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第三十三話 ターニングポイント Dパート

ようやく戦闘が始まりました。


感想やフィードバックが少なく、

今後の方向性とかに指針が得られません。

ぜひ、そちらの方もよろしくお願いします。


「ふぅ……。やはり、温泉は気持ちいいな」

 オレたちは全員で、イレーネの領主の館に宿泊しており、オレは夕食後に二度目の温泉に入って、部屋に帰り着いた。

「かなり疲労が残っていたからなぁ……」

 部屋数はかなりあるので、オレたちには個室をあてがってもらっていた。

 街の温泉施設も開放しているし、食事などの支援も開始したので、少しは快適に過ごしてもらえるだろう。

「あっ、アニキ。いまお風呂から戻ったんスか?」

 隣の部屋にいたエミルが、ひょこっと顔を出して、問いかけて来た。一緒に温泉に入るよう誘ったのだが、なにやら、気恥ずかしいらしい。

「ああ。おまえもいまのうちに入って来いよ。アデールもイレーネも、もう入らないそうだしな」

「そうっすか……じゃあ、入って来るっス!」

 エミルは部屋に戻って、風呂の支度をばたばたとしていた。

「ふぅ……。これが休暇だったら良かったんだがな」

 闇の眷属は、夜間に活動が活発になるという事もあり、早めに休ませてもらったのだが……。

「少しだけでも寝ておくか……」

 どうせ夜半になったら、イレーネが起こしに来る事は、予想済みだからな。




「大変です、ご主君!」

 何度か寝る方向を変えて、ようやく寝付こうかとした瞬間、オレはイレーネに起こされた。

「どうした? もう魔物が襲来したのか?」

 イメージ的にはもっと深夜の侵攻を想定していたので、少し驚いてしまう。

「橋のところで防戦しているそうなのですが、このままでは半刻も持たないとか」

「すぐに準備する! アデールにも声をかけてくれ」

 オレは手早く服を着替えて、装備を身につけていった。

「エミルは……。風呂か? ちっ……」

 隣のエミルの部屋にはいなかったので、オレは風呂場へと走っていった。




「おい、エミル! いるのか?」

 湯殿は蒸気が立ち上っており、エミルの姿を容易に見つける事はできなかった。

「ひゃぁっ なっ……なんなんすか? アニキ……」

 奥の方の湯船につかっていたらしく、岩陰から顔を出して、問いかけて来た。

「魔物が侵攻して来た! すぐに着替えて準備するんだ!」

「わ、わかったっス!」

 だが、エミルはその場を動こうとはしなかった。

「ああ……すまんな。じゃああとで」

 オレの視線を気にしているようなので、湯殿から出て館の入り口へと走っていった。



「かなり大規模な侵攻らしいの……」

「現時点で、救出が必要なパーティーはいるのか?」

 館の入り口に着くと、アデールが情報の整理をしていた。

「一組のパーティーが救出を待っていまする。拙者は弓隊を指揮するために、先に参ります」

 イレーネは長弓と大量の矢筒を装備して、橋の方へと駆けていった。どうやら、救出のために部隊の再編が行われているようだ。橋を渡らせないためには弓隊も有効だろう。

「お、お待たせしたっス!」

 少しして、少ししめった衣服を身にまとったエミルが、駆けつけて来たが、何か様子が変だな……。

「エミル。おまえ、まさか……太ったのか? 妙に肉付きがいいようなんだが」

「ひゃぁっ……。そ、そんな事ないっすよ……」

 二の腕をつかもうとすると、するっとエミルにかわされてしまう。

「それに……。包帯をしているようだが、肋骨でも骨折していたのか?」

 水に濡れた服から、包帯のような物が胸のあたりに巻かれているのに、きづいてしまう。

「なっ……なんでも、ないっスから!」

「ちょっと……何やってんのよ。そんな場合じゃないでしょ?」

「ん? ああ……」

「じゃあ、今回の目的は一時的に押し返して、救出をする。救出用のスタッフはいるんだな」

 オレは、例の鉄球メイスをメインの武装にする事にした。




「む……。八人ぐらい、倒れているのか?」

 渓谷の東の、橋のところにたどり着いたが、かがり火だけでは、川向こうまでは確認できない。

「ご主君! 援護射撃を行いますゆえ、橋の奥に、橋頭堡(きょうとうほ)を作ってくだされ!」

 冒険者たちの中から、弓を扱う者だけをより抜いた、弓隊を指揮するイレーネが、オレに声をかけて来た。

「いいだろう。橋の中ほどまで前進したら、その中間に支援部隊を押し出してくれ」

 魔術師や神官などの、支援部隊はアデールが指揮する事になっており、エミルはその護衛部隊に回されている。

「オレは、聖騎士のクラウスだ。セラエノで騎士として、叙勲もされている。どうやら、前進部隊の指揮を執る事になったようだ」

 オレはいつの間にか、剣士などが集められた部隊の、指揮を執る事になっていた。

「アビス峠の『名前付き』を倒された方ですな。おうわさは、かねがね。わたしは冒険者ギルドの幹部をしております。これより、前衛での戦闘部隊の指揮をゆだねます。作戦完了は、突出して全滅したパーティーの回収と、敵の攻勢を打ち砕いた時となりますので、お願いします」

「承った。何としても押し返そう!」

 オレは指揮する事になった、十二人の戦士の顔を見てから、宣言した。

「イレーネ! 何人か、火矢を放つようにできないか?」

「すでに、準備はできておりまする!」

「よし、それでは、弓部隊の火矢が放たれなくなった時が、前進の合図だ!」

「わかり申した! それでは、弓隊……撃ち方、始め!」

 次の瞬間、火矢の入り交じった矢が、川の向こうへと降り注ぎ、闇の中にいた悪魔の姿を浮き上がらせた。



「よし! では、オレの後ろに三人づつ並べ! 飛んでくる魔法は、オレが何とかする。行くぞ!」

 火矢がすべて放たれて、射線が確保できている部分にだけ、矢が降り注ぐようになり、オレは部隊を前進させていった。



「エルゥ……ミキスゥ……ヌォンダゥッ!」

 オレが盾をかかげて先頭で進んでいくと、二匹ほどのレッサーデーモンが、呪文を詠唱し、オレを目標に定めたのがわかった。

「後ろに下がっていろ! 魔法を受け止めたあとは、六人づつで、左右に前進しろ」

「ミムゥン……アレクドゥ……ミムゥラッ!」

「くっ……よし、これで全部か? 行け!」

 オレは飛んできた二つの魔法を、盾でパリィする事に成功したのを確認して、右手をあげて指示した。

「うおぉぉー」

「たぁりゃぁー」

 魔法をかけるため、橋に前進していたレッサーデーモンに、二組の戦士のみのパーティーが切りかかり、硬直時間を利用して、即座に切り刻んで絶命させた。

「よし、守りを固めろ! 橋から出る必要はない!」

 オレは再び前に出て、戦士たちを指揮した。

「むっ! 一度、橋の中ほどまで引くぞ! 盾を持っている者は、飛んでくる魔法に備えろ!」

 川向こうのしげみにいた、複数の悪魔が突進せずに、魔法を唱えようとしているのを感じて、指示した。



「ここでいいだろう! 方形陣を作って守るんだ!」

「ふぅ……はぁ……ここで、大丈夫なのか?」

「隊長に任せるしかねえだろ

「よし、もう一度弓を頼む! 火矢もだ!」

 イレーネの弓隊の射線から外れるのを確認して、オレは指示した。

「はっ! 橋の中ごろから奥にかけて、矢を放てぇ!」

 まだ敵の姿を視認できてはいないが、追撃部隊の存在をオレは確信していた。

「プゥリュギス……トゥワッ……」

「ギャヒー……※ムイル……エンベ」

 目標もさだめず、一定範囲内に矢を降り注がせる作戦に出たわけだが、予想通り、四匹のレッサーデーモンと、一匹のグレーターデーモンが矢を受けてうめきながらも、前進していた。

「よし、レッサーデーモンを、左右一匹づつ倒せ! グレーターはオレが行く! 倒したら、再び下がるぞ! 深追いはするな!」

 火矢が止まったので、オレは再び魔物の群れに突入していった。



単なる魔物との戦闘ではなく、

部隊単位の戦闘になってしまいましたね。

兵士数はしれてはいますけど、

それなりに緊迫感を出したいと思っています。


あと、エミルフラグの回収も続けないとw

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