第四十一話 セクス、キルクルス Dパート
今回は戦闘もなければ交渉もなく、
ほぼカミラのターンですね。
「なに? カレンだって? もしや、カミラの妹さんか?」
そういえば、セラエノ公はカミラの事を長女と言っていたが、次女もいたという事か?
「うふふ。そうとも言えますし、そうでないとも言えますね――」
カミラと顔や姿はまったく同じであるのだが、印象が違いすぎる。
「双子……いや、もしかすると、最初にオレたちが出会った時の?」
「まさか……そんなに簡単に、正解を言われるだなんて」
オレはある推論……二重人格か何かだと思ったのだが、正解だったのか?
「察しがいい方なんですのね……意外と――」
口調はおだやかなのに、意外と腹黒いというか、何というか。
「どうしてわかりましたの? 参考までに教えてくださる?」
カレンは、動きにしなを作って、問いかけて来た。
「それは……元素魔術師には不可能だとされる、精霊魔術を使いこなせると聞いたからかな」
相反するというほどでもないのだろうが、普通できない事をできるのなら、普通ではない状態なのだろう。
「お見事……。鋭い一面もお持ちなのですね――」
「父親は……。セラエノ公は知っているのか?」
少し疑問に思ったので、問いかけてみた。
「もちろん知っていますわ。わたくしが妹という事になっていますのよ……」
「あのセラエノ公が認めているのなら……。いわゆる、二重人格ではないんだな?」
「素晴らしいですわね……その洞察力――」
カミラよりは冗舌ではあるが、本質的には同じような性格なのかもしれないな。
「精霊……チェンジリングというやつか? 精霊の魂が入り込んでしまって同居しているとか――」
「……意外と物知りなんですのね――」
口調はこれまでと同じだが、多少は動揺しているようだ。
「それなら、すべての事につじつまが合うからな……。もう片方が主人格になっている時の記憶とかはあるのか?」
「二重人格じゃないんですから、ありますよ……。こうしているいまも、カミラはわたくしたちの話を聞いてもいますし、いろいろ考えていますわ?」
「ほう……。カミラはいま、どんな事を考えているのかな?」
なかなか感情という物を見せないカミラに、興味を抱いてしまうのも無理がないだろう。
「さぁ……。それはカミラにお聞きになったら?」
「聞いて教えてくれるような、カミラじゃなかろう?」
「そうですわね……カミラが口にするのは、思っている事の一割足らず……あ、そんなに怒らないで、カミラ――」
「ふむ……なんだか、かわいらしいな、ふたりとも――」
ようやく精神的な主導権が回って来たのを感じて、笑みを浮かべてしまう。
「まぁ……本心で言っておられるなら、相当のあほうで、そうでないなら、女殺しですわね――」
「あほうだと認められたくはないが、本心だよ。多少、色はついているがね」
「まぁ。思っていたよりも、柔軟な思考の持ち主なんですね――」
「カレンとカミラ……。ふたりが『そう』であったからと言って、悪印象を抱く事はないよ」
「本当なんですの? 例えていえば、わたくしたちの、おむこさんになれるぐらいに?」
「どちらも魅力的だと思っているよ? 父親が怖いから、手を出すつもりは現状ないけどな――」
「さすが、聖騎士でありながら、二人と愛人盟約を結ぶだけの事はありますわね――」
エミリーから聞いたのかな? オレがエミリーに言った覚えはないが、どちらかから聞いたんだろうな。
「普通より好色であるとは思いたくないが、据え膳なら、遠慮しない方針でな。おかげで、えらい苦労を強いられている」
「そのキモの太さは称賛されてしかるべきですけど、むことしては、不適格では?」
「別に、そんな方法で地位を得ようなんて気持ちは、サラサラないしな。二人への手当を払っても、鷹揚でいられる程度の収入であれば、ぜいたくは言わんよ」
「これまでも、領主になる事はできたのに、回避されているとか。どうやら、その言葉にうそはなさそうですわね――」
「別に責任を負いたくないわけではないが、縛られるのは好きじゃなくてな――」
必要な時だけ頼られて、働く事でで対価をいただくのが、一番後腐れがないしな。
「わたくしもカミラも、効率を追い求める事は好きですが、それがために、聖騎士としてのあなたの血を欲しはしません――。ですが、それ抜きでも興味深い男性ではありそうですわね」
「光栄だよ……と言ってもいいんだよな?」
「ふふ……カミラなんか、相当舞い上がって……。あっ、まだ話したい事が――」
どうやら、カミラに体の支配権を奪われたようだ。
「カレンの言う事は、話半分ぐらいに聞いておくといい――」
カミラはほおを赤くそめて、あわてて部屋を出ていってしまった。
「いやー、あんなに、ふっかふかなベッドで眠ったのは、初めての事っスよー」
「よく眠れたようだな……顔色もいいし」
オレたちは、決戦用の聖剣を積んだ馬車を、ケサナ渓谷に運んでいた。
「なにせ、栄養が体中に行き渡ったっスからね」
「そう……よかった――」
カミラはその……。それほど栄養が行き渡っているような、体形でもないな。
「何を見ているの?」
「ん? エミリーと仲がいいと思ってな」
胸を直視しなくてよかった……。
「一週間のあいだ、カミラ師匠にはお世話になりっぱなしでしたっスから!」
カレンでなくても、エミリーと会話ぐらいならできるのか。
「渓谷についたら、アデールとイレーネに紹介するよ。きっと驚くと思うよ……」
そういえば、オーリガは二人と仲良くしているだろうか……。
「おお、この大剣を拙者に貸与していただけるので?」
運んで来た聖剣は、領主の館の宝物殿に運んでから、オーリガを呼び出して、大剣を渡した。
「所有権はセラエノ公にして、使用権を設定しよう」
オレは、印章器を取り出して、設定を始めた。後ろでカミラが、無言で控えているのは、オレが頼んだからだ。エミリーは老師のところに報告にいっている。
「大事に使ってくれよ……。あと、アデールとイレーネをここに呼んでおいてくれ」
「わかり申した。が、ひとつお願いがあり申す」
オーリガは大剣を背中のさやに納めながら、なにかを申し出て来た……。
「お願いとは?」
「あちきを、盟友登録して欲しいのであるが」
「カミラもしてない――」
「ああ……それは全員そろった時にする予定だ。夕食前に一度、集まるようにするさ」
「わかり申した。では、あとで」
オーリガは先ほどまでさやに収まっていた、自前の大剣を手に、宝物殿を出て行った。
「スペアの聖杖は、ここに保管しておくのでいいか? カミラ」
「かまわない――」
まぁ、闇の聖杖がお気に入りのようだしな。
「こうやって眺めると、壮観よね」
「弓では聖剣は無理なのでありましょうなぁ……」
少ししてアデールとイレーネが宝物殿に姿を現した。
「この小剣だが、お守り代わりに二人に持っておいて欲しい」
オレは聖剣扱いの小剣を二人に一本づつ差し出した。
「いいの? まぁ、わたしのスキルは小剣だし、問題ないけど」
「ご心配なく。小剣なら、たいした誤差もなく使えますゆえ!」
ククリナイフの短刀扱いとは少々違うのだが、類似した武器であれば、ある程度の能力の減少はともなうが、使用が可能なのだ。
「ところで、あんたの部屋に白布に包んだ大きい物があったけど、あれは何なの?」
めざとい……。別に隠しているわけでは、なかったのだが。
「あれはオレ用だよ。片手でも両手でも使える、少し大きい長剣ってところかな」
「そういえばエミリー殿も、腕になにやらつけておりましたな」
「あれは、拳を保護して強化する武装のような物かな。一人一個、聖剣を自分たちが所有する事は、セラエノ公に許可をいただいている。そうだよな? カミラ」
「問題ない――」
「ご主君……そちらの方は、どなたですかな? 気にはなっていたのですが……」
「セラエノ公がつけてくれた、応援の魔術師だと思っていたけど、違うの?」
そういえば、まだ紹介していなかったな……。
「彼女は、セント・アイギスの領主のカミラ・ドゥ・セラエノ伯爵だ。セラエノ公の長女で後継者らしい」
「よろしく――」
カミラは一切の表情を浮かべずに、二人にあいさつをした。
「あのう……なぜ、そのような、やんごとなきお方が同行しているのですか? ご主君」
「そうよねぇ……これまで、話にも出て来なかったのに」
「つい先日まで、賢者の塔にいてな。公爵からの手紙を渡したら、同行してくれる事になったんだよ。魔導師で、聖属性の元素魔術も使えるそうだから、かなりの戦力になるぞ!」
まさか自分が、むこの候補だなどと言うわけにもいかないので、カミラの能力をプッシュしておく事にした。
「イレーネ。まだ、部屋は空いているよな?」
「はぁ……。カミラ殿に使っていただくには、少々格が落ちるのですが……」
「そういえば、オーリガはどこで寝泊まりしてる?」
「オーリガにも部屋を割り当てておいたから。彼女のおかげで、かなり楽に戦えたのよね」
「こんなところまで、闇の眷属が攻め寄せて来たのか?」
「ううん。ラミール大橋の手前がわに、前線基地を用意したから。いまは冒険者ギルドの精鋭が詰めてるけど」
あそこなら通常の地域なので、さしたる危険はないと考えてもいいのだろう。
「やはり、夜間の侵攻が多いのか?」
「そうね……。通常の魔物も出るから、昼に前線基地を空けるわけにもいかないし」
「じゃあ、夕飯を食べたら仮眠を取る事にするか。オレはいまのうちに一汗流してくる」
昨夜も入浴はしたんだが、やはり温泉は別格だろう。
「ふぃー……生き返るな」
オレは、湯殿の窓から見える、西に沈む夕日に彩られた山の斜面を眺めながら、首まで湯船につかっていた。
「ご一緒してもいいかしら? いいわよね?」
脱衣所の方から、物音がすると思った直後に、扉が開かれて、大きいタオルを体に巻いたカレンが湯殿に入って来た。
「おいおい……何を考えているんだ」
「まぁまぁ、いいじゃないの」
カレンはタオルを体から外して、湯船に飛び込んで来た。
単に綾○や長○やタ○○のパクリと思われるのもイヤなので、
一ひねり加えてみました。
まぁ、普遍的に求められているだろうキャラクターとしてですね。
独自性を求めすぎて誰得なキャラを出してもアレなんで。
すでにオーリガはやっちまった感が(汗




