別れ
集合時間になる頃には、全員が揃っていた。
「だからさぁ、パウロなんてやめて、スピちゃんもサカリウムを目指そうよ」
ローレルは、最後までパウロ行きを諦めきれないのか、スピレアを必死に説得していた。
「うーん…。私もパウロで確かめたいことがあるから、ごめんね」
スピレアは申し訳なさそうに微笑みながら答える。
「いつまでも引き止めてないで、そろそろ出発するわよ」
そこへグラッドが割って入った。
「ローレル、また後で会おうね」
「スピちゃん、本当に行っちゃうの?」
「では、達者で」
『また後でね』
「ローレル、リリーたちに迷惑をかけるなよ」
「サカリウムで合流しましょう」
短い別れの挨拶を交わすと、一行は二手に分かれた。
スピレアたちは宗教国家パウロへ。
ローレルたちはサカリウムへ。
それぞれの目的地を目指し、ゆっくりと歩き始めた。
しばらく街道を歩いたところで、一行は休憩を取ることになった。
「そういえば、パウロってどこにあるんだ?」
今まで場の流れに任せて聞きそびれていた疑問を口にする。
「そうよね。アスターちゃんはまだ知らなかったわね」
グラッドはそう言うと、荷物から地図を取り出して広げた。
「ここよ」
指差した先は、岡山の辺りだった。
岡山に大都市か…
正直、あまり想像がつかないな。
「パウロってどんな場所なんだ?」
「そうね。パウロは二重の城壁に囲まれた城塞都市よ」
グラッドが簡潔に説明してくれる。
「城塞都市? どこかと戦争でもしているのか?」
「戦争はしていないわ。ただ…アインシュ族の襲撃を警戒しているんじゃないかしら」
グラッドは確信があるわけではない、と前置きするように肩をすくめた。
「アインシュ族の総本山も近いのか?」
唐突に出てきたアインシュ族の話が気になり、さらに尋ねる。
「噂に過ぎないけれど、この辺りにあるって言われているわ」
そう言って、グラッドは瀬戸内海を指差した。
その場所は、本来なら淡路島があるはずの位置だった。
「おい。根拠のない噂で教会を疑うようなことを言うな」
突然、ルドベックが口を挟んだ。
「あら、ごめんなさい」
グラッドは素直に謝る。
だが、その表情にはどこか含みがあった。
「でも、地図にも載っていない島があるなんて、不思議だと思わない? ルドベックちゃんは気にならないの?」
そう言って、いたずらっぽく微笑む。
「それは…」
ルドベックは言葉を詰まらせた。
どうやら、その島は本当に存在するらしい。
ただ…
地図から消されているだけで




