第三十四話 ターニングポイント Eパート
今回も引き続き、集団戦闘です。
「かかれぇっ!」
「スキルをつかってもいい、確実に一匹倒すんだ」
オレの指揮下にある、六人づつのパーティーが左右にいて、それぞれに小隊長がいる事もあり、レッサーデーモンを圧倒する事が、できているようだ。
「おっ、いたいた! てぇりゃあっ!」
火矢を胸にくらい、ぶすぶすと脂が燃えているグレーターデーモンを発見し、オレは正面からスキルも発動させずに、鉄球メイスで打ちのめした。
「グルゥェェ……ミドゥス……アゲプゥワァッ!」
グレーターデーモンは怒りに瞳を燃やして、右腕を振り上げたが、イレーネが放ったと思われる矢が右目に突き刺さり、大きな悲鳴を上げた。
「もらった!」
オレは、そのチャンスを生かして、グレーターデーモンの懐に入り、二度三度と胸部を殴りつけた。
「フルゥェェ……」
スキルをつかっていないとはいえ、聖剣扱いの鉄球メイスの殴打により、グレーターデーモンは悲鳴を上げて消滅していった。
「よし、一匹倒しているなら下がるぞ!」
「こちらは倒しました」
「こちらがまだです!」
「よし、加勢する! 後退の準備を!」
オレは、左側のレッサーデーモンに側面から接近して、腹部を殴打して、絶命させた。
「よし、下がれ! 下がったら、支援部隊はヒールを頼む! 攻撃魔法は不要だが、武器への付与を頼む。オレには不要だ!」
オレは、背後で控えている、アデールにも届くように、大声で指示を下した。
「ふぃー……危なかったが、助かったぜ!」
「こうやって、敵の勢いをそいでいるのか……さすがだな」
「よし、支援を頼む! イレーネはオレの指示を待ち、弓を放て」
オレたちは、先ほどの起点に戻り、魔物が突進しても支えられるだけの準備を整えた。
「ダメージを受けている者は右手を挙げろ! 盾役ではなく、アタッカーの者は左手を挙げろ!」
オレは手早く指示を下し、ヒールや武器の強化などを、支援部隊に行わせた。
「次の突進で、橋の向こうを橋頭堡とする! 支援部隊は、戦況を見て、橋の半ばまで前進してくれ! 弓は、イレーネに一任する!」
「むっ……火矢を放てぇ!」
オレは魔物の気配を感じたので、右手を振り下ろしてイレーネに合図を送った。
「はっ! まずは、火矢のみだ」
イレーネが命令すると、四人ほどの火矢担当の者が、視界を作り出すべく、橋の数カ所に火矢を放った。
「魔物を発見! 第二射までしたら、前進する。オレに続くんだ、いいな!」
「ういっす!」
オレが声をかけると、十二人の戦士は、息のあった返事を返してくれた。
「三人づつ、一匹の魔物に矢を集中させなさい!」
イレーネは誤射を避けるためか、射線をたばねるよう指揮しているようだ。
「よし、前進する! 右側を前に出して左側は少し下がり、弓隊のための射線を確保しろ!」
弓隊は左にいるので、これが一番効果的だろう。
「うぉぉー!」
「だぁりゃぁっ!」
右翼にはアタッカーが多めという事もあり、先を争って矢で弱った魔物に切りかかっていった。
「左翼は、それ以上左には移動するな! イレーネ、頼んだぞ!」
「はっ! 狙撃隊以外は、川の向こうに、断続的に火矢を交えた、射撃を続けるのです!」
どうやら、最も腕の立つ連中をイレーネの回りに配置しているようだ。
「よし、無理はするな! だが、この勢いで川向かいに橋頭堡を作るぞ!」
前回の事で懲りているのか、もうグレーターデーモンはおらず、レッサーデーモンが四体いたが、オレが真っ正面の個体を撲殺して、返す刀で左の個体への攻撃に加勢すると、橋の上の魔物はすべて、消滅した。
「よし、盾を持つ者が前に出て、魔法を防げ! 傷を負った者は、後ろに下がれ!」
ついに橋の向こうまでたどり着き、オレたちは激しい抵抗に遭いながらも、戦線を維持できていた。
「アニキ! ボクが、あそこの負傷者を連れて来るっス!」
「お、おい! 大丈夫なのか? オレが援護するが、ムチャはするなよ?」
支援部隊が前進し、その護衛部隊も前線に近づいていたので、エミルがオレに話しかけて来た。
「了解っス! できるだけ、魔物に見つからないように、接近してみるっすよ」
エミルはオレが昨日買い与えた小剣を右手に持ち、倒れ伏している戦士らしき男へと近づいていった。
「いま、助けるっスから!」
ついにエミルは魔物にターゲットにされる事もなく、倒れている金属よろいの戦士の元にたどり着いた。
「おい、アデール! エミルを援護できるように、用意しておいてくれ」
金属よろいが重すぎるのか、引っぱって来るのは断念したようで、エミルは、手を当て続ける事による、蘇生を行っているようだ。
「あの子ったら、ムチャしてるわね。うん、ここからなら、届きそうよ」
アデールがオレの斜め後ろについて、エミルを注視していた。
「クラウス殿! グレーターデーモンが二体現れました! 右の個体をお願いします!」
「わ、わかった!」
エミルはそのグレーターデーモンのさらに右の草むらにいて、気にはなったが、ここで倒す必要性は強く感じていた。
「攻撃魔法や支援魔法でもサポートするから、頑張りましょう!」
アデールは支援部隊を指揮して、皆に声をかけていた。
「神雷剣、三の太刀! たぁりゃぁっ!」
オレは斜め横から、グレーターデーモンに接近していき、三の太刀を発動させて、なぐりかかった。
「フグゥルィ……ムゥングルフィ※……アダツ!」
グレーターデーモンはいままさに攻撃魔法を使うところで、右手のツメに光球を生じさせていたが、三の太刀の電撃で、キャンセルさせる事に成功した。
「クラウス殿!」
遠くから、イレーネの声が響いたのを感じ取り、オレは斜め横にいた、もう一匹のグレーターデーモンに殴りかかり、スタン効果を与えた。
「おっ! やはりな――」
オレが一撃を加えて、スタンしているグレーターデーモンの左目に、イレーネが放ったと思われる矢が突き刺さり、悲鳴を上げた。魔物から見て左手の方に、エミルが救出をしているから、その配慮がうれしかった。
「くっ。両方にターゲットにされたのか……望むところだ!」
オレは二匹のグレーターデーモンに狙われたが、左の個体の攻撃は盾でいなし、右の個体にはカウンター気味の攻撃を加えていった。
「アデール! 適度にヒールを頼む!」
パリィは成功しているが、右の敵への攻撃は、多少のダメージを覚悟する必要があった。
「む? 背中を見せたのか……」
右側にいた個体が、誰かをターゲットにしたのか、背中を見せて、後退を始めたがその方向には――。
「んっ。オレは助かったのか……」
「良かった……早く後ろに下がるっスよ!」
エミルはようやく、倒れていた戦士の蘇生に成功した。
「エミル、危ないっ!」
だが、後退しようとしていたグレーターデーモンが、エミルを見つけてしまい、肉薄して右手を振り払ってしまった。
「えぇっ? うわぁっ!」
エミルはバックステップをして、ツメの攻撃から逃れようとしたが、胸をかすかに切り裂かれてしまったようで、服と包帯が裂けてしまっていた。
「てやぁっ! 神雷剣、二の太刀!」
「グゥルゥクェッ!」
オレは背後から、一時間に一度しか使えないスキルを使用して、一撃でグレーターデーモンを滅ぼした。
「おいっ! 大丈夫か、エミル!」
「だっ……大丈夫っスよ……」
「よく見せてみろ! 血は出ていないのか?」
「やっ……大丈夫っスからぁ……あぁっ!」
次の瞬間、破れた包帯と衣服の一部がはだけて、オレは、エミルの乳房を直視してしまった。
まぁバレバレもいいところでしたけど、ついに……ですね。
昔の服が脱げる格ゲーを思い出したり(笑)
当初の予定では、背後に滝が流れ落ちている泉とかで、
夜半に水浴びしているのに気づくとかのシチュエーションに
しようかと思っていましたが、これ以上引っぱるのも無理を感じました。




