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第四十二話 セクス、キルクルス Eパート

今回も戦闘はありません。ほぼラブ米です。

これにて、本日は終わりにしとうござりまする(謎


「公爵家の長女で、伯爵様がやるこっちゃないだろ」

 すでにカレンは浴槽に胸元までつかっており、今さら追い出すわけにもいかない。

「こうでもしないと、わたくしの話す機会がないんだもの。一日の半分づつ、主導権を握る事になっているんですのよ?」

 カレンは浴槽の中で、気持ちよさそうに、両腕を伸ばしていた。うん。思っていたよりは、あるようだな……。

「いま、胸を見てたでしょう」

「見せていたんじゃなかったのか?」

 今日の朝、それとなくカミラの胸を見ていたのが、カレンには、バレていたようだ。


「まぁねぇ……親が親だけに、言い寄って来る男性といえば、財産に目をギラつかせてるのぐらいしかいないし、わたくしがいいなと思うような男性は、家格に尻込みをしてしまいますのよ――」

「ふむ……。そういうものか」

「カミラの名誉のために言っておくけど、殿方の前で裸体をさらしたのは、じいを除けばあなただけですのよ?」

「別に疑っちゃいないさ」

「それに、わたくしとカミラの両方の好みに合致しないといけないから、条件はかなり厳しかったんですのよ?」

「厳しかった? いまは緩和されているのか?」

「察しが悪いのか、人が悪いのか……こういう事ですよ、カミラ!」

「ひゃぁっ……そっ……その……。あまり見ないでほしい――」

 カミラに移り変わったとたん、顔を真っ赤にして、恥じ入ってしまう。正直、かなり来るものがあった。

「カレンのばか――」

 カミラは恥ずかしそうに、口のあたりまで湯につかり、ぼそりとつぶやいていた。



「でないの?」

 長い時間、湯につかっている。

「まだつかっていたいからな」

 先にオレが外に出てあげたいのはやまやまだが、それを許さない事情があった。

「こんな……わたしたちでもいいの?」

「ああ。君たちが望むのなら、二世の契りを……って、おい!」

 二世の契りという言葉を聞くと同時に、カミラは気を失ったのか、お湯の中に頭をつけてしまっていた。

「くっ! このタオルを使って……」

 オレは湯船から、裸体のカミラを救い出し、タオルでくるんで、いわゆる、お姫様だっこをして、脱衣所に運ぼうとしていた。


「何やってんのよ……。セラエノ公の一人娘なんでしょう? 下手な事したらギロチンよ? ギロチン!」

「その……。やる気が満々なのですね……ご主君。拙者は一人増えたところで、ご主君への忠誠は変わりませぬが」

 アデールとイレーネがそのタイミングで湯殿に入って来てしまい、オレは壮絶な勘違いされてしまっていた。




「よし。これで登録はできたようだな……」

 夕食の前に六人が集まり、自己紹介の後に盟友登録とパーティーの結成を完了させた。

 ちなみに夕食は、以前ここの領主に雇われていたメイドさんを、通いで雇っているので、作ってもらっているそうだ。



「今日は夕食のあとは寝て、前線基地に異常があれば、出動するが、そうでなければ朝まで休むという段取りでいいよな」

「クラウス殿……。明日には攻勢をかけて、ラミール大橋の東のボスを倒したいと、わちきは思っており申すが……」

「ふむ。早くラミールとの陸路を回復し、眷属の浸透を食い止めるためにも必要だとは思う」

「けど、いきなりボスを倒すのを目標にするのは、無理があるわよねぇ……」

 アデールが、この近辺に駐留している、冒険者のリストを見ながら、意見を出してくれた。

「そうでござるな……。侵攻する場合は、弓部隊はあまり、役に立ち申さぬので」

 弓部隊を率いる立場として、イレーネも発言してくれた。

「少なくとも、橋の上の眷属を倒して、ラミールと連絡が取れるようにはした方がいいっスよね? アニキ」

 意外とエミリーにも、戦術眼はあるようだ。

「それができるのであれば、そのあと弓部隊はラミール領の川沿いに配置すれば、援護もできるとわちきは思のじゃが、危険は増すのでな……」

「全員の能力を確認した――。聖属性の攻撃ができるのは、クラウス・オーリガ・カミラの三人だけ。エミリーとアデールを、弓部隊の護衛にするのが最適――」

 カミラにしては珍しく、長い言葉をしゃべってくれた。説明もせずにカレンに切り替わって説明をするのでは、不審がられてしまうだろうしな。

「ふむ……。後詰めとして、何にでも対応できる編成のパーティーを組むのなら、それもいいかもな」

 後詰めの戦士には聖剣持ちを入れておけば、レッサーぐらいなら、問題なく倒せるだろう。

 その後、ラミール大橋にも橋頭堡きょうとうほを作る事を決めて、夕食となった。



「今日は夜襲がないようだな……。向こうも無限にわいて出て来るわけでも、ないのかもな」

 午前三時を回り、トイレに行ってから、自室へと向かっていた。もし夜襲があれば、火矢が上がる事になっているから安心だ」

「クラウス殿……まだ起きていたので? それとも、お勤めの帰りですかな?」

「トイレに行っていただけだ。そんな事まで聞いていたのか?」

 オーリガが、風呂上がりの体に、湯かたびらだけを着崩した姿で、廊下でオレに話しかけて来た。

「わちきも……。部族連合の中でも結構大きい、女系の部族の若長なもんで、優秀な血筋を取り入れるのは、役目と言ってもいいほどゆえな」

「不思議と、そういう風に言われてしまうと、気分がのらないものらしいな」

「ほほう……。しっかとわちきの胸を見ながら、そんな事を言うとは、つれないお方よの――」

「さきほども、お勤めとか言っていたが、そのようなつもりでいるうちは、相手しようとは思わんよ」

「これはしたり。クラウス殿の事を、まだ知りもせずに、先走りすぎましたか?」

「別に悪印象を抱いたって程でもないがな……。アデールも聖騎士の血がどうとか言っていたが、あれは方便だ。だからこそ、口が悪くてキツくても、いとしいと思えるのだがな」

「フラれた上に、愛人の自慢までされるとはの……。これは相当に勝ち目がうすいようじゃの――」

「まぁ、そういう事だな」

「じゃが、わちきより強く、人望もある男でなければ、純潔をささげるつもりは、あり申さん。その事だけは心に留め置いておいて、欲しいのじゃ」

 そう言い残して、オーリガは自室へと帰っていった。

「寒っ……。温泉に入り直すには、ちと遅い時間だな」

 オレはおとなしく自室に戻った。そういえば、今日……アデールもイレーネも、誘いに来ないのは、カミラとの事を誤解されたからかねぇ……。




「アニキ! 大変っスよ!」

「ん? どうした……。エミリーか?」

 深い眠りに包まれていたのだが、誰かに体を揺さぶられて、目を覚ました。

「大変な事……敵襲か?」

「それより、もっと大変なんっスよ!」

 闇の眷属の来襲より大変な事とは、何だろうか……。



「オーリガさんが、一人でボスを倒してくるって、書き置きを残して、いなくなってるんスよ!」

「なぁっ? いったい、何を考えているんだ――」

 これまでは聖剣がないから、倒せなかったとでも、考えているのだろうか。それとも、昨夜の事が何か影響しているのかも。

「まだ、そんなにたっていないのなら、追いかけて援護するしか、ないだろう」

「ボク、みんなを呼び集めて来るっス!」



「やはりな……」

 オレはいやな予感がしたので、宝物殿に駆けつけてみたのだが、予備の聖剣扱いの大剣がひとつと、長剣一本が宝物殿から消えうせていた。

「盟友登録をしたから、持ち出せるようになった――」

「オレの油断が招いたのかもな……」

 カミラも同じ事を考えたのか、宝物殿に駆けつけて状況を把握していた。



エミリーとオーリガを抜かして、カミラ・カレンのフラグが立った事で、

焦りを生じたという事でしょうか(笑)

エミリーは当分、妹の立ち位置でいさせるつもりです。

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