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第三十七話 ターニングポイント Hパート

今回は戦闘がありませんが、

今回もある意味ターニングポイントなお話です。

エピソードの途中ではありますが、

まだまだ悪魔退治は続きそうなので、

第六章はこれで終わりとなります。

「オーリガ殿と言ったか。ここはいったん引こう! 後詰めの隊に合流してくれ」

「んー? 腕の立ちそうなおなごを、三人もそば仕えさせておる、おぬしは何者ぞ?」

「オレか? クラウスという者だが」

「ほっほう……。鋭い視線を感じていたんだが、おぬしじゃったのか。ならば、ぜひ同行させてほしい」

「いいだろう。追撃があるかもしれん……。オレがしんがりをつとめるから、後退してくれ」

 闇の領域の外に出るのはためらっているようなので、オレたちは無事にケサナ渓谷まで帰り着く事ができた。




「おかげで助かり申した。ところで、ここらのご領主か、軍勢の指揮官がいれば、ご紹介願いたい」

「領主なら、すぐ後ろにいる、長弓を持つイレーネと言う者だ。指揮官は暫定的にオレが勤めているが」

「ほっほう。ご領主や指揮官自ら、偵察をなさっておられたとは、剛毅(ごうき)な事で」

「使者と言っていたが、書状は誰あてになっている?」

「口頭でお伝えする前提でしたゆえ、書状は持っており申さぬ」

「さすがは特務少佐という事か……正直言って、あの剣の舞いには、恐れ入ったよ」

「いやー……それほどでもありますがな……コホン。では、ラミールからの伝言をお伝え申す」

「ああ……続けてくれ」

「現在、ラミールは川を越えて侵入して来る、闇の眷属を迎え撃つので手一杯であり、大橋の東の領域が安全にならない限り、手勢を割けないとの事で、共同作戦には参加できぬゆえ、わちきが案内役を果たす事になり申した」

「ふむ……。たしかに、守るべき場所が多すぎるだろうな。案内役という事は、オーリガ殿が、その迷宮とやらを詳しく知っているのかな?」

「左様。わちきの故郷、水焔(みずほむら)の里から、すぐ近くゆえに案内はでき申すが、禁足地ゆえ構造は不明にて候」

 イレーネもたいがい古い言葉使いだと思っていたが、彼女はその上を行くようだ。

「ふむ。ラミール大橋付近のボスは、そちらとの共同作戦で倒す、つもりでいたからな」

「たしかに……。倒せるものなら、わちきが精鋭部隊を率いて、攻め寄せるつもりでおったのだが、そうもいかんのでな」

「というと、そんなに強いボスがいるのか?」

「通常の武器では、すぐに治ってしまうから、一定期間押しとどめるだけで大変なのじゃて」

「通常の武器でダメならば、魔法を付与した武器などでは、どうなるんだ?」

「魔力を付与とかエレメントの力を付与しても、気休めにしかならんのでな。光属性でもダメで、聖属性なら……なのじゃが、高位な神官とかを前線に出すわけにも……。ん? なんじゃ?」

 アデールとイレーネがオレを指さしているのを見て、オーリガはきょとんとした表情を浮かべた。

「言うのを忘れていたが、オレは聖騎士なんだが」

「なんと! 聖騎士殿が、こんな前線におられるとは……。しかし、聖属性の攻撃を放つには、聖剣が必要なんじゃろう……。って、今度はどうしたのじゃ?」

 ふたたび皆がオレを指さすのを見て、オーリガは不審そうな表情を浮かべる。

「その……オレは聖剣製作のスキルを持っているんだが」

「なんと! もはや大陸の北半分では入手が困難だと言われておるのに……。じゃが、聖剣の製法や原材料がなくては……」

 おいおい。全部知っていて、わざとやっているんじゃなかろうな。

「この、アデールの領地から算出する鉱石と、ある物を使えば、聖剣を作る事もできるし、いまもセラエノ公爵が急きょ材料を取りにいく手配をしているところだ」

「なんとまぁ……天の配剤と言うべきか。ラミール大橋の東にいる、ボスを倒せば安全区域が大幅に広がるゆえ、支援もしやすくなりまする。ぜひとも、その聖剣を用意してくりゃれ……できうるならば、大剣もひとつ……」

「そうだな。オレがつかっていた聖剣も、ここのボスを倒すのに、使ってしまったし、ちょっと早いが聖剣作りに戻った方が、いいかもしれないな」

「だとしたら、おまえたちはどうする? 聖剣を作る間、向こうで待つのも芸がないだろうし」

「そうですな……。拙者は引き続き、弓隊を結成して、ここの守りを固めたいのですが」

「そうねぇ。ほかに領主はいないみたいで、わたしもこれで、結構頼りにされてるのよ」

「じゃあ、ボクがアニキについていくっスよ!」

 エミリーが、ためらっている二人をよそに、元気よく手を上げてくれた。

「たしかに、エミリーがいてくれれば、心強いが」

 男女二人での行動というのは、少し気が引けてしまうのも、事実であって……。

「そうねぇ……。クラウスと二人にするのは、危険ではあるけど、コイツもいまとなっては、貴重な人材だし、背後を守る人間が必要よねぇ」

「そうですな。ご主君の警護はこのさい、エミリー殿にお任せするでござる」

「ところで、わちきはどうすれば良いのかや?」

「そうだな。おまえさん用の聖剣を作ってきてやるから、ここの守りを固めてほしい」

「それは、うれしい! 自分で言うのも何ですが、わちきは相当な戦力になりますぞ?」

「期待しているよ。じゃあ、いまから行ってくるか。何か、取ってくる荷物とかはないか? エミリー」

「また、ここに戻るのなら、大丈夫っス!」

 オレも、必要な物は持ち歩いているから問題はなく、聖剣を渡した戦士などに顔を出してから、まずはセラエノを目指した。




「ふむ……。聖剣がないと、倒せないボスかね。なおさら、君の力が必要になるのだが……」

 予定では、ラミールまでの陸路を回復する事になっていたので、経緯の説明を行っていた。

「まだカデストには着いていないでしょうね。アデールも残して来たので、不明ですが」

 アデールがいれば、クリスタルで連絡がつくんだが。

「君が警戒するのも分かるんだがね……」

「たとえば、領主会議を待たずして、カデストの鉱山は国有化――。だなんて事もできる、お立場ですよね?」

 現に、聖剣の販売ルートは公爵に握られてしまっているしな。その必要性は分からないでもないが、何の相談もなくされては、愉快な気持ちではいられない。

「そうか……。聖剣の取り扱いを、勝手に決めた事が最大の不信感を招いたのか」

「たしかに。必要な措置ではあったと思いますが、頭越しにそのような事をされたら、今後もどうなるかと思うのが、普通の感覚なんですよ」

 エミリーは一足早く店に行かせている事もあり、今日は誰の目もないので、遠慮なく突き詰めておく事にする。

「重ねがさね申し訳ないが、ここで不和の種を取り除いておかない事には、今後も禍根を残しそうなのでな」

「別にこちらは、条件を良くしてくれとかの、待遇を求めているわけではないし。こんな危機でなければ、手を切ってラミールに行く事も検討しただろう」

「一方的にお願いしている立場なのだが、公爵家として偏った見方をしていたようだ」

 そこのところに気がつけても、口に出せる貴族は、そうはいないだろうな。

「どうすれば、不安要素がなくなるのか分からないから、困った事ではあるな」

「ふむ……。かといって、自由な立場で冒険をしたいのなら、貴族の位階や領地を求めてもいないだろうしな」

 まぁ、最も扱いづらい人種である事はたしかだな。

「清貧を貫いているわけでもないですが、聖騎士の立場上、過剰な報酬をいただいても困りますね」

「では、こうしよう。わたしには長女がいるのだが、君に帯同させようじゃないか」

「なっ? 不安要素を増やすだけじゃないですか」

「いやいや、わたしの娘も、捨てたもんじゃないぞ? 南の山中にある、賢者の塔で学んでいるのだが、『魔導師』の最年少記録を、更新しているからな」

 どうやらセラエノ公爵も、娘を持つバカ親の一人にすぎないと、いうわけだろうか。

「いやいや……本人の意志を無視して、仲間に加われと言っても、さすがに良好な関係は……」

「実は、わたしと血の盟約を結んでいるのは、長女なのだよ……。その意味はわかるね?」

「まさか……。セラエノ公爵家のあとを継ぐのは、その長女という事もありえるのですか?」

「転生の準備期間をかなり長くかけたせいで、セラエノはおろか、大陸の北半分でも五指に入るほどの実力者らしい。親の欲目なしでだぞ?」

「まぁ、これまで話題に一切出て来なかった、長男とは比べるまでもないという事ですか?」

「長男は、アドニールで商会長をやっているが……あとを継ぐとかの気概はまったくないよ」

「ですが、未婚の貴族の女性を連れて歩けというのは、ちょいと、ムチャがすぎませんかね?」

「本人さえ、それを望むのなら……。アデール君のように、二世の契りを結んでも……別にかまわんのだぞ?」

 そう言いつつも、セラエノ公は手を震わせていた。どんだけ、親バカなんだ?

「効率のためだけに、聖騎士の血を取り入れたところで……と思いますがねぇ」

「それは、本人次第だよ。さすがに、それをもくろんで、紹介するわけじゃあないよ」

「まぁ、たしかに。次期当主の娘さんを預かり、もしそのような関係になったら、オレたちを裏切るような事は、一切できないでしょうね」

 別にハーレムを作りたいなどといった願望はないし、ただでさえ、回りには女性しかいない事で頭が痛いってのに……。

「これ以上の保証はないと言ってもいい。君さえ望むのなら、娘の婿(むこ)になってもいいが……望みはしないだろうしな」

「娘婿が政治的野心を持たない……そういう意味でも、安心できる男って事ですか?」

 みんなを守るために、それが最も効率がよく、なおかつそんな気にさせる女性だったら別だがな――。

「とにかく、君のパーティーに入れてくれたまえ。なぁに、修行の旅に出たいと言っておったしな。すぐに手紙を書こう」

「わかりましたよ。セラエノ公とは、今後もいい関係を保持するように、こちらも努力しますよ」

「そう言ってくれると思ったよ……。賢者の塔は、モレイト村の川沿いの山道を、延々と上がっていったところにある」

 新しい仲間か。ついでにエミリーを修行させてもらうのも、いいかもな。


続けざまに、新キャラの予感!

これでほぼマックス六人ですね(WIZからの伝統的に)

+一~二人をイベントのみ参戦の、

エクストラパーティーにするという手もありますが。


公爵との不和をどう解決するか、悩んでいたんで、

するっとそこに娘というのが浮かんで来ました。

名前は未定ですが、おそらくカが頭につくでしょうw

アデール イレーネ エミリー オーリガと来てますしw

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