらに五分ほど、槍を投げて来る眷属をゲリラ戦法で倒していると、海の眷属を三倍ぐらい大きくしたようなのが出て来たっスよ。もしかしたら、海神(ダゴン)だったりするんスかねぇ――。


「支援隊も、弓隊も……。砦まで下がってるみたいっスけど」

 ここで、食い止められなかったら、弓隊や支援隊が全滅するのは、火を見るより明らかっスよね。

「グゥルギィ……おろかな……人間めが……」

 なんと、海神(ダゴン)は人間の言葉をしゃべり、巨大な黒光りのする三ツ股の槍を構えたっス。

「うわぁっ!」

 ボクは直感で、バク転したんスけど、突き刺さった槍で飛び散った石の破片は、並の攻撃魔法を上回ってたっス。


「ボクがやるしか、ないんスから――」

 ボクは、海神(ダゴン)の放った槍の前に立ち、ついに覚悟を決めたっス。


「炎の元素を顕現させた、我が拳技に燃やしつくせぬものはなし、ゆえに、我が奥義のあとに、立つものはなし――」

 ボクは、カミラさんと相談して考えた、呪文を唱えて、火の上位元素……炎の魔力を全身に巡らせたんすけど、強化武装から余った炎が、チラついているっス。

「せぇぇいっ!」

 ボクは気迫とともに、海神(ダゴン)に襲いかかったっス!



○技の武技言語ですね、わかりますw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。