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朝食

昨日、夜更かしをしたせいか、まだ少し眠気が残っている。

大きな欠伸をしながら、ロッジの扉を開けた。

「おはよう、スピレア」

扉の先にスピレアの姿を見つけ、いつものように声を掛ける。

「おはよう、アス…」

振り返ったスピレアは、挨拶を返そうとした。

けれど、目が合った瞬間。

なぜか視線を逸らし、俯いてしまう。

「…」

途中で言葉が止まった。

「朝ごはんの用意しなくちゃ!」

突然そう言うと、スピレアは逃げるようにグラッドの元へ小走りで向かっていった。

「…?」

その様子に首を傾げていると

「貴様! 今何時だと思っている!」

突然、怒声が飛んできた。

声の方を見ると、ルドベックが野菜を切りながら、こちらを睨んでいる。

その迫力に、リリーが慌てた様子で紙を差し出していた。

どうやら、怒りを鎮めようとしているらしい。

「ごめんごめん。…ところで、ローレルは?」

軽く謝りながら周囲を見回す。

しかし、いつもの騒がしい姿が見当たらない。

「貴様と同じだ! 奴も寝坊だ!」

ルドベックは呆れたように、そして少し苛立った様子で答えた。

相変わらず、怒ることが好きなんだな。

そう思いながら適当に流そうとした、その時。

「私が起こしてくる!」

アイリスが勢いよく立ち上がる。

そして、そのまま女子用のロッジへ向かって駆け出していった。


朝食の準備が整った頃。

「みんな早いね…」

大きな欠伸をしながら、ローレルがアイリスと共に姿を現した。

「貴様が遅いだけだ!」

すかさずルドベックが反応する。

「えー、だって仕方なくない?」

ローレルはそう言いながら、こちらとスピレアを交互に見る。

そして、ニヤリと笑った。

「昨日の夜中、スピちゃんがいなくて探し回ってたんだし」

その言葉を聞いた瞬間。

スピレアの動きがぴたりと止まった。

「スピちゃんさ…昨日の夜、何してたの?」

ローレルは楽しそうな笑みを浮かべながら、さらに追及する。

「な、何もしてないよ!」

スピレアは慌てたように否定する。

「ねぇ、アス…」

そこまで言って、こちらを見る。

視線が重なった。

その瞬間、スピレアの顔がみるみる赤く染まっていく。

耳まで真っ赤になり、言葉が止まった。

「へぇ…」

ローレルが面白そうに目を細める。

「どうしてアスちゃんに聞くの?」

「…っ」

スピレアは何も言えなくなる。

その横では、リリーが目を輝かせながら、すごい勢いで紙に何かを書き始めていた。

「なんだ? 何かあったのだな!」

アイリスまで身を乗り出し、興味津々に追撃する。

朝から本当に賑やかだ。

そう思いながら、逃げるように浜辺へ視線を向けた。

その時

ガシッ。

突然、肩を力強く掴まれる。

嫌な予感しかしない。

恐る恐る振り返ると

「…また貴様か?」

満面の笑みを浮かべたルドベックが、そこにいた。

「はぁ…」

少し離れた場所から、グラッドの呆れたような、それでいて優しいため息が聞こえた。

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